商業施設新聞
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No.831

ペットに対応した施設づくり


今村香里

2021/11/9

 9月3日、兵庫県西宮市にJR西日本アーバン開発(株)が運営する「夙川グリーンプレイス」が新たにオープンした。JR西日本の社宅跡地などの敷地に平屋建てや2階建ての建物を配置し、敷地の中央には広場、木々、ベンチなどを設けたオープンモール形式となっている。店舗面積約3000m²に普段使いできる14店が出店し、近隣住民の生活をサポートするショッピングセンターが誕生した。

 JR西日本グループの商業施設といえば、「ルクア」や「ビエラ」など駅や高架下など鉄道沿線での開発がメーンだが、近年は駅ソト立地の「グリーンプレイス」の開発に積極的だ。グリーンプレイス業態では、「吹田グリーンプレイス」(吹田市片山町)が16年に1期、18年に2期開業し、「甲子園口グリーンプレイス」(西宮市松山町)が19年に開業しており、「夙川グリーンプレイス」(西宮市大谷町)で3施設目となる。駅立地の繁華街の商業施設と異なり、生活に密着した施設づくりを行っているため、コロナ禍でも好調だという。

夙川グリーンプレイスのペットスポット
夙川グリーンプレイスのペットスポット
 そんなグリーンプレイス業態で注目したいのが、夙川で新たに設けたペットスポットだ。ペット専用の足洗いシャワーやリードフックを完備しており、敷地内にペット連れが来場しても、買い物ができる。近年の商業施設では、こうしたペット同伴での来店もスムーズに行える工夫が広がっている。グリーンプレイス夙川の足元商圏範囲では、ペット飼育者の割合が高いらしく、ペットスポットを設置したそうだ。最近は全国的にペット飼育者が増えており、筆者の近所の店でも、店前のポールに勝手に犬をつないでおいて、買い物をする人を見かけるようになった。こうした専用スペースがあると利用しやすいだろう。

 夙川グリーンプレイスは地域に愛されるライフサポート型の施設づくりを行っていく。同施設の開発担当者は「周辺環境を背景にワンランク上を意識しすぎず、本当に普段使いできるテナントを誘致した。特に徒歩圏内など、近隣の方に何度も利用してもらえる施設にしたい」と語った。

 ちなみに、筆者のペット事情は、2月にミニチュアダックスフンドの愛犬(メス)をがんで亡くしたばかりである。遠く離れた実家で飼っていたのだが、コロナ禍で会いに行くことができず、最期もオンライン動画でお別れをした。もう少し早く病気が発覚していたら……、もう少し寿命が長ければ……と悔いは残ったが、ペットのメモリアル専門店に行き、可愛い骨壺を選んで実家に送るなど、色々精一杯のお別れをした。そこで体験したのは、実に多くの人がペットメモリアルでペットの見送りを丁寧に準備していることだった。ペットは家族の一員という考え方が広がっていると改めて実感したのである。商業施設でも、ペットとともに買い物や敷地でも散歩を自由に楽しめる環境が増えていくのではないだろうか。
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