商業施設新聞
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No.856

歌舞伎町から発信するエンタメの新たな歴史


松本顕介

2022/5/17

23年4月の開業を待つ東急歌舞伎町タワー
23年4月の開業を待つ東急歌舞伎町タワー
 東急(株)、(株)東急レクリエーションが東京・新宿歌舞伎町で開発を進めている「東急歌舞伎町タワー」に関する記者発表が4月26日、都内で行われた。開業日が2023年4月に決定したことや、同施設内の各施設名称や概要が発表された。

 この施設は、新宿TOKYU MILANO再開発計画として計画が進められており、敷地面積4603m²に地下5階地上48階建ての高さ約225m、延べ床面積は8万7400m²で、ホテル、映画館・劇場・ライブホールなどのエンターテインメント複合施設となる。地下4階~地下4階はライブホール「Zepp Shinjuku(TOKYO)」が出店する。新宿エリア最大級となる1500人のキャパシティーを持つ。1~5階は店舗やラウンジなどとなり、6~8階は劇場「THEATER MILANO-Za」とし、新宿ミラノ座の名前を継承する900席を擁するライブエンターテインメントシアターで、演劇・音楽・映像などの多彩なコンテンツが予定されている。

 9~10階は映画館「109シネマズプレミアム新宿」。17~47階はホテル&レストランとして、2種類のホテルが誕生する。ひとつが18~38階に出店する「HOTEL GROOVE SHINJUKU」で、ロゴはエンタメの街、歌舞伎町のホテルらしく、アナログレコードをモチーフにしたデザインとした。もうひとつが39~47階に位置する「BELLUSTAR TOKYO」で、“天空のラグジュアリーホテル”と銘打っており、アマン東京やブルガリホテル東京を意識した超ラグジュアリーホテルになる予定だ。

 なかでも筆者が気になるのがZepp Shinjuku(TOKYO)である。新宿と言えば、かつての「新宿ルイード」や「新宿リキッドルーム」、「新宿ロフト」などもあり、ライブハウスのメッカともいえ、様々なミュージシャンによる伝説がつくられてきた。一方、Zeppといえば21年12月、東京・お台場の「Zepp Tokyo」が約22年の歴史に幕を閉じた。この収容人数2700人という“巨大なハコ”ができたばかりのころ、ライブを観に訪れたが「満杯」ではなかったため、ぽっかり空いた後ろの方で所在無げにしていたことをつい思い出してしまう。だが、その後このオールスタンディングの巨大なハコはすっかり定着し、大物アーティストによる様々な伝説がつくられてきた。今後はZepp DiverCityやZepp Haneda(Tokyo)などがその任を受け継いでいくことになるわけだ。

 東急歌舞伎町タワーの関係者はこう言う。「Zepp Shinjuku(TOKYO)はキャパこそ1500人だが、海のそばではなく『新宿ど真ん中』に位置し、言うまでもなく日本有数の繁華街、歌舞伎町に囲まれている」。さて一体、こけら落としは誰なのか。かなりの大物アーティスを招くという。当然、宿泊は上層階にあるBELLUSTAR TOKYOのスイートで決まりだろう。ビートルズが日本公演で「東京ヒルトンホテル」(現ザ・キャピトルホテル東急)に泊まったように、ホテルにも伝説が生まれるに違いない。

 さらにはTHEATER MILANO-Zaの最初の演目は何か。演劇か、案外歌舞伎かも。吉本などお笑いも誘致したいと言う。ついでに23年公開予定の映画をチェックすると、なんと『シン・仮面ライダー』『DUNE/デューン 砂の惑星』(続編)、『ゴールデンカムイ』などが予定されているではないか。この東急歌舞伎町タワーには約150m²の屋外ステージに、200m²の巨大屋外ビジョンも用意されている。ここで「シン・仮面ライダーショー」を見たいと思うのは筆者だけではないだろう。会見の席で、東急(株)新宿プロジェクト企画開発室の木村知郎室長は「好きを極める場」とした。なんと気持ちをくすぐるフレーズだろうか。もちろん何も決まっていないが、大物アーティストによるパフォーマンス、歌舞伎かお笑いか、仮面ライダーショーと、歌舞伎町らしいごった煮感たっぷりのエンタメの新たな系譜が待ち遠しい。
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