電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第493回

「失敗を責められることはない。やれない理由を言うと怒られる」


創業100年を超える安川電機の哲学は常に挑戦を続けるということ

2022/8/5

 安川電機は、1915年(大正4年)7月16日に創業した老舗カンパニーである。100年企業の仲間入りを果たし、2022年2月期の連結売上は4791億円。このうち48%がお家芸のモーションコントロール、37%が知名度の高いロボット、11%がシステムエンジニアリング、その他が4%となっている。

 同社は、1915年の創業以来、モーターとその応用を事業領域に定めて、その製品技術により常に時代の先端産業を支えてきた。今日においてよく使われる言葉である「メカトロニクス」のコンセプトをなんと、1960年代後半に世界に先駆けて提唱したのである。今日にあっても、同社のコア技術は「モーション制御」「パワー変換」「ロボット技術」の3つである。

 「当社は100年を超える歴史を刻んできたが、いつでもひとつのところには留まっていない。2025年ビジョンとして掲げているのは、やはりメカトロニクスを軸とした工場の自動化/最適化と、メカトロニクスの新たな応用領域を創ることにある。SDGs革命が進展する中においては、いかにして電力を節約するかということが重要であるが、安川のメカトロニクスを軸とした産業自動化革命が実現すれば、全世界に対して大きな貢献を果たすことができると考えている」

株式会社安川電機 営業本部 半導体営業統括部 部長 古宮路 修氏
株式会社安川電機 営業本部
半導体営業統括部 部長 古宮路 修氏
 こう語るのは、安川電機にあって半導体営業統括部の部長の任にある小宮路修氏である。小宮路氏は、鹿児島県徳之島生まれ。鹿児島高専を出て、直ちに安川電機に入社する。鹿児島高専の先輩が安川電機で働いており、実に面白いことをやっている会社という風評に惹かれてのことである。入社してすぐは、アクチュエーターなど機械の設計開発の仕事に携わった。昨年までは技術部長の任にあった人である。

 「安川電機の社風は、自由度が高いと言えるだろう。何でもやらせてくれる会社であり、失敗を責められることはない。むしろやれない理由を言うと怒られる」(小宮路氏)

 さて、安川電機におけるロボット事業の2022年2月期の売上高は前年度比28%増の1787億円であった。営業利益は2.5倍の172億円を記録した。2023年2月期については、ついに大台の2040億円に乗せることを計画しており、これまでのところ絶好調で推移しているというのだ。

 「2017年に投入したダイレクトドライブのロボットの比率が非常に増えている。半導体工場では大活躍しているのだ。通常のロボットはモーター、減速機、ベルト、アームで構成されるが、なんと減速機レスで動くロボットであるからして、高精度で振動やゴミを出さない。使い勝手もよく、半導体工場におけるクリーン度も確実に上がる。これが大きく受けている」(小宮路氏)

 ちなみに、北九州市に本社を持つメリットとしては、何と言ってもいまや半導体大国となっている韓国までたったの1時間で行き、半導体投資の拡大する中国についても上海までは1.5時間で行くというロケーションの良さである。もちろん、シリコンファンドリーで活況を呈している台湾についても、2時間で行けることは大きい。韓国ならば日帰りで行くこともかなりあるというのである。

 最近では、人と共存する協働ロボットの開発と応用に注力している。安川自身が作り上げたロボットを自らの工場内で動かし、人と共存する形を徹底的に作り上げようというのだ。このことで、ロボットの設計も変わってくる。工場の動線なども研究できる。そしてまた、溶接を画像や音で判断するなど、AIの活用も進めている。常に挑戦することの連続が安川電機の哲学なのである。

 「部下に対していつも言っていることは、常に全力でトライしろ、ということだ。そして、トライしたらちゃんと最後までやり抜け、とも言っている。つまりは、途中で放り出せば成果が残せないからだ。失敗したことは大きな成果なのだ。それは必ず次に活きるからである」(小宮路氏)


泉谷 渉(いずみや わたる)略歴
神奈川県横浜市出身。中央大学法学部政治学科卒業。35年以上にわたって第一線を走ってきた国内最古参の半導体記者であり、現在は産業タイムズ社 代表取締役 会長。著書には『自動車世界戦争』、『日・米・中IoT最終戦争』(以上、東洋経済新報社)、『伝説 ソニーの半導体』、『日本半導体産業 激動の21年史 2000年~2020年』、『君はニッポン100年企業の底力を見たか!!』(産業タイムズ社)など27冊がある。一般社団法人日本電子デバイス産業協会 理事 副会長。全国各地を講演と取材で飛びまわる毎日が続く。
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