商業施設新聞
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No.897

KK線はどんな道に再生されるか


高橋直也

2023/3/7

 銀座や八重洲などを通る「東京高速道路(KK線)」。これを歩行者中心の公共的空間に再生する事業が控えている。銀座、八重洲などを通る高速道路を歩行者中心にすることは街に人を呼び込み、人が回遊し、賑わいにつながる素晴らしい事業であり、ものすごく期待している。『街づくりは道づくり』という人もいるように、道ができることで、道の先にあるエリアに人が流れ、人が流れてきたエリアは様々な恩恵を受ける。銀座など多くの人がいるエリアに巨大な道ができるとなれば、街づくりにも大きな影響を与える。

 ここ数年で道として話題になった事業は渋谷ストリームを起点にした遊歩道か。渋谷川沿いの遊歩道は代官山に続いており、中間地点として「渋谷ブリッジ」も整備することで代官山まで賑わいが途切れないような工夫もした。コロナ前はこの遊歩道を通り、渋谷ブリッジのホテルに向かう外国人旅行者も多かったという。渋谷の遊歩道は渋谷川があるほか、周辺には味のある建物があるため歩くのが面白い。渋谷ブリッジの方まで歩くと清掃工場の煙突が見えるのだが、外国人はこうした景色も新鮮なのだそうだ。代官山に近づくにつれ、街にオシャレな雰囲気も漂ってくる。

ニューヨークのハイライン
ニューヨークのハイライン
 有名な『道』と言えばニューヨークのハイラインがある。鉄道高架を活用した緑道・公園で、筆者は2017年に訪れた。マンハッタンにあるためビルに囲まれているのだが、デザイン性の高いビル、レンガ調のビル、アートが施されているビルなど素晴らしい景観に囲まれている道だった。道自体も「緑道」という呼び方がふさわしく、緑あふれる公園だった。

 こうした道がある中、KK線はどのように再生されるのか気になるところだ。特に気になっているのは道から見える景色だ。つまり、どのようなビルに囲まれているのか。筆者は車を運転しないためKK線を通ったことはないのだが、地上から見る限りはさすがにニューヨークのようなレンガ調の建物はなさそうだ。ただ、最新の再開発ビルは増えているエリアだ。

 以前、インバウンド向け外資系ホテルのデザインを担当した人に取材をした。話で印象的だったのは「外国人が思う日本のイメージは提灯など『和』だと考えていたのだが、色々ヒアリングしたところ大都会だということが分かった」というもの。となると、KK線は「日本らしい近代的ビルが並ぶ景色を望める道」となりそうだ。事業が実現すれば、訪日客が周囲の写真を撮りながらぞろぞろ歩く姿を見られるかもしれない。
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