商業施設新聞
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No.899

春本番の記者発表会へ参加


笹倉聖一

2023/3/20

 春本番を感じる2つの記者発表会へ招かれ参加した。1つは丸亀製麺による春のうどんメニュー発表会、2つ目は市場拡大が期待されるメタバース事業でのグリーおよびJR西日本グループによる業務提携の発表会。いずれも春商戦およびそれ以降への爛漫たる期待を抱かせる内容だった。

春を演出する「山盛りあさりうどん」
春を演出する「山盛りあさりうどん」
 丸亀製麺は、春限定の定番人気「山盛りあさりうどん」と、新しいことが多い春に、元気をつけるためにがっつりと食べる「焼きたて肉うどん」の試食会を報道向けに開いた。どちらの商品を食べようかと迷う時間も楽しんでもらいたいという心憎い春商品だ。私が気に入った「山盛りあさりうどん」は、北海道産の真昆布と厳選された複数の削り節からつくる風味豊かなかけだしを基本に、あさりの旨みを加えた特製だしをたっぷりと注ぎ、殻付きあさりをごろっと手鍋に入れて、旨みを引き出しながら火をいれてつくる。試食会では麺職人が、麺のコシに影響を与えるうどん生地(約45cm四方)の圧延機への入れ方、麺の切り出し方、麺棒で受け止めて素早く茹で釜へ投入する一連の作法を実演してくれた。試食してみると、あさりから出る磯の旨みたっぷりのだしと、麺のもちもち感によって春を舌で感じ、さらに麺が見えないほどのたっぷりのあさりからは、目でも春を感じられるほどだ。丸亀製麺による同料理の宣伝文句そのものを再現した味で大満足した。

 一方、グリーの100%出資子会社であるREALITY XR cloud(東京都港区)と、JR西日本コミュニケーションズ(大阪市)は、スマホメタバースおよびバーチャル関連での業務提携を発表した。REALITY XR cloudは、仮想空間内で行われるバーチャルイベントを実現するためのクラウドソリューション「REALITY XR cloud」を法人向けに提供している。2022年6月から提供している「REALITY Worlds」は、三井不動産、エイチ・アイ・エス、ビームス、三越伊勢丹などの大手企業のメタバース進出を支援し、22年内には法人クライアントとともに提供したメタバースに合計約4200万人が訪れるソリューションに成長した。

 今回の業務提携は、広告代理や交通広告を扱うJR西日本コミュニケーションズが、メタバースやXR領域を掛け合わせたビジネス領域の拡大を検討していたことから、22年秋に両者が協議を始めて実現した。協業内容は、バーチャルとリアルを融合したソリューションの共同開発、アバターアイテムショップを活用したコンテンツビジネス開発、JR西日本コミュニケーションズによるメタバース構築サービスの販売代理など。記者発表の席で、JR西日本コミュニケーションズ代表取締役副社長(DX担当)の伊藤義彦氏は、「仮想空間が、現実の市場に対して効果があるか否かについては懐疑的な声もある。その観点では、メタバースは先んじているが、(市場拡大の)可能性はかなりある。仮想空間は玉石混交ではあるが、スマホメタバースには取り組む必要がある。皆の多くが持つ物はいまやスマホである」とスマホでのメタバースの取り組みを強調した。

 総務省の「令和四年版情報通信白書」によると、メタバースの世界市場は、2030年には78兆8705億円に拡大すると予想されている。かつては鉄道会社と言えば保守的な印象が強かったが、商業施設をも手がけるJR西日本グループが、先駆けてメタバースに取り組む姿勢には、開花する桜の花の勢いを感じる。丸亀製麺の「山盛りあさりうどん」とともに、春爛漫のメタバース商品や市場が生まれることを願う。
市場は、2030年には78兆8705億円に拡大すると予想されている。かつては鉄道会社と言えば保守的な印象が強かったが、商業施設をも手がけるJR西日本グループが、先駆けてメタバースに取り組む姿勢には、開花する桜の花の勢いを感じる。丸亀製麺の「山盛りあさりうどん」とともに、春爛漫のメタバース商品や市場が生まれることを願う。
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