商業施設新聞
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No.435

地場産業を扱う専門店


今村 香里

2013/11/26

神戸国際会館の地下2階SOL 新店3店の区画
神戸国際会館の地下2階SOL 新店3店の区画
 最近、商業施設内で地場産業の品を扱う店が目立つようになってきた。神戸国際会館(神戸市中央区)の商業施設SOLでも、2013年9月20日に、神戸らしさをイメージできるこだわりの雑貨店が新たに3店オープンした。

 「じばさんele」は、地元兵庫県の地場産業や伝統工芸、民藝から集めた品を独自にアレンジし、訪れた人に発信している店。売り場125m²において陶器、ステーショナリー、園芸、バッグなどを扱っており、兵庫県の南西部にあるたつの市の伝統産業、皮革を使ったバッグや、北播磨地域が産地の「播州織」を用いたストールなどがある。

 ターゲットは20代後半の女性。1号店(神戸市中央区栄町)では、地元の職人による手仕事のワークショップが人気を呼んだため、2号店のSOLでもセミハンドメイドで作れるバッグのワークショップスペースを確保した。

 さらに、隣接してSOLのワークショップスペースもSOL側が新たに設置。SOLに出店する店舗が主催し、展示や手づくりが楽しめるワークショップを定期的に開催し、“コト”消費を促している。

 「ルネ・デュー」は146m²で出店。500種類以上の北欧生地を扱っている。生地は、バイヤーが現地に出向いて直接買い付けており、店内の好きな生地を選んでセミオーダーが可能である。ターゲットは女性の中でも、インテリアに興味を持ち始める若い母親や家の中の雑貨にこだわりを持つ主婦など。店内はカラフルで楽しくなるようなイメージだ。生地のほかにも、北欧で仕入れた雑貨のや生地を使用したポーチやエプロンなど、自社でデザインしたオリジナル商品も取り揃えている。

 「ラ レットル ドゥ神戸 by NAGASAWA」は、神戸の老舗ステーショナリー専門店がプロデュースする新業態で、店舗面積27m²で出店。“手書き文化を伝えたい”というコンセプトのもとに、店名には「神戸からの手紙」という意味を用いた。商品は、イタリアから直輸入のヴェネチアングラスのガラスペン、神戸の街をイメージして創り上げた43色の万年筆用カラーインクシリーズ《神戸インク物語》など、ハイセンスなオリジナル商品が揃う。また、おしゃれなハガキやレターセットもあり、時間を使い手紙を書くゆとりのあるライフスタイルを提案している。

 SOLの担当者は「いつも買い物をする同じ空間で、お客さまとの会話を楽しみながらモノとコトの両方を提供できる魅力ある施設づくりを目指したい」という。

 SOL以外にも、中川政七商店では地域の伝統工芸をプロデュースする「大日本市」の店舗拡大を行っているほか、東急ハンズピオレ姫路店では、姫路の伝統産業である瓦や皮革を使用した小物を販売するなど、地域の特産物の貢献にも一役買っている。このように、伝統産業をトレンドのものに仕立てて販売する手法は、若者に支持を得ており、今後ますます専門店でも盛んになると思う。
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