パソコン、大型薄型テレビなどのデジタル家電は2013年も低迷し、市場は低空飛行を余儀なくされた。ハイエンドスマートフォン(スマホ)の売れ行きもさすがに従来のような高成長は期待できない。一方で、国内では先進運転支援システム(ADAS)を搭載したクルマやハイブリッド車(HEV)をはじめ、中国などではローエンドスマホの販売が好調だ。14年は「ポスト・スマホ」にも注目が集まる。さらに小型で高機能なモバイル端末機器の登場が期待され、半導体製品にとっても新たな市場に商機が訪れる。(株)東芝 セミコンダクター&ストレージ社の社長、成毛康雄氏に14年の事業展望や戦略を伺った。
■NAND、旗艦スマホに採用相次ぐ
―― 13年を振り返って。
成毛 主力製品のNANDは、1年を通じて需給バランスの適正化が保たれ、売価ダウンはなかった。前工程は国内で行っているため、円安も業績には追い風となった。
当社のNANDは多くの主要スマホメーカーのフラッグシップ(旗艦)モデルに使っていただいている。13年はやはりスマホ向けが市場を引っ張った。
システムLSIは13年7~9月期に黒字となったものの、気は抜けない。ディスクリートは国内の老朽化したクリーンルームや生産ラインを閉鎖した。タイには新たな製造拠点(TST)を立ち上げ、反転攻勢に出ている。
―― 足元の状況は。
成毛 13年前半はNANDの19nmプロセスへの切り替えを進め、コストダウンを推進した。現在「A19nm」(いわゆる1Ynm)を量産中で、順次切り替えを行っている。まだまだ微細化を加速していく。
一時、懸念されていたスマホ向けの価格の軟化はなく、14年1~3月もスマホ不需要期にもかかわらず、新機種投入の動きもあり価格は堅調だ。
―― NANDはコントローラーの役割がますます重要になっています。
成毛 スマホやタブレットなど組み込み用途のハイエンドeMMC向けを中心に、コントローラーICを内製している。信頼性を要求されるeMMCやSSDではコントローラーICが果たす役割が大事で、NANDを熟知しているメモリーメーカーに優位性がある。大分工場で生産している。USBやSDカード向けの一部は外販製品を多く使っている。
(聞き手・本紙編集部)
(以下、本紙2014年1月8日号1面)