■発刊趣旨とご購入のご案内

　日本の高齢者（65歳以上）1人に対する労働者人口（20～64歳）は、1990年は5.1人でしたが、2010年には2.6人とほぼ半減、高齢化がピークとなる25年には1.8人、60年には1.2人で支える「肩車型」に移行すると目されています。また、加齢に伴う罹患率の上昇、要介護者の増加、介護度の上昇が不可避となり、介護保険、医療保険への負担が大きくのしかかります。
　こうしたなか、国は「社会保障・税一体改革大綱」を打ち出し、これに基づいて、12年4月に診療報酬・介護報酬のダブル改訂、14年4月に診療報酬の改訂を行いました。病院、老人保健施設、特養ホームでかかる費用を圧縮するため、「施設から在宅へ、地域へ」をキーワードに、高齢者を可能な限り高齢者住宅や自宅へ復帰させるとともに、24時間随時対応定期巡回サービス、見守りサービスなどのメニューを追加しながら、往診、訪問看護／介護、看取りなど在宅での医療、福祉サービスによる支援体制、地域包括ケアシステムの体制構築へと誘導を図り、上記の大綱の「どこに住んでいても、その人にとって適切な医療・介護サービスが受けられる社会を実現する」ことを目指しています。
　高齢者の受け皿を確保するため、居住系は11年度の特定施設15万人分を25年度に24万人分、グループホーム16万人分を37万人分へと増加させるとともに、欧米と比べ不足する高齢者住宅の比率を4.4％まで引き上げる目標を打ち出しました。これには年平均6万戸の建設・供給が必要であり、サービス付き高齢者向け住宅（サ高住）の制度を創設、11年度325億円、12年度355億円、13年度340億円、14年度340億円の補助を計上して整備を促進し、制度創設から14年6月末時点で15万戸に達しています。
　さらに、医療施設、福祉施設、高齢者住宅の整備促進、円滑な資金調達を図り、健全な医療福祉リート（REIT）の市場育成を図っています。
　また抑制を図るとはいえ、介護施設は12年度末の92万人から14年度末には99万人まで、3カ年で7万人分を増設する目標を掲げています。
　本書では、高齢化の進展に伴う医療、介護需要の増加と在宅誘導施策により、高齢者住宅や介護サービス市場、介護保険以外のサービスなどの市場に大きなビジネスチャンスが生まれていると捉え、巻頭特集①では、急成長を続ける高齢者居住施設やサ高住の企業、事業者など60超の有力法人の最新動向をまとめました。巻頭特集②では、急増するサ高住の現状や計画、医療法人／社会福祉法人による住宅と手厚いケア体制の状況や、関連業種や異業種からの参入状況を紹介しています。
　第1章では国の施策と都道府県の整備目標数を解説、第2章では都道府県別の介護保険施設（特養ホーム、老人保健施設、グループホームなど）やサ高住などの個別計画を1300件以上収録しました。
　弊社では、病院、特養ホーム、老人保健施設など医療・福祉関連施設の新築・増改築計画を中心に斯界の動向を週刊で速報する『医療産業情報』およびその集大成版である『病院計画総覧』などを刊行、また『医療産業情報』Webサイトを公開しております。本書はこれら紙誌の編集スタッフの手によるものです。読者諸賢のご批判、ご助言をお願い申し上げる所存です。

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■内容構成