商業施設新聞
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第471回

ビッグクリエイト(株) 代表取締役 北浦大作氏


30年にドーナツ業態を50店出店
タニタカフェとのコラボ業態も

2025/3/4

ビッグクリエイト(株) 代表取締役 北浦大作氏
 ビッグクリエイト(株)(東京都港区)は、ドーナツ専門店「JACK IN THE DONUTS」を展開し、日本発祥のドーナツチェーンで第1位の事業規模を誇る。同業態は2030年に国内50店体制とし、25年は海外出店も計画する。さらに、(株)タニタとの協業による業態も30年に50店を目指し、事業を拡大する。同社代表取締役の北浦大作氏に聞いた。

―― 改めてこれまでの経緯を。
「JACK IN THE DONUTSヨドバシAkiba店」の外観
「JACK IN THE DONUTSヨドバシAkiba店」の外観
 北浦 JACK IN THE DONUTSの1号店は11年12月、千葉県市川市内の商業施設に出店し、ブランド価値を高めてきた。その一方で、以前は店内製造が中心で、出店には一定程度の区画面積が必要だった。また排気や動力の問題もあり、駅構内などには出店できず、郊外のモールが多かった。ただ「設備なしで出店できないか」との問い合わせも多かった。そうした中、テスト販売したところ手応えを感じ、23年12月に東京・辰巳にセントラルキッチンを立ち上げ、セントラルキッチンで製造して店舗に配送する形ができた。以来、投資額を抑えた出店ができるようになり、現在全国に29店を構える。

―― 価格帯は。
 北浦 150~320円と幅広く、平均で約200円。最も人気があるのが320円の「絶品クリームブリュレ」である。

―― 第5次ドーナツブームと言われています。
 北浦 ブームは波を作る。むしろ安定して上がっていきたい。当社は「わくわくを創造する」をテーマに、独創性と付加価値、高品質な材料を使いながら、流行に捉われず世界のドーナツを、デイリープライスで提供する。それが差別化のポイントだ。

―― 工場の稼働は。
 北浦 稼働率を上げるとともに、先ごろ拡張した。7月にもう一段の拡張を行い、現工場の生産能力を目一杯引き上げる。次の段階として都内にもう1工場を増やす考えだ。この2工場体制として、30年に店舗数50店以上とする。出店地は首都圏近郊になるだろう。物販専門の2~3坪型では駅ナカや百貨店への出店を強化したい。また2~3割はカフェ併設型とする。一方で、西日本はセントラルキッチン方式ではなく、店内調理型として展開する。

―― 25年の出店は。
 北浦 25年は10店を計画しており、今年の1号店は1月30日に京王百貨店新宿店を出店した。百貨店は2店目となった。25年は東京23区内を中心に、横浜駅近くでも出店を計画する。

―― 海外出店の計画は。
 北浦 6月ごろに、海外1号店をフィリピン・マニラにオープンする。その後はタイやベトナムにも進出する。30年以降はアメリカへの進出も視野に入れている。アメリカ進出は、沖縄の店舗が米軍関係者から評判が良かったからだ。

―― ドーナツ業態以外も展開していますね。
 北浦 フードコートに特化した鳥専門店「鳥さく」があり、これは大盛り唐揚げの業態。どちらかというと男性向けの業態で、これとは別に女性向けにヘルシーをキーワードに何かできないかと検討していたところ、タニタと組むことになり、「鳥〇食堂×タニタカフェ」が誕生した。

―― 鳥〇食堂×タニタカフェの出店計画は。
 北浦 現在、店舗数は4店で、25年内にさらに3店の出店を計画する。30年に50店程度にしたい。だが急ぐことなく、少しずつ上っていきたい。

―― 外食市場をどう見ますか。
 北浦 物価高や人件費の上昇は、当面収まることはないのではないか。当社では物流費削減や、商品価値を維持しながら材料の見直しなど、状況に対応できるビジネスモデルを磨いていく。

―― 建築費上昇で出店の足かせになることは。
 北浦 外食チェーンの平均的な店舗サイズは、業種・業態や規模にもよるが、30坪で4000万~1億円の投資がかかると言われている。当社はセントラルキッチンで製造し、店舗に配送するビジネスモデルを確立しており、店舗面積は2、3坪で出店でき、10分の1のコストで出店できるのが強みだ。

―― 人手不足問題は。
 北浦 制服のこだわりなど働きたくなるようなブランドづくりに心を砕いている。新宿店を出店した際、アルバイトを募集したところ、100人以上の応募があった。

―― 今後の抱負を。
 北浦 25年度の売上高を前年度比10%増の30億円を目標とする。軸となるJACK IN THE DONUTSは新店10店を織り込んでいるが、重要なのは、既存店の売り上げを前年度比で105%以上とすることだ。そしてブラッシュアップを重ねていく。味やビジュアル、香りなど、どうすればブランドの魅力がお客様に伝わるか。これにゴールはなく、常にチャレンジだと思っている。


(聞き手・特別編集委員 松本顕介)
商業施設新聞2585号(2025年2月25日)(8面)
 経営者の目線 外食インタビュー

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