C-UNITED(株)(東京都港区)は、珈琲館(株)と(株)シャノアールが統合し2021年に発足した。23年には(株)ポッカクリエイトが加わり、8業態・約560店のカフェチェーンとなった。ユニークなアイデアや多彩な施策で、事業を拡大しており、30年には1000店を目指す。代表取締役社長の友成勇樹氏に聞いた。
―― 24年度の状況から。
友成 「カフェ・ベローチェ」が前年同期比約110%、「カフェ・ド・クリエ」が同111%、「珈琲館」が同108%だった。価格を改定したが、客数に影響はなかった。18年度に珈琲館(株)を設立し、UCCグループから珈琲館事業を譲り受けたが、当時の珈琲館、シャノアール、ポッカクリエイト3社合算の利益からは、6年で約5.3倍規模になった。
―― 各業態にそれぞれ特徴があります。
友成 珈琲館は、フルサービスで、コンセプトは「永遠の40歳」とし、少子高齢化でアダルト・シニア市場を狙う。“喫茶店が出す食事”を特徴とする。例えば人気のホットケーキはレシピを統一し、銅板で1枚1枚を手で焼くスタイルにこだわり、フード全体の喫食率は75%に上がった。また、美味しいコーヒーを追求すべく、常時11種類のコーヒー豆を揃え、注文をいただいてから、1杯1杯淹れる。それを愚直にやっている全国チェーンは我々だけだと自負する。
―― 珈琲館の出店は。
友成 珈琲館業態の店舗数は216店。今までスクラップ&ビルドが多く、店舗数は純減だった。55年が経つブランドで、引退されるFCオーナーも多い。それが一巡し、今後は純増に転じる。また最近の出店は、従来の20坪規模から50~60坪、立地によっては100坪と大型化しており、収益性が向上している。
―― カフェ・ベローチェは。
カフェ・ベローチェはFC化で出店を加速する(写真は銀座みゆき通り店)
友成 幅広い世代に利用されており、さっと入ってさっと出られる業態を目指している。100点満点を狙うよりは、常に90点でお客様にご満足いただく、感動というより、感心していただけるイメージ。店名の「ベローチェ」は迅速の意味で、「速いのに意外と美味しい」と、言ってもらえるメニューに特化している。かつての「タバコが吸える場所」のイメージが強く、これを払拭するために、食事メニューを増やしたところ、喫食率30%以下から50%に高まり、客単価も300円以下から500円弱に上がった。また、来店目的のひとつになっているブランドキャラクターの「黒ねこ」グッズは収益貢献も大きい。
―― カフェ・ベローチェの今後の出店は。
友成 店舗数は現在165店で、すべて直営だが、今年3月からFC事業の加盟店募集を開始し、順調にいけば今夏にFC第1号が出店する。28年までに70店以上の出店を計画している。従前の立地は1.5等地で大型店舗だったが、最近は1等地で小型店舗にトライしており、順調だ。そのほか駅ビルや郊外型SCにも出店する。
―― カフェ・ド・クリエは。
友成 健康的なメニューを志向しており、病院から出店要請をいただくことが多く、病院内業態「カフェ・ド・クリエ ホピタル」を36店展開している。
一方で、3月から次世代モデルを都内の店舗でテスト中だ。ドリンク新メニュー21種類のほか、フードメニューも増やした。また「からだハピネスR」のテーマでテイクアウト専門商品を増やした。
―― 手応えは。
友成 オペレーション負荷を抑えるため、第1テストでは宣伝をしなかった。5月ごろから第2次テストに移行したい。商品の評判は悪くなく、「いつもはコンビニで買うが、今日は余裕があり健康的なもの食べたい」という来店動機につながるメニュー群だ。
なお当社のサンドイッチは全業態が店内調理。以前はベンダーから仕入れていたが、店内調理により、売り上げは2倍以上、コストも下がり利益貢献も大きく、何よりクオリティが向上した。
―― 海外展開は。
友成 26年度以降に検討する。北米やアジアを視野に入れており、業態は珈琲館とする。日本の名称だし、難易度は高いが客単価が高い。すでに北米のデベロッパーからオファーがあった。
―― 25年度の計画は。
友成 利益ベースで24年度比約30%増を見込む。毎年25%増を見込み、27年度には24年度比ほぼ倍になる。24年度の出店は9店で様子見としたが、出店を加速する。25年度は25店を予定し、うち10店は決定済み。状況次第では25店超となる。30年度に1000店を計画しており、いずれ年間の出店は70店ペースに乗せる。
―― 人材の確保は。
友成 厳しいが、25年度は新卒40人が入社した。アルバイトの採用も大変だが、それでもカフェの応募は多い一方、入れ替わりも激しい。辞めない手法を模索したい。
―― 最後に今後の抱負を。
友成 いわゆるマズローの五段階欲求でいえば、我々は二段目の「安全の欲求」だったが、三段階目の「社会的欲求」に到達したと実感する。500円のものを提供して、500円いただけるブランドになったが、500円でも700円払っていただけるような、次の「承認欲求」の企業体となることを定性的な目標としている。そのためにはどんな切り口が必要なのかが最大のチャレンジであり、3ブランドそれぞれ戦略を立てている。その点で23~25年をホップ・ステップ・ジャンプとすれば25年度はジャンプの年であり、店舗数拡大は戦略のひとつだ。26年度は次期中期経営計画の初年度となり、ホップ・ステップ・ジャンプの幅がより大きくなる。
(聞き手・特別編集委員 松本顕介)
商業施設新聞2595号(2025年5月13日)(8面)
経営者の目線 外食インタビュー