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第41回

大同プレーンベアリング、自動車エンジン用軸受の一大生産拠点、自動化推進で競争力強化


2025/7/8

工場外観
工場外観
 大同プレーンベアリング(株)(DPB、岐阜県関市のぞみヶ丘8-1、Tel.0575-23-4083)は、世界唯一の総合すべり軸受メーカーである大同メタル工業(株)の自動車エンジン用軸受の最大の生産拠点で、主に半割軸受の生産を行っている。2001年11月に設立し、06年7月に現工場の所在地である関テクノハイランドで新工場の起工式を実施。07年1月に第1工場が完成し、同年2月に自動車用エンジン軸受の生産を開始している。同工場の稼働後、大同メタル工業の東京工場(横浜市)および埼玉工場(埼玉県入間市)は閉鎖され、DPBに集約している。

 現在の工場の敷地面積は8万1000m²、延べ床面積2万4000m²の第1工場、同1万2000m²の第2工場、同1万m²の第3工場があり、第1工場では乗用車およびオートバイ用の製品、第2工場ではトラックや建機用の製品を生産している。工場の屋根には全面にソーラーパネルが設置されている。
 同工場は、大同メタル工業グループのマザー工場としてエンジン軸受の生産を集約しており、効率的な生産を実現する。また、小ロットに対応した設備の導入も進めており、エンジン車の市場の縮小や新規領域への参入に対応する。30年までに無人化と在庫管理システムの導入を実施し、20%のCO2削減を目指す。
 第1工場で生産される半割軸受のほとんどが自動車向けとなっている。他工場で生産された、製品材料となるバイメタルをスリット状に加工してプレス機に投入する。プレス機は20台設置されており、プレス機の手前にはバイメタルの不良を見分ける装置が取り付けられている。不良がある場合、そこで停止しプレス機にはいかないようにしている。
 また、プレスの進捗モニターを導入している。今までは、人が生産計画を策定していたが、これをデータベース化して、モニターで管理しており、自動化を推進している。以前から、前工程や機械加工ラインでは自動化を推進してきたが、ようやくプレス工程でも自動化できるようになった。
 プレス工程を経た部品は、メタルケースに収められ、AGVによって機械加工ラインに運ばれる。メタルケースの裏にはチップが収められており、どのようにして運ばれたのかがわかるようになっている。
 機械加工ラインは30本あり、2ラインに3人がつく体制を取っているが、2人体制に改め省人化していく方針。機械加工ラインで幅面加工、コーナー面取り加工、穴あけ加工、溝の加工、内面加工などを実施。オートチェッカーでこれまでの加工ができているかをエアーで確認する。
 機械加工を経た製品は、洗浄された後、検査工程へと運ばれる。インラインでも検査を行っているが、万が一に備え、カメラを利用して外観検査を行っており、この工程を通ったものはすべて良品として出荷される。25年度中にはバーコードを使った管理体制を構築する予定で、最終的には出荷までを管理する体制を構築する。
 同工場では、暑さ対策が課題となってきている。屋根上の太陽光パネルの隙間には遮熱塗装を実施。エアコンも工場を建築した時のものがそのまま使われているため、効率が良く、能力を上げたエアコンに更新することを検討しており、25年度中に計画を具体化し、26年度で実施していく。
 また、カーボンニュートラルに向けた投資も進める。現在同工場では、動力に油圧を使用する油圧モーターが使われているが、このモーターは熱を発するため電力を消費する、これをサーボモーターに置き換えて、電力消費量を抑えることも計画している。
 同工場では、自動化には投資を惜しまない方針。現在、外観検査の工程に多くの人員が割かれているため、この工程での省人化を進める。ラインの統合や自動化、見える化などを推進し、生産性を向上させ、競争力強化を図る。また、工場建設から17年を経ているため、設備の更新の必要が出てきており、更新計画にあわせて自動化を進める計画だ。

(編集長・植田浩司)
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