関西エリアの商業施設が元気だ。2025年度は関西エリアにおいて「EXPO 2025 大阪・関西万博」が開催され、開業前の予想を上回る延べ2902万人が来場した。会場には海外からの渡航客に加え、日本人観光客や地元客も多く訪れ、184日間の夢の時間をたっぷり楽しんだ。公式キャラクターの「ミャクミャク」も最初は不評だったが、閉幕が近づくにつれ、徐々に人気が高まり、オフィシャルストアを運営する関西の鉄道会社や小売り各社に大きな恩恵をもたらした。既存の商業施設にも、その恩恵が行き渡ったのは言うまでもない。
実際、関西エリアの既存商業施設を取材してみると、好調ぶりがよく伝わってくる。約300店が入居するショッピングセンター「阪急西宮ガーデンズ」では業績が右肩上がりで推移している。24年度はシネコン「TOHOシネマズ西宮OS」が売り上げを牽引したことで、全館売上高が前年度比3.3%増の866億円と過去最高を更新。専門店(百貨店やGMSを除く)の売上高も大型店を中心に売り上げが伸びたため、前年度比5.9%増の515億円を計上した。25年度の数字はまだ発表されていないが、前述のTOHOシネマズ西宮OSは24年度に続き、25年度も売り上げが好調で、映画館としての利用に限らず、宝塚歌劇をはじめとするライブビューイング会場としての利用も増えており、前年度実績を上回る公算は大きい。
350店を集積するSC「天王寺ミオ」も好調だ。同施設は12階建ての本館と、地下2階地上8階建てのプラザ館、駐車場ビルの3棟で構成され、売り場面積は約3万8000m²。店舗数は本館が約240店、プラザ館は約110店で、2館合計で約350店を集積する。24年度の売上高は421億円を計上し、コロナ前の19年度実績を超え、過去最高を記録した。食関連では本館1階のファッションゾーンの一部を食に転換し、「治一郎」や「中島大祥堂」など近隣の百貨店にはないテナントを集めた、自家需要とギフト需要の両方に対応できる食品ゾーンを形成。この食関連に加え、最近はIPコンテンツにも力を入れており、本館6階を「ジャンプショップ」や「カービィーカフェプチ」などのキャラクターグッズ店の集積ゾーンに転換し、新規客の獲得につなげている。こうした取り組みにより、25年度の売上高は440億円を見込んでおり、2年連続で過去最高を更新する見通しだ。
これらの好調なSCに加え、関西エリアでは既存百貨店への投資が増えているのも、元気な証拠と言える。阪急阪神百貨店は25年度に「阪神梅田本店」の改装を実施。約25億円を投資し、地下2階と9階のレストランフロアを除く各フロアを対象にリニューアルオープンした。とりわけ、メーンとなる地下1階および地上1階の食品フロアは、“食の阪神”を象徴するフロアとして、地下1階に初の専門店や姉妹店、地上1階には新ブランドの店舗をそれぞれ導入した。阪急阪神百貨店は隣接する「阪急うめだ本店」でもリモデルを実施しており、7階婦人服フロアに「プレミアムワールド」、5~6階に「HANKYU LUXURY」の売り場を開業するなど、新規客の獲得や既存顧客の満足度向上を図っている。祭り(EXPO 2025 大阪・関西万博)の後は景気が悪くなるとよく言われるが、関西エリアの商業施設を見ているとその不安は払拭される。次の旗印となる大阪IRやなにわ筋線の開業に向けて、どのような街づくりや商業開発が行われるのか、今から楽しみだ。