電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
新聞情報紙のご案内・ご購読 書籍のご案内・ご購入 セミナー/イベントのご案内 広告のご案内
第676回

中国の半導体はファブレス台頭、AI関連企業の上場も続出


エヌビディアの優位性を脅かす中国メーカーも多く出てきた

2026/6/12

 中国半導体については、CHIPS法などの影響で低迷していると見る向きもあるが、それはとんでもない間違いだ。確かに、微細加工プロセスの装置や材料は中国への持ち込みが禁止されているが、闇市場も存在しているだけに実際にはかなり中国に導入されているようだ。そして、中国のファブレス半導体をみると、その売上高は2025年に日本円で約20兆円規模に拡大した。

 世界の半導体ファブレス企業ランキングをみても上位に2社が入っている(ハイシリコンが4位、ウィルセミコンが6位)。そして、その2社を筆頭に中国では現在半導体ファブレス企業が約4000社あるとされ、その範囲もフラッシュメモリー、マイコン、CMOSイメージセンサー、AIチップとバラエティーに富んでいる。

 「中国のファブレスの動きもすごいが、そのほかの半導体関連企業も上場する企業がかなり目立ってきた。国家の方針として、半導体の自給自足をうたっているだけにIPOによる資金調達も活発化しており、拡大が続いている。これは、サプライズ以外の何物でもない」

中国では半導体関連企業のIPOが加速(写真はMetaXが上場した際のもの)
中国では半導体関連企業のIPOが加速(写真はMetaXが上場した際のもの)
 こう語るのは、半導体業界で著名アナリストとして知られている人物である。それほどに中国では半導体企業のIPOに関する動きが勢いを増している。直近では、25年末にMoore ThreadsとMetaXが上海証券取引所に上場した。両社ともに20年に設立され、たったの5年間で上場するというスピードの速さにも注目すべきであろう。この2社は、高性能GPUなどAI処理に使用する半導体の設計を手がけている。また、BirenやIluvatar CoreXの2社もまたGPUを手がけており、いずれも1月に香港証券取引所で上場を果たした。

 そして、こうした中国のGPUメーカーとAI半導体メーカーが中国国内のAIアクセラレーターサーバー市場で40%を超えるシェアを獲得し、エヌビディアの優位性を脅かしているという。中国のAIアクセラレーターカード市場をみると、25年は合計400万枚が出荷された。このうち55%はエヌビディアであったが、中国メーカーの合算値は合計165万枚でシェア41%を占め、確かにAIチップの世界においても中国で国産化が急速に進んでいる。

 半導体材料の世界においても、日本の脅威となる企業が出てきた。例えば、シリコンウエハーを手がけるESWINは中国でのシェアを拡大しており、25年10月に上海証券取引所に上場した。半導体材料や半導体装置は日本勢が得意とする領域だが、今後中国の国産化はさらに加速することが予想され、中国の新たな時代が始まったといえるだろう。


泉谷 渉(いずみや わたる)略歴
神奈川県横浜市出身。中央大学法学部政治学科卒業。35年以上にわたって第一線を走ってきた国内最古参の半導体記者であり、現在は産業タイムズ社 取締役 会長。著書には『自動車世界戦争』、『日・米・中IoT最終戦争』(以上、東洋経済新報社)、『伝説 ソニーの半導体』、『日本半導体産業 激動の21年史 2000年~2021年』、『君はニッポン100年企業の底力を見たか!!』(産業タイムズ社)など27冊がある。一般社団法人日本電子デバイス産業協会 理事 副会長。全国各地を講演と取材で飛びまわる毎日が続く。
サイト内検索