電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第688回

Nexperia チーフコマーシャルオフィサー(CCO) アンドレア・トランキダ氏/日本支社長 国吉和哉氏


後工程再構築で能力倍増へ
サプライチェーンを強靭化

2026/7/31

Nexperia チーフコマーシャルオフィサー(CCO) アンドレア・トランキダ氏/日本支社長 国吉和哉氏
トランキダ氏
Nexperia チーフコマーシャルオフィサー(CCO) アンドレア・トランキダ氏/日本支社長 国吉和哉氏
国吉氏
 バイポーラトランジスタ/小信号ダイオード、ESD保護デバイス、小信号MOSFETで世界首位、標準ロジックデバイス、車載用パワーMOSFETで世界2位と世界に存在感を示すNexperia(ネクスペリア、オランダ・ナイメーヘン)。2025年秋以降、米中対立影響による一部半導体製品の供給難で世界のサプライチェーンが混乱したことも記憶に新しい。同社チーフコマーシャルオフィサー(CCO)のアンドレア・トランキダ氏来日を機に、日本支社長の国吉和哉氏も交えて同社の現況や戦略をお聞きした。

―― 昨秋に貴社製品の供給が滞りました。
 トランキダ 輸出規制と、中国における当社の組立工場に対する管理権の喪失が主要因となり、パワーバイポーラトランジスタ、および小信号用MOSFETのそれぞれ一部のサブファミリーが供給不足に陥った。これらの製品群は代替生産拠点が存在しない製品だったことや、当社内で後工程の多くを中国に集中させていたことから、当社の事業は輸出規制によって深刻な影響を受けた。なお、この規制は25年11月に緩和された。そのため当社では現在、25年10月以降、当社の暫定CEOを務めるステファン・ティルガー指揮のもと、サプライチェーンの強靭化、当社後工程拠点の再構築に取り組んでいる。

―― 後工程拠点の再構築について。
 トランキダ 既存のマレーシアのセレンバン工場とフィリピンのカブヤオ工場で後工程の生産能力を増強中だ。セレンバン工場にはオープンスペースがあり、そこにクリーンルームを構築し、ワイヤーボンダーやダイボンダーなどの新規設備の追加導入を迅速に行った結果、わずか6カ月で能力倍増が実現した。26年末までには、中国で喪失した後工程の生産能力をほぼ完全に回復できる見込みである。また、カブヤオ工場でも27年初頭には能力倍増となる予定である。ちなみに、当社は関連会社のITECで後工程用の組立装置を自社内製し、同装置の外販も行っている。
 国吉 一方、中国国内向けではOSATなどパートナー企業と連携した生産体制強化を推進中であるほか、ハンブルクの前工程拠点から、顧客を通して中国のネクスペリアの後工程拠点へウエハーを供給し続けている。これにより、中国を一切経由しないルートと、中国で完結するルートという二重の生産体制が整う。

―― 前工程については。
 トランキダ ドイツのハンブルク工場でバイポーラトランジスタ、小信号&パワーマネジメントIC、ESD保護デバイス、MOSFET製品を8インチウエハーで生産している。GaN製品やSiC製品も手がける。英国のマンチェスター工場では、パワーMOSFETを生産しており、6インチから8インチへ移行中である。また、ロジック製品、ESD保護デバイス、MOSFETは外部ファンドリーも一部活用している。さらに最近、米国のウエハーファンドリー企業であるPolar社と提携し、米国を拠点とする顧客への対応も強化した。

―― 投資額も必要ですね。
 トランキダ こうした一連の増強や、SiCや特にGaN製品(横型GaN HEMT)を含む製品ポートフォリオ拡充などに向けて、年間数億ドル規模の投資を計画する。GaN製品は今後、データセンター、ロボット工学、EVなどの電力変換用途において、広く普及すると予想している。当社のGaN製品ではノーマリーオフ型、ノーマリーオン型、双方向型を取り揃えており、当社にとっては高耐圧領域に参入する好機となる。

―― 業績面について。
 トランキダ 25年の結果については現時点ではまだお伝えできないが、24年の売上高は20・5億ドルを達成した。当社は常に黒字を維持しており、健全なキャッシュポジションを確保できている。なお、各種新製品開発は一連の供給不足対策で滞っていたが、26年から再開している。

―― 日本での戦略を含め、今後の展望を。
 国吉 日本は自動車領域で世界をリードする存在であり、この地の利を活かし、自動車メーカー、ティア1サプライヤーとの絆をより深めていく。また、非車載分野でもロボティクスなどの伸長分野で日本に多数の技術があり、こうした産業機器領域での新規市場にも積極的に拡販していく。
 トランキダ 当社ほど汎用ディスクリート製品の生産能力拡大に対して積極投資を実行している企業は他に類を見ない。また、ppbレベルの高品質な製品群も当社の武器である。今後もこれらの強みを活かして高シェアを堅持していく。


(聞き手・高澤里美記者)
本紙2026年7月30日号1面 掲載

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