電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第684回

東北大学と東京エレクトロン宮城が語る言葉の面白さ


「NEDIA Day東北ふるかわ2026」の講演に登壇

2026/8/7

 2026年7月22日の午後に「NEDIA Day東北ふるかわ2026」が開催された。NEDIA(日本電子デバイス産業協会)は毎年秋に大型のシンポジウムであるNEDIA京都フォーラムを開催しているが、東北エリア、九州エリアなどの他地域でもセミナーを随時、行っているのだ。

NEDIA DAY東北ふるかわの会場の様子
NEDIA DAY東北ふるかわの会場の様子
 東北については青森、仙台などで開催してきたが、今回は宮城県古川市にあるアルプスアルパインの仙台開発センター(古川)で開催されたのである。このセミナーでは、2つの講演が特に興味を引いたのだ。一つは、東北大学金属材料研究所の吉川彰教授の講演であり、もう1つは東京エレクトロン宮城のシニアフェローの永関一也氏の講演であった。

 東北大学の吉川彰教授によれば、人類の文明の革新と材料には特別な関係論があるのだという。古代においては、石器が狩猟時代に多く使われた。都市が形成される頃には青銅器が使われ、さらには高度成長に入り、鉄器が使われたのである。そして、近代にあっては真空管からトランジスタへの道が拓かれ、シリコン半導体結晶の高純度化・低欠陥化によって、シリコントランジスタがはじめて実用化され、真空管をあっという間に置き換えた。電球もまたそうであり、白熱電球、蛍光灯からLEDにあっという間に置き換えられることになる。

 そして吉川教授の率いるグループは、半導体次世代素材である酸化ガリウムの基板の量産化につながる技術を立ち上げた。スタートアップ企業FOX(仙台市)が設立され、2028年までに完全な量産技術を確立し、生産工場の新設を目指すという。酸化ガリウムはEVの電力変換や新幹線のモーター制御を担うパワー半導体の素材として注目されており、これを用いた半導体基板(ウエハー)を量産することになるのである。

 一方、東京エレクトロン宮城の永関フェローの話は、色々な点で超面白かった。周知のように、東京エレクトロンは26年3月期で売上高2兆4435億円を記録し、過去最高を更新した。この金額は、ソニー半導体の2兆円を上回っているわけであり、事実上の日本一の半導体関連企業は装置を担当する東京エレクトロンということになる。営業利益率もすごいものがあり、25.6%を達成している。

 グローバルのランキングで見ても、半導体製造装置メーカートップ10の中で東京エレクトロンは現在、第4位に位置している。しかし、この勢いが続けば第3位のラムリサーチをキャッチアップするのもそう遠いことではないだろう。

 さて、東京エレクトロン宮城は、10年7月に設立され、16年の歳月を刻んできた。同社の場合は、半導体用エッチング装置の開発・製造、さらにはフィールド技術サポートなどをメーンにやっている。永関氏によれば、東京エレクトロン宮城は「世界一の半導体製造装置工場」を目指すというのだ。そのためには、①付加価値のある装置技術の創造と実装、②市場成長に柔軟に追従できる生産システムの実現、③デバイス生産現場での圧倒的装置品質の確立、④これらを支える人材の育成と確保などが必要になってくるのだ。

 そしてまた、人材確保・育成への取組みはとりわけ重要であり、地域との連携も図っているようだ。高校/高専/大学での出前授業を実施しており、昨年度実績は7校、約400名となっている。同じく、高校生、大学生などの会社見学受け入れも昨年度実績は15校、約500名に及ぶという。大学においては、連携講座を実行しており、半導体に関する講義を4校で実行している。インターンシップ受け入れは昨年度実績で約100名となっている。

 東北大学と東京エレクトロン宮城の講演のキーワードは、やはり東北エリアにおける半導体技術の進展/半導体装置量産の展開にあると言えるだろう。シリコンアイランド九州に次ぐ半導体関連の学の集積と工場の展開が、東北エリアにおいて今後も多く続いていくことを思わせる良い講演であった、と言っておこう。


泉谷 渉(いずみや わたる)略歴
神奈川県横浜市出身。中央大学法学部政治学科卒業。35年以上にわたって第一線を走ってきた国内最古参の半導体記者であり、現在は産業タイムズ社 執行役 会長。著書には『自動車世界戦争』、『日・米・中IoT最終戦争』(以上、東洋経済新報社)、『伝説 ソニーの半導体』、『日本半導体産業 激動の21年史 2000年~2021年』、『君はニッポン100年企業の底力を見たか!!』(産業タイムズ社)など27冊がある。一般社団法人日本電子デバイス産業協会 理事 副会長。全国各地を講演と取材で飛びまわる毎日が続く。
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