(株)メイコー(神奈川県綾瀬市)の勢いが止まらない。新規参入した低軌道衛星(LEO)ならびにAIサーバー向けの高多層板需要の急増で業績拡大が続く。ベトナムでは同社最大規模となる高密度多層板工場の立ち上げを目指す。2028年度までの3年間で2100億円の大型投資にも乗り出す。名屋佑一郎社長に今後の事業展開を聞いた。
―― 過去最高業績を更新中です。
名屋 25年度の売上高は前年度比16%増の2406億円、営業利益は同29%増の246億円と2桁の増収増益を達成した。車載向け基板は、新規顧客への販売が増加して同8%増の975億円、スマートフォン(スマホ)・タブレット向けは、高機能モデル向けが増えて同15%増の294億円を計上した。新規参入した衛星通信向けは7割強伸長して282億円へと急拡大した。モジュール基板やSSD、通信モジュールも好調に推移した。
―― 26年度の事業展望を。
名屋 26年度売上高は同33%増の3200億円、営業利益は同54%増の380億円と過去最高の更新を見込む。主力事業の車載やスマホ・タブレットでは高機能ビルドアップ基板を中心に増収を見込む。さらにAIサーバーや衛星通信分野での大幅な成長を目指す。EMSやODM事業を手がける電子機器事業も前年度比で55%増収を見込んでいる。
―― 中計(26~28年度)でも大幅な成長を目指しています。
名屋 28年度売上高で4600億円、営業利益650億円をそれぞれ見込む。営業利益率で25年度は10%強だが、28年度までには14%へと引き上げたい。中長期的には基板の世界トップ企業並みの20%に向けて利益率の向上を図る。工場の自動化や適正価格の見直しなどを適宜進めたい。
―― 28年度までに総額2100億円を投資します。
名屋 基本的に成長市場に投資を行う。まずAIサーバーや衛星通信分野の中高多層板を狙う。ベトナムに約600億円を投じて当社最大の新工場を建設する。今期中には建屋を整備し装置搬入を始める。衛星関連を中心に量産する。また、ベトナム第4工場では衛星やAIサーバー向けの中高多層板を生産しているが、旺盛な需要があるため現在も生産ラインを増設している。投資額も当初の約250億円から約450億円に引き上げている。クアミン第3工場も5月に着工した。薄型ハイエンドスマホ向けに最先端のビルドアップ基板を量産する。各新工場では自動化を最大限進めて生産性を大幅に引き上げる。
―― AIサーバー関連にも本格参入ですね。
名屋 サーバーには様々なマザーボードやパッケージ基板が使用されている。当社はアクセラレーターボードや光通信モジュール、各種メモリーモジュール、メーン基板を手がける。なかでもアクセラレーターボードやMSAP対応の光通信モジュールに注力する。メーン基板向けでは、台湾ACCL社とJVを立ち上げ中で、27年4月から量産を目指す。
―― 次期中計のイメージは。
名屋 次は売上高1兆円を目指したい。AIを軸に成長産業に投資を継続、世界市場で当社も飛躍を目指す。基板部門は既存の車載やスマホ・タブレット、ゲーム・産機・医療機器に加え、新たな柱となる衛星通信ならびにAIサーバーを伸ばしたい。半導体関連ではFCBGA基板に加えて、部品内蔵基板などの高付加価値を追求できる新製品にもチャレンジする。また、電子機器部門も現行の2倍強にあたる売上高2000億円を目指す。ODMの比率を引き上げて基板事業との相乗効果を最大化する。これらを七本柱として事業を拡大していく。
―― 当面、高水準の投資が継続します。
名屋 現中計では年間700億円規模に拡大しているが、さらなる引き上げを検討していくことになろう。現在の主力拠点が集中するベトナムは敷地が一部残っているので、最終顧客の需要を見定めて投資を練る。現在、全社の7割をベトナムで売り上げているので、中長期的にはポスト・ベトナムも視野に入れる。
(聞き手・特別編集委員 野村和広)
本紙2026年8月6日号1面 掲載