電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第690回

(株)堀場エステック 代表取締役社長 宮本武志氏


世界シェア60%のMFCに注力
福知山稼働でさらなる成長へ

2026/8/14

(株)堀場エステック 代表取締役社長 宮本武志氏
 (株)堀場エステック(京都市南区)は、半導体製造分野で使用される流体(気体・液体)の流量制御機器であるマスフローコントローラー(MFC)で世界シェア60%を持つリーディングカンパニーである。2025年4月には、化合物半導体のウエハー検査装置に強みを持つ韓国の企業を買収し、事業領域の拡大へ精力的に取り組んでいる。今回、同社を率いる代表取締役社長の宮本武志氏に話を伺った。

―― ご略歴について。
 宮本 京都外国語大学を出て、1996年に堀場エステックに入社した。その後米国駐在を経験し、台湾支店長、ホリバ・台湾社の総経理を経て、16年に事業戦略室の室長となった。18年には、ホリバ・インスツルメンツ社(シンガポール)の社長に就任。23年に堀場エステックの執行役員に就任し、26年3月に代表取締役社長を拝命した。また、4月に堀場製作所の執行役員にも就いた。

―― 堀場グループの業績は絶好調ですね。
 宮本 25年の売上高実績は3330億円、26年は上方修正し、3730億円となる見込みだ。営業利益率も18.2%と良い数字が予想されている。このうち、先端材料・半導体フィールドは1960億円となり、全社売上高の5割強を占める。半導体関連の主力である堀場エステックも25年12月期に875億円の売り上げを達成し、かなりの好調を維持しているといってよいだろう。

―― 主力のMFCの状況は。
 宮本 京都本社工場と阿蘇工場(熊本県)の2工場で月産5万台の生産能力を構築しており、足元ではフル稼働といってもよい状況だ。生成AIなどのブームにより、先端材料・半導体フィールドは伸長が目覚ましい。とりわけ、GPUやメモリーの成長は目を見張るほどであり、26年における世界の半導体マーケットは前年比倍増の240兆円に達するともいわれている。当社においてもこれに対応し、きっちりと供給責任を果たしていくことを心がけている。

―― MFCのシェアは高いですね。
 宮本 ありがたいことに、60%ほどの世界シェアをいただいている。MFCの世界はカスタムの合わせ込みの技が必要であり、堀場はここに注力してきた。そしてユーザーニーズをいち早く掴み、スピーディーに生産・供給するというスタイルを通じて、世界中のお客様から支持をいただいてきたと自負している。

―― 京都福知山の新工場も貢献しますね。
 宮本 京都福知山にはテクノロジーセンターの新棟立ち上げと新工場の稼働を合わせて、トータル約210億円の設備投資を断行した。福知山の新工場は自動化、効率化を実現した基幹工場として、より強固な安定供給体制を確立していく。

―― テクノロジーセンターも重要ですね。
 宮本 そのとおりだ。次世代デバイスの開発や環境負荷低減を目的に、新たな液体材料・ガスの計測・制御需要が高まっており、試験ラインを増設して対応する。要素技術開発では、分光分析など堀場グループが有するコア技術を応用し、半導体製造装置における様々なプロセスをモニターできる計測器のラインアップを拡大していく。

―― 薬液濃度モニターについては。
 宮本 グループの水・液体計測事業を担う堀場アドバンスドテクノが手がけており、光ファイバー式非接触型の新製品を投入している。小型化と安定測定を両立し、測定可能な薬液種類を拡充することに成功した。前処理が不要であることも大きな特徴であり、ウエハーの洗浄やエッチング工程における薬液の濃度管理の効率化に貢献する。

―― 中長期の目標について。
 宮本 京都福知山工場の生産レベル拡大や京都福知山テクノロジーセンターとのシナジーの創出をはじめとして、より高次元なステージへと成長を果たしていきたい。HORIBAの社是である「おもしろおかしく」を胸に刻み、全社一丸となって努力していく構えだ。


(聞き手・特別編集委員 泉谷渉)
本紙2026年8月13日号1面 掲載

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