中部エリアの玄関口として、また東海エリアから多くの人が集まる交通の要衝でもある愛知県。リニア中央新幹線の開業時期は依然として不透明であり、名古屋駅周辺では大規模再開発が見直されるなど、暗い話題が続く一方で、既存商業施設のリニューアルや新施設のオープン、ラグジュアリーホテルの開業など明るい話題も飛び交い始めた。愛知県のポテンシャルはどこにあるのだろうと、ふと考える。
愛知県の人口は744万6480人(7月1日時点)と、全国で4位の総人口で、年少人口(0~14歳)は全国で8位、高齢化率は全国で45位となっており、比較的若い世代が多い人口構成である。産業別では第三次産業(卸売・小売業など)の割合が全体の約6割、第二次産業(製造業など)の割合が約4割を占め、トヨタ自動車(株)などの自動車産業を中心に、全国に比べ、製造業の構成比が極めて高いのが特徴。豊田市に本社工場を持つトヨタ自動車は、2026年3月期に営業収益50兆6849億5200万円を記録しており、日本を、世界を背負って立つグローバル企業として君臨している。
こうした製造業が工場を構え、愛知県の雇用を支えながら、同県の卸売・小売業の発展に陰ながら貢献している。愛知県には地元企業として、スギホールディングス(株)、(株)ゲオホールディングス、(株)アルペンなどの小売企業が存在する。外食企業も(株)壱番屋、(株)コメダホールディングス、(株)物語コーポレーションといった上場企業が多く、地元を中心に日本全国、果ては海外にまで店舗を展開している企業もある。地元企業が活況であれば、当然のごとく雇用は安定化し、経済は潤うことになる。
しかし、愛知県では昔から「名古屋飛ばし」という言葉がよく囁かれてきた。これは東京で開催されたイベントが、名古屋を経由せず、大阪や福岡に飛んでしまうこと。日本の三大都市圏(首都圏、近畿圏、中部圏)と言われながら、このような扱いを受けると、自信をなくしてしまう。まして21年に東京オリンピックが開かれ、25年に大阪・関西万博が開催されると、周囲ばかりが盛り上がって、愛知県にその恩恵は届かないという日々が続いた。
ホテルや商業施設が入る「ザ・ランドマーク名古屋栄」
そんな愛知県に千載一遇のチャンスが訪れる。9月19日から始まるアジア競技大会だ。日本では過去に東京や広島で開催されたが、前回の広島(1994年)から実に32年ぶりの日本での開催となる。同大会は9月19日から10月4日まで開催され、45の国と地域に加えてOCA難民チームを含む計46のチームが参加し、東アジアから西アジアまで幅広い地域から選手が集まる。会場は名古屋市内の競技場を中心に、東京、静岡、岐阜、大阪でも競技が行われるが、選手たちの多くは名古屋市内を中心に回遊することは確実。6月に開業した「ザ・ランドマーク名古屋栄」のほか、「名古屋城」や「中部電力 MIRAI TOWER」など、多くの名所旧跡に人が訪れることは間違いない。
愛知県のポテンシャルは随所に見られるはずなのに、地元住民はそこに気づかない。これこそが愛知県の最大の弱みであり、今後、リニア中央新幹線が開通しても、考えなければならない課題と言えるだろう。