商業施設新聞
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第543回

三菱地所アジア社 Deputy Managing Director 金田宗一郎氏


大型食品物流施設の開発に参画
セントラルキッチンなど多用途

2026/10/13

三菱地所アジア社 Deputy Managing Director 金田宗一郎氏
 三菱地所(株)は現在、シンガポール最大級の食品関連企業向け物流施設開発に参画している。延べ11万m²超の大型施設であり、商品を保管するだけでなく、飲食店のセントラルキッチンなどとしても利用できる。商業施設の賃料が上昇する中、店内キッチンの小規模化・効率化の需要は高まっており、すでに入居の引き合いがあるという。施設内には飲食区画も設けることで地域の拠点とする考えだ。三菱地所アジア社Deputy Managing Directorの金田宗一郎氏に事業の狙い、概要などを聞いた。

「Gourmet Xchange」のイメージ
「Gourmet Xchange」のイメージ
―― 事業の概要から教えてください。
 金田 シンガポールの大手不動産デベロッパーであるCapitaLand Development社(CLD社)などとともに、シンガポール・カラン地区で食品関連企業向けの分譲物流施設「Gourmet Xchange(グルメ・エクスチェンジ)」を開発する。9階建て延べ約11万4240m²の大規模施設で、竣工は2029年を予定している。日本の物流施設とは少し異なり、商品の保管に加え、農産物の加工やセントラルキッチンなど製造拠点として使うことを想定している。全272区画を整備し、飲食区画も設けるため、多様な用途になる。

―― 食品の製造拠点がここまで集積する施設は日本ではあまりありません。事業の背景は。
 金田 もともとは政府が管理する工業関連の土地があり、この跡地を活用する事業となる。シンガポールでは温暖な気候もあって、調理済食品は調理してから4時間以内に消費しなければならないというルールがあり、食品の製造拠点を市街地近くに整備することは外食、食品関係、ケータリング企業などに求められている。そうした中、計画地のカラン地区は市街地まで10~15分とアクセスが良く、これは事業の大きな強みだ。
 また、シンガポールは商業施設の賃料が高騰しており、なるべくキッチンの面積を小さくして席数を確保する、人手不足が進んでいるので効率的に調理できることなどが求められている。結果として、大手企業、中小企業に関わらずセントラルキッチン、サテライトキッチンの需要が強くなっており、多くの利用が見込める。

―― 施設の詳細について。
 金田 2棟構成で、「ザ・エクスチェンジ」という9階建ての大型施設に264区画を設ける。1~3階は40フィートコンテナトレーラーが走行可能で、全フロアにランプも備える。車路は16mを確保するので使いやすい施設になる。低層の川沿い区画には飲食店の区画も設ける計画だ。
 既存建物を改修した「ヘリテージテラス」は3階建てとなり、1階にショールームや飲食店として使える区画を8つ設け、1区画あたり約700m²、計約5600m²となる予定。2~3階には製造を行える区画などを設け、2~3階で作ったものを1階の区画で提供するなど、一体的な利用もできるだろう。
 施設全体として1区画あたり295~758m²の規模で、複数区画を組み合わせて利用することもできる。各区画に電力や水の供給ポイントを設けており、食品関連の企業に幅広く使っていただける。多くの区画を設けるので、入居企業同士のコミュニティが生まれることも期待している。

―― 日本では物流施設に飲食ゾーンを設けるのは珍しい取り組みです。
 金田 シンガポールとしても珍しい。ただ、ヘリテージテラスに設ける飲食ゾーンの向かいには集合住宅があり、視認性が高い。また、施設は川沿いで緑地など公園のような空間も整備するため、飲食利用のポテンシャルがある。フードキオスクが並ぶエリアも設けるため、地域コミュニティの拠点としたい。

―― 想定するテナントは。
 金田 事業規模を拡大したい企業や、分譲としてコストを安定化したい企業などを見込んでいる。業種としては飲食事業者、ケータリング事業者、食品製造事業者などをイメージしており、ゴーストレストランのキッチンとすることもできるだろう。すでに多くの企業から関心が寄せられており、日本からシンガポールに進出する企業にも使っていただきたい。

―― 分譲として提供するそうですが、価格帯は。
 金田 コンパクトな区画が約230万シンガポールドル(約2.9億円)、大型区画は約600万シンガポールドル(約7.5億円)となる。食品製造業は設備投資が大きいため頻繁に移転する業種ではないこと、シンガポールは賃料の上昇が目立つことを踏まえて分譲として提供する。

―― 改めてこの施設の強みは。
 金田 こうした製造拠点が集まった施設はほかにもあるが、市街地への近さは大きな強みになる。飲食区画やキオスクの区画があるので、テストマーケティング拠点としても利用でき、入居企業の成長に寄与できると思う。シンガポールの環境性能基準において最上級のものを取得予定で、先進施設として提案していきたい。



(聞き手・編集長 高橋直也)
商業施設新聞2660号(2026年8月25日)(4面)

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