商業施設新聞
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第17回

(株)ビー・ワイ・オー 代表取締役社長 楊文慶氏


「和食」軸に幅広い業態を展開
大都市中心に積極出店へ
新業態の開発にも意欲

2016/3/1

(株)ビー・ワイ・オー 代表取締役社長 楊文慶氏
 (株)ビー・ワイ・オー(東京都豊島区西池袋3-15-1、Tel.03-5957-5341)は、主力の「えん」を軸に和食を基本とした飲食店を、駅ビルやショッピングセンター(SC)などに出店している。居酒屋、定食屋、ファストフードなど業態も幅広く展開し、特に最近は「おぼんdeごはん」の積極的な出店が業界でも注目されている。常に新しい可能性に挑戦し続ける同社代表取締役社長の楊文慶氏に話を聞いた。

―― 1号店は。
  和食居酒屋の「えん」からスタートした。自社ビルの余ったスペースでカラオケ店をはじめ、その上のフロアで屋台村を展開し、それを「えん」に変更したのが最初だ。
 その後、他社と差別化のため「えん」のブランディングを構築。これが奏功し、「えん」は総菜、お茶漬けなどの専門店を独立させて出店するなど多岐にわたるようになり、現在は多くの業態を展開するまでに成長した。

―― 現在の業態、店舗数は。
  当社は居酒屋「えん」「和食 えん」「菜な」など主に重飲食を手がける飲食事業部と、「おぼんdeごはん」「つくみ」「マルモキッチン」など軽飲食を展開するHMR事業部の2グループで構成し、和食を軸に14業態で97店(海外含む)を出店している。店舗数を拡大している「おぼんdeごはん」は、2008年7月に1号店の新宿ミロード店をオープンした。現在は国内で24店を展開している。

―― 「おぼんdeごはん」開発の背景は。
おぼんdeごはん浦和アトレ
おぼんdeごはん浦和アトレ
  居酒屋の競争が激しくなりすぎ、居酒屋以外の軸を作りたいと思っていたときに開発した“脱・居酒屋”の業態だ。競争が激化するなかで「何か新しいことをやらなくては」と思ったところにある。しかも、元々は上手くいかなかった店をリニューアルして開業したという経緯がある。

―― 上手くいかなかったとは。
  あるデベロッパーから「ガレットカフェをやらないか」と言われ、やってみたのだが、正直上手くいかなかった。そこで元々、和のファミレスのようなものをやってみたかったということもあり、カフェの店舗デザインはそのまま、メニューだけ変えてリニューアルオープンしたのが「おぼんdeごはん」。失敗や偶然からできた店であると言える。
 和食の店では普通、このような店舗デザインはしない。だが、カフェの文化で育ってきた世代に、カフェの空間できちっとした食事、それも定食を提供するのは面白いと思った。実際、1号店オープン日の売り上げはカフェの時の2倍になった。

―― 他の業態について。
  ほとんど「えん」から派生した業態で、例えばお茶漬け専門店「だし茶漬け えん」は、総菜店を展開しようと思っていたところに、「イートイン併設の店もやってくれ」という要望からできたもので、スタッフの提案もあってカウンター形式で出すことにした。これも順調に成長しており、現在は17店を展開するまでになった。

―― 現在の飲食業界をどう見るか。
  今、飲食はアパレルなどに比べて比較的良い環境にあり、需要は高いと思う。食生活が変わってきたなかで飲食のニーズは高く、外で食事をする機会は増えていると感じる。

―― その状況のなか、貴社の新たな展開は。
  色々考えている。例えば居酒屋は、施設やビルの空中階への出店が多いが、そろそろ1階でも展開していかなければならないと考えている。当社は和食を中心とした多業種展開を行い、和食の技術を大切にする。10~100坪までバラエティ豊かな和食を中心とした業態を持っている。今後は「つくみ」、「おぼんdeごはん」などをロードサイドでやってみたいという考えもある。
 出店は東京、名古屋、大阪、福岡など大都市を中心に、今後も積極的に展開していきたい。海外は今のところ、そこまで積極的ではないが、重~軽飲食まで幅広い業種を持っているため、土地土地に合ったものを展開していく。

―― 最後に抱負を。
  現在、売り上げで135億円の体制になっているので、3~4年後くらいに上場も含めて様々なことを検討している。これからも和食を軸に新業態の開発なども進め、新たな取り組みにも挑戦していきたい。

(聞き手・若山智令記者)

※商業施設新聞2129号(2016年2月9日)(8面)
 経営者の目線 外食インタビュー

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