商業施設新聞
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第21回

エフ・ジー・ジェイ(株) 代表取締役社長 松下修一氏


編集型コスメ店を15店
脱百貨店化で新規客層取り込み
18年中に30店を目指す

2016/3/29

エフ・ジー・ジェイ(株) 代表取締役社長 松下修一氏
 地域特性や顧客の嗜好に柔軟に対応し、独自色を出す商業施設が増えており、その流れとしてブランドの垣根を越えた売り場作りが進んでいるが、コスメ専門店もその例外ではない。多数の化粧品ブランドを集積するセレクトコスメ店への需要は年々高まっており、ここ数年、百貨店発信の編集型コスメ店の台頭が目立つ。百貨店発のコスメ店「フルーツギャザリング」は全国に15店を展開しており、今後も積極的に出店を進めていく。同店を運営するH2Oリテイリンググループのエフ・ジー・ジェイ(株)(東京都品川区大井1-50-5、Tel.03-3778-5569)代表取締役社長の松下修一氏にお話を伺った。

―― フルーツギャザリングの特徴から。
 松下 これまで、「シャネル」「ランコム」などのコスメブランドは、百貨店内の化粧品売り場に直営店を展開してきた。同店では、ブランドごとのブースを取り払うことで、高級ブランドを気軽に選び・買いやすい環境を整えた。ブランドの枠を超えた商品提案を行っている。
 また、同ブランドでは百貨店グレードのラグジュアリー系コスメを揃える一方で、ギフトニーズの高いナチュラル系バス&ボディコスメを拡充し、カジュアルな売り場づくりにしているところが他社と異なる点だ。店舗によって取り扱うブランドも変え、20~30ブランドを集積しており、「編集力」に定評がある。セレクト形式であるため、多様な提案ができるだけでなく、施設内で不足する、また強化したいブランドをカバーできるため、デベロッパーからも評価を得ている。頻繁にブランド入れ替えを行い、イベントも積極的に行っている。

―― 「脱百貨店化」を目指しています。
好調に推移するららぽーと海老名店
好調に推移するららぽーと海老名店
 松下 従来、百貨店では、美容部員によるカウンセリング販売が行われてきたが、若年層にとっては敷居が高かった。そこで、ブランドを横断型の売り場づくりに加え、百貨店ならではの「カウンセリング販売」と「セルフ販売」を融合させた「セミセルフ販売方式」を採用することで、顧客が使い分けられるようにした。ハード、ソフトの両面で「脱百貨店化」を図ることで、これまで百貨店に立ち寄らなかった顧客の取り込みを実現した。

―― 2013年にオープンした「エキュート品川店」が多店舗化の契機になりました。
 松下 初めて外部施設への出店を果たし、かつ百貨店が展開するコスメ売り場としては、駅ナカに初出店したことでも注目を集めた。圧倒的な乗降客数を誇る品川駅内の立地で、通勤、ショッピング、観光、出張など駅を利用する幅広い人を取り込めた。同店を通して認知度も高まり、多店舗化に向けた布石となった。

―― 客層は。
 松下 男性比率が高いのも同社の強みだろう。品川店などの一部店舗にはメンズコーナーを設けている。また、店舗入り口にバス&ボディコスメやハンドクリームといった日常使いのアイテムを効果的に配置することで、男性も気後れすることなく利用できる。ホワイトデーやクリスマスなどのギフトシーズンはさらに男性の来店が増える。また、業態への認知度が高まり、年々客層が広がっている感がある。メーンターゲットは当初は20~30代の働く女性だったが、40代前半にまで広がっている。

―― 展開について。
 松下 15年は5店を出店し、店舗数は15店となった。首都圏の駅ビルやファッションビルなどに積極的に出店し、関西や九州などにも店舗網を広げている。18年度には30店体制とする計画で、今後3~4年で地方の中核都市へも出店を図っていきたい。
 働く女性をターゲットとしているため、出店場所はほぼ駅立地で、乗降客数15万人を超える規模の駅で手応えを感じている。今後も、「駅」がキーワードになるだろう。

―― 接客が強みです。
 松下 肩肘張らずに、気軽に買い物をしていただけるよう、「フレンドリーなおもてなし」をキーワードにした接客が一番の売りだ。「編集力」を生かすには、やはり接客がキーとなる。ブランドを超えて、スキンケアやメイクのアドバイスを行うには豊富な知識が必要で、その専門性の高さは我ながら素晴らしいと思う。

―― 新業態の構想は。
 松下 現状はコスメを中心にしたビューティーセレクト店で、コスメに親和性の高いヘアアクセサリー、ピアス、ネックレスといったファッション雑貨も取り揃えている。
 今後は、カフェを併設した店舗や雑貨に軸足を置いた新業態も考えている。様々な切り口を提案することで、多様化するライフスタイルに対応できればと思っている。リアルショップならではの買い物の楽しみ、ワクワク感をお客様に体感して頂きたい。

―― 抱負を。
 松下 当初からの想いである、百貨店ではできないこと、百貨店ではやり切れていないことを提供していきたい。推進力は、ホスピタリティが高く勉強熱心なスタッフの力だ。そのため、スタッフたちが気持ちよく長く働ける環境も整備していきたい。

(聞き手・大塚麻衣子記者)
※商業施設新聞2131号(2016年2月23日)(5面)
 商業施設の元気テナント No.179

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