商業施設新聞
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第56回

BSDJ(株) 代表取締役社長 重松健氏


カムデンズ ブルー スター ドーナツ
スタイリッシュなライフスタイル提案
大都市圏で3年20店

2016/12/6

BSDJ(株) 代表取締役社長 重松健氏
 食を通じてライフスタイル提案を行い、館の活性化を図るファッションビルが増えている。今秋、米国ポートランド発のドーナツ専門店「カムデンズ ブルー スター ドーナツ(BSD)」は新宿ルミネ ルミネ1、渋谷ヒカリエShinQs、心斎橋オーパなどの改装のキーテナントとして出店を重ねた。5店を新規オープンし、7店体制となった。同ブランドを国内で展開するBSDJ(株)(東京都渋谷区恵比寿西1-18-7、Tel.03-6855-3366)代表取締役社長の重松健氏にお話を伺った。

◆米国での高い評価と実績
―― ブランドの概要を。
 重松 2012年にポートランドで生まれたドーナツ店。保存料・着色料などは一切使用せず、原材料にこだわったブリオッシュをベースに、生地からすべてを店内で手作りしている。定番9種とシーズンメニューで展開。「Quality over Quantity」をテーマに、「ユニーク」「クオリティ」「スタイリッシュ」の3要素を大切にしており、食を通じてスタイリッシュなライフスタイルを提案している。

―― ポートランド発です。
 重松 様々な海外ブランドが日本に上陸しているが、ポートランドは衣食住といった「ライフスタイル」に、「遊」の要素も加え、米国で最も面白く、提案に満ちた街として、世界中から注目が集まっている。特にコーヒー、地ビールなど食の分野で新しいトレンドが多い。その中でもBSDは米国でトップランクのドーナツ店として高い評価を得てきた。

―― 1号店からの沿革を。
1号店の内観
1号店の内観
 重松 15年4月に東京・代官山に開業した商業施設「ログロード代官山」にオープンした西海岸発の伝統的、代表的なセレクトショップ「フレッド シーガル(FS)」内にインショップ形式で1号店を構えた。FSを日本に導入するにあたっては単なる本国のコピーではなく、アメリカのライフスタイルの新しい要素を日本に入れたいと思っており、リサーチをする中でBSDに行き着いた。ブランドの素晴らしさに感動し、FSのライフスタイルの一環として紹介したいと思い、インショップでのオープンに至った。その後、2号店をみなとみらいの「マリン アンド ウォーク ヨコハマ」のFSに開店した。
 日本に導入するにあたり、現地と同じ原材料を調達することの難しさや、温度、湿度といった気候の違いなどから、現地と同じクオリティ・味を表現するには苦労もあった。

―― 4月に分社化し、貴社が誕生しました。
 重松 1号店が非常に好評で、単独でも展開できる手応えを感じた。ブランドとして育て、かつ多店舗化するには、本国の世界観の忠実な再現に注力し、オペレーション体制を確立する必要があった。そのため、FSを展開するMFSJから分社化、独立事業会社としてBSDJを設立した。

―― 今秋は5店を出店しました。
 重松 都内に2店、初出店となる大阪で3店と集中出店した。ルミネ新宿 ルミネ1、渋谷ヒカリエShinQs、阪神梅田本店、心斎橋オーパ、そして心斎橋に国内初の路面店をオープン。ターゲットの20~30代の女性、ファッション・生活感度が高い層を取り込める魅力的な場所だった。
 なお、食をキーワードにしたリーシングはますます進むものと見ている。最近では、百貨店からポップアップショップの要望が多い。

―― 店舗について。
 重松 キッチン併設型と物販店の2形態で展開している。ハンドメードとフレッシュさにこだわっているため、キッチン併設店は20坪の面積が必要。そこを核に供給が可能な近距離に小型の物販店を3~4店配置し、これをワンユニットとして考えている。首都圏では代官山にキッチンがあり、渋谷、新宿に店舗を構える。エリアとしては近いが、独立した商圏であること、ドミナント化することで認知度を上げられるメリットがある。今後もキッチン店と数店の物販店のユニット型で展開していく。

◆コーヒーは最適ブランド選定
―― ドーナツ業界について。
 重松 10年ほど前、海外発のドーナツ店が火付け役となり、ドーナツ市場は盛り上がりを見せた。近年は、コンビニもドーナツ市場に参入するなど、競争は熾烈だ。当ブランドは、価格競争には加わらず、独自のマーケットを切り開いていきたい。今までにない「ラグジュアリードーナツ」として、他社にない商品を展開しているが、高級ドーナツ店という位置づけではなく、ポートランドの「ブランドカルチャー」をしっかり伝えていきたい。変わることのないシグネチャーアイテムとシーズンやその時々の生活歳時記に合わせた新商品によって、お客様に感動をお届けしたい。

―― 新業態の可能性は。
 重松 現状、キッチン併設型、物販型の2形態で、面積によってスタンドタイプやカウンター型のイートインコーナーなど形態は環境に合わせて工夫しているが、ドーナツの軸はぶらさない。
 なお、ドーナツにコーヒーは欠かせない存在で、一部店舗ではコーヒーも提供している。米国ではスタンプタウンコーヒー、最近はコアバコーヒーと組んでいる。日本でも相互に価値を高められるコーヒーブランドとコラボし、より新しいものを提案していきたい。コーヒー店については顧客の反応を見つつ、最適なブランドを選定していく。

―― 今後の展開を。
 重松 3年で20店の展開を目指している。ユニット展開をベースに、首都圏と大阪で先行したが、今後は大都市圏での展開も視野に入れる。キッチン併設店単独で展開している横浜地域は周辺に小型店出店の余地があり、首都圏はまだポテンシャルもあるだろう。「Quality over Quantity」、量より質が大前提という創業者の想い、ブランドを体現することに全力を注ぎたい。

(聞き手・編集長 松本顕介/大塚麻衣子記者)
※商業施設新聞2167号(2016年11月8日)(8面)
 経営者の目線 外食インタビュー

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