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第267回

丸文(株) 代表取締役社長 水野象司氏


17年度は過去最高の売上高へ
丸文アローとの協業を拡大

2018/4/6

丸文(株) 代表取締役社長 水野象司氏
 国内トップグループの半導体・エレクトロニクス商社の丸文(株)(東京都中央区日本橋大伝馬町8-1、Tel.03-3639-9801)の業績が好調だ。2017年度通期の売上高見通しは過去最高の3260億円を見込み、営業利益ベースでも過去の実績に比べて高い水準を狙う。通信機器や産業機器、車載用途のデバイス販売が大幅に増加し、収益力も復活した。足元の事業環境と18年度の事業展望を社長の水野象司氏に話を聞いた。

―― 17年度通期業績が好調に推移しています。
 水野 4~12月期の全社売上高は前年同期比39%増の2697億円、営業利益は同4倍強の32億円強となり、1年前と比べて大幅な増収増益になった。通期売上高は同20%増の3260億円、営業利益は同56%増の45億円を見込む。売上高は過去最高、利益も高水準の好決算を目指す。

―― V字回復の要因は。
 水野 当社売上高の8割強を占めるデバイス事業が牽引する。特にスマートフォン(スマホ)や基地局などの通信機器向けの特定用途IC、FA・工作機械などの産業機器、自動車やゲーム機器用のアナログIC、コネクターなどの電子部品が貢献する。NXP社の代理店解消による売上減少を補ってなお、デバイス部門で1年前と比較して24%の増収を見込む。

―― 足元ならびに18年度の事業展望について。
 水野 年明け以降の円高が気になるが、産業・通信機器向けを中心に、足元の需要は引き続き好調だ。
 18年度はスマホ市場が成熟しつつあるため、従来のような台数増による成長は難しくなる。しかし、高機能化などによる部品の点数増や高付加価値化で単価は上昇傾向になるだろう。一方、中国市場などでは人件費高騰による工場の自動化・生産合理化の流れが本格化しており、日系FA・ロボット業界には追い風となる。これは息の長い投資になるとみており、当社にとってもマイコンやアナログICの増加が期待される。
 LPWA(省電力広域)無線技術を使ったIoTプラットフォーム関連のソリューション提供にも注力しており、現在潜在的な顧客先に提案中だ。早ければ18年度から立ち上がる。安全性の高いAfero社の技術を使い、販促活動を強化している。

―― 車載事業が急拡大しています。
 水野 安定して伸びている。4~12月期売上実績では前年同期比8%増の250億円強となった。おそらく年間で300億円を大きく上回ってくるだろう。特に足元では車内通信向けやドライバーモニター向けなどの領域でシェアを拡大している。自動車は現在、100年に一度の大変革期にあり、当社も先進運転支援システムといった重要保安部品向けなども狙う。面白い製品としてマグネシウム合金材料を扱っている。ナビやドライブレコーダー向けの筐体やEMI(電磁波障害)対策のために引き合いが増えている。豊富なエレクトロニクス製品のラインアップを武器に車載部品メーカーと取引を拡大していきたい。

―― 今後注力する商材やビジネスについて。
 水野 パソコン用小型ACアダプター「DART」(FINsix社製)の国内販売を開始した。小型軽量で手のひらサイズだ。近く車載用途向けにも同社技術の展開を開始する。ほかにサイプレス社のIoT向け無線製品、E ink社の電子ペーパーなどユニークな製品を取り揃えている。これらの新規商材で19年度に年間200億円を超える売り上げを目指す。

―― システム事業への取り組みは。
 水野 オリジナル技術である微細加工・焼き入れ装置を拡販する。20年に向けて5G通信の普及が見込まれるので、タイムサーバーなどの機器の販売を強化する。医療機器も子会社を昨年吸収合併し、一体運営による営業力を強化する。

―― グローバル戦略も加速しています。
 水野 昨年11月にブダペストに丸文アローヨーロッパを開設した。欧州に進出した日系企業との取引拡大やサポート体制の充実を図る。ブラジルも視野に入れており、アジア、欧州、北米、南米をカバーするグローバル体制を構築していく。

―― 新たな中長期経営戦略の中身は。
 水野 現在、18~20年度の中期経営計画(中計)を策定中だ。売上高は明示しないが、ROE(株主資本利益率)は現状の5%から8%を目指す。
 当社はメガディストリビューターのアロー社と長い間、提携関係にある。アジアや北米地域での事業展開を中心に進めてきたが、国内市場でも協業できないか検討する。ラインカードの充実を目指す。これも今中計内で実現したい。

―― 半導体メーカーの合従連衡が再燃しています。
 水野 半導体メーカーの事業買収や統合により、ある日突然、代理店契約が打ち切られる可能性がある。半導体商社にとっては致命的だ。シナジー効果が望めるようなM&Aの可能性を含めて、常にアンテナを張り巡らしている。

(聞き手・副編集長 野村和広)
(本紙2018年4月5日号3面 掲載)

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