商業施設新聞
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第217回

(株)サンケイビル 取締役 常務執行役員 遠藤健氏


生活から観光まで幅広く進出
メディア系の出自を活用

2020/2/10

(株)サンケイビル 取締役 常務執行役員 遠藤健氏
 近年、デベロッパーが自らホテルを展開、運営する事例が増えてきている。(株)サンケイビル(東京都千代田区大手町1-7-2、Tel.03-5542-1300)もそうした企業の一つだ。またホテル以外にも事業の幅を広げ、元々のオフィスビル事業にとどまらない陣容を見せている。取締役常務執行役員の遠藤健氏に聞いた。

―― 貴社の沿革から。
 遠藤 当社はフジサンケイグループの一員としてオフィスビルを手がけ、住宅事業、シニア事業に参入、2015年にはグランビスタホテル&リゾートのM&Aを行い、ホテルリゾート事業にも参入した。また鴨川シーワールドなどレジャー施設や、商業オフィス複合施設も展開しており、生活から観光に至るまで幅広い事業を手がけている。今後も商業施設や物流施設など様々なアセットタイプについて検討していく。

―― ホテルリゾート事業の状況は。
 遠藤 18年度の売上高は252億円で、全社売り上げの18%を占めている。独自ブランドの「インターゲートホテルズ」をはじめ、ゲストハウス型ホテルの「GRIDS」、「札幌グランドホテル」などのシティホテル、京都の町屋を一棟貸で再生した宿泊施設などを展開している。グループ会社だけではなく外部のオペレーターとも連携し、多彩なホテルを日本各地で開発している。

―― 今後の開発案件は。
 遠藤 マリオットの日本初進出ブランド「ALOFT TOKYO GINZA」を20年春に開業する。ミレニアル世代のIT系ビジネスマンなどに対して訴求するライフスタイル型ホテルで、韓国では開業直後から市民権を得ている。
 また、札幌市の札幌パークホテルにおける再開発事業は、20年度より事業を推進する。敷地北側に建て替え後のホテル、南側に札幌市と連携して新MICE施設を配置する計画で、ホテルはヒルトンとFC契約を行い「ヒルトン札幌パークホテル」として23年に開業する予定だ。これまで札幌市内には高級外資系ホテルが少なく、市も誘致活動を行っていた。また、ニセコの訪日客を誘引するなど、北海道の他の地域との連携も図っていく。

―― その他に手がけているものとしては。
 遠藤 神戸市の須磨海浜水族園・海浜公園の再整備事業を、三菱倉庫やJR西日本不動産開発などとの共同事業体として行う予定だ。これはPark-PFIのスキームを用いた事業で、公園内にはギャラリーやカフェ、グランピングなどの賑わい施設を整備する。水族園は西日本唯一のシャチの展示を目玉にし、鴨川シーワールドで培ったノウハウを活かした開発で開業年に250万人の集客を目指す。また隣には、日本初のドルフィンラグーンを併設した宿泊施設を運営する予定。公園は23年9月、水族園と宿泊施設は24年3月に開業する予定だ。こうした公園を活用した開発について、今後も検討していきたい。

―― 7月開業予定の「ハレザ池袋」について。
 遠藤 東京建物と共同で開発した複合施設で、オフィス部分は池袋という立地の良さもあり、すでに成約・申し込みベースで8割のフロアが埋まり、池袋に初進出する企業も入居する見込みだ。
 ミュージカルや伝統芸能を講演するホールや、アニメやサブカルチャーを楽しめる空間など個性豊かな8つの劇場を備える。周辺の中池袋公園ではアニメイトと協力し、イベントなどを行っていく。未来型ライブ劇場「harevutai」はフジサンケイグループのポニーキャニオンが運営し、アニメやゲーム、Vtuberなど最先端のコンテンツを発信する。これからも、日本で唯一のメディア系デベロッパーならではのコンテンツ力で付加価値を創出していく。
 行政との協力も密接だ。豊島区は文化・芸術に力を入れており、かつてあった区民ホールの機能を担う形でホールや劇場を導入することになったが、現時点で劇場のプログラムの予定はかなり先まで埋まっており、集客・文化施設としては大人気の状況だ。また、今回の開発では土地の地代を豊島区の新庁舎の建設費用として活用するスキームになっており、こうした意味でも区にとってはモデル事業となっている。

―― これからの商業施設に求められるものは。
 遠藤 かつての実店舗での買い物から、ECでは味わえない体験、わくわく感を提供する施設が必要になるだろう。例えば旅行者に向け、旅行の楽しみである食と買い物を掛け合わせた施設などだ。また先述したハレザ池袋のように、芸術、文化、サブカルチャーとミックスした施設も有望だと思う。

―― 抱負を。
 遠藤 我々が以前掲げていた「ビルはもっとワンダーメディアへ。」というコーポレートコピーが表しているように、ビルはビルに集まる人々を通じて情報発信をする場だと考えている。そしてこれはオフィスビルだけではなく、ホテルや商業施設などについても同様だ。こうした、メディア系デベロッパーとしての精神が当社には根付いていると考えているし、こうした面を活かした開発を行っていきたい。

(聞き手・山田高裕記者)
※商業施設新聞2328号(2020年1月14日)(1面)
 デベロッパーに聞く 次世代の商業・街づくり No.324

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