商業施設新聞
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第300回

(株)アートネイチャー 常務取締役兼上席執行役員 川田孝志氏


オーダー、既製品など約400店展開
そごう大宮に新業態出店

2021/10/5

(株)アートネイチャー 常務取締役兼上席執行役員 川田孝志氏
 (株)アートネイチャーは、毛髪に関する総合サービス企業として、オーダー店の「アートネイチャー」「レディースアートネイチャー」、既製品店の「ジュリア・オージェ」を主力ブランドとし、全国約400店を展開する。7月には、JR大宮駅前のそごう大宮に新業態を開業するなど積極的な展開を行い、事業や店舗の拡大を進める。同社常務取締役兼上席執行役員の川田孝志氏に聞いた。

―― 足元の状況から。
 川田 2021年3月期は新型コロナウイルス感染症の影響により、計画の変更を余儀なくされるなど大変苦戦したものの、経費削減などに注力して何とか黒字を確保した。22年3月期は巻き返しを図るべくスタートし、第1四半期はほぼ計画どおりに推移した。当社の店舗は、美容室に通うのと同じような感覚でご来店いただいており、コロナ禍で足が遠のくケースもあるが、最終的には当社を必要としてくださるお客様がたくさんいる。こうしたお客様の気持ちは、コロナ禍でよりはっきりと見えた。今も緊急事態宣言下ではあるが、万全の対策を講じ、安心してご来店いただける環境を整えている。

―― 現在の店舗数は。
 川田 22年3月期第1四半期末(21年6月末)時点で、メーンブランドの男性用アートネイチャー、女性用レディースアートネイチャーのオーダー店が275店、既製品店で主にハイエンド商品を扱うジュリア・オージェが86店を展開しており、オーダー店は全国47都道府県すべてに出店を行っている。これ以外に病院内店舗、子会社でジュリア・オージェと同じく既製品を扱うが、お求めやすい価格で提供する「ナオアート」が三十数店など、全社では約400店となる。

―― 出店エリアの戦略やポイントは。
 川田 人口動態やマーケット規模などを注視し、商売が成り立ちそうなら積極的に出店する戦略だ。人口の多いところに出店を集中させていて、県内に1店しかないところもあれば、東名阪エリアのように複数あるところも存在する。
 また、これまで路面店の出店は積極的に行っておらず、駅前のビルインや商業施設などへのテナント出店がメーンである。やはりお悩みがあるお客様が来店されるので、路面店だと入りづらいのではないかという懸念があった。だが、ジュリア・オージェに関しては、ショッピングセンターや百貨店への出店を行う一方、路面店開発も検討したい。

―― 年間の新規出店は。
 川田 コロナの影響で多少の変更はあるものの、例えばコロナ前、ジュリア・オージェが伸長していたときは年間5~6店を出店していた。ただし、今後は単に店舗数を増やすだけでなく、質も求めていきたい。

―― その中で新業態を大宮に出店しました。
新業態の「レディースアートネイチャーそごう大宮サロン」
新業態の「レディースアートネイチャー
そごう大宮サロン」
 川田 JR大宮駅前のそごう大宮にオーダー、既製品、美容家電の物販など当社のすべての分野を扱い、“オールアートネイチャー”と位置づける「レディースアートネイチャーそごう大宮サロン」という新業態を開業した。従来とは切り口を変えた体験型ギャラリーショップであり、ここだけで商品の購入、各種サービスが完結する。今後はこの新業態も増やしていきたい。東名阪を中心に地方も要請があれば検討し、条件が整えば展開したい。

―― コロナ禍で出店や店づくりに変化は。
 川田 コロナ禍であっても戦略や店づくりの方向性は変えないが、お客様の消費行動がどう変わるか、これからも研究し、それに合う形で対応しなければならない。今はお客様の出足が鈍っているとはいえ、いずれ解決するだろう。お客様のニーズが多様化する中、店舗数はまだ増える余地はあるが、新店だけではなく、既存店も必要に応じてメンテナンスやリニューアル、店舗統合を含むスクラップ&ビルドを行う。
 また、前期にM&Aでナオアートを傘下に加えた。同店は既製品店だが、ジュリア・オージェよりも価格帯を抑えた商品展開を行っており、これによりお客様の層を広げていきたい。
 さらに、9月1日にはレディースアートネイチャー初の、ピンでとめないオーダーメイドウィッグ「フィーリン」を発売し好評だ。

―― 海外の展開は。
 川田 現在はアジアのみで中国、マレーシア、シンガポール、タイに出店している。中国・上海には8月にも新店を開業した。海外はマーケットを注視し、出店を続けていきたい。

―― 今後の目標は。
 川田 21年3月期から新中期プランの「アートネイチャーチャレンジプラン」が始まったのだが、コロナでいきなり厳しいスタートとなった。22年3月期には一度割ってしまった売上高400億円を再び達成し、最終期の23年3月期には売上高440億円を目指す。


(聞き手・副編集長 若山智令)
※商業施設新聞2414号(2021年9月28日)(7面)
 商業施設の元気テナント No.242

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