商業施設新聞
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第336回

ヴェンキ・ジャパン(株) 代表取締役社長 小崎正貴氏


チョコ+ジェラートで高い集客力
首都圏など第1段階で30~40店体制に

2022/6/28

ヴェンキ・ジャパン(株) 代表取締役社長 小崎正貴氏
 イタリア発チョコレートブランド「Venchi(ヴェンキ)」の店舗はオレンジや青、金色など色鮮やかな装飾が目を引き、ジェラートショップを併設している。これが来店動機となり、明るい店装と相まってSNSに投稿したくなるような楽しさを提供する。ヴェンキ・ジャパン(株)代表取締役社長 小崎正貴氏に聞いた。


―― 経緯や特徴から伺います。
 小崎 今年で創業144年目を迎える歴史あるイタリアのチョコレートブランドで、イタリア王国の御用達品でもあった。イタリア人は子どものころマンマのホットチョコレートを飲むのが習慣で、チョコレートはイタリア人の人生そのもので、ヴェンキをイタリアで知らない人はいないほどだ。
 1997年に現社長のダニエレ・フェレーロが就任、2007年からジェラート事業を始めた。ヴェンキがジェラートを提供する理由は、夏場はチョコレートが売れないからではなく、チョコレートを1年中おいしく食べていただくのが狙い。ヴェンキのチョコレートジェラートはチョコレート商品と同じシリーズ名を冠するものが多くある。店舗を「チョコジェラテリア」と称し、必ずチョコレートとジェラート両方を提供している。

―― 店舗展開は。
 小崎 世界70カ国に輸出されており、欧州、米国、中東、東アジアに140店以上ある。
 日本は日本企業とのパートナー選びに時間を要したが、19年12月、満を持して銀座に1号店をオープンした。昨年10月、10店目を大宮ルミネに出店した。

―― 立地や規模は。
 小崎 東京、名古屋、大阪、札幌の商業施設や百貨店に出店している。7~8坪の百貨店のデパ地下もあれば、久屋大通公園店は路面店で35坪規模だ。

―― 店づくりにこだわりがあります。
 小崎 ブランドのコンセプトは歴史があり本物であること。イタリアブランドの特徴として、モノづくりに対するこだわりがある。それは商品だけではなく、店舗も含めてだ。また色彩を大切にする。装飾に金銀を多用するが派手になり過ぎず高級感や上品さを出す。店舗も固定のフォーマットを踏襲するのではなく、その立地に合ったものを一からつくる。

―― 集客の強みは何でしょう。
 小崎 チョコレートはECで購入できるが、ジェラートは来店いただく必要がある。“チョコレート屋のジェラート”なので、チョコレート好きにはたまらないし、さらにSNSに「おいしい」「楽しい」「絶品ジェラート」などと投稿されている。なお、本場イタリアのジェラートを日本でチェーン展開できたところはなく、ヴェンキにはジェラートの鮮度の再現性にノウハウがある。

―― 客層は。
 小崎 20代後半から40代前半を中心に女性層が6~7割を占めるが、スイーツ好きの男性からも強い支持を得ている。売り上げはチョコレートが高いが、客数はジェラートの方が多い。

―― 中期的な出店計画は。
 小崎 どちらかというと高級食材なので、どこででも売れる商品ではない。また、給排水など設備要件が必要で立地も制限されるが、第1段階として30~40店体制としたい。首都圏と関西圏でドミナント化し、100万人都市にも店舗を増やす。大型ターミナル駅なら周辺を含めて複数店舗あってもいいと考える。

―― 路面と商業施設は。
 小崎 こだわりはなく、好条件なら随時検討する。「チョコレートを買う・ジェラートを食べに来る」だけでなく、友人と来店してそのひと時を楽しみ、写真に撮ってSNSに上げるまでが1つのイベント。そのためには店舗面積20~40坪あると表現しやすい。

―― 体験型の要素も多い。
 小崎 そのとおりで、久屋大通公園店では、普段着ではなくおしゃれして来店し、SNSに投稿する人も多い。

―― 直営運営ですか。
「Venchi Otemachi One」の外観
「Venchi Otemachi One」の外観
 小崎 ジェラートを盛りつける技術など、多くの専門的なトレーニングが必要で、その点でもフランチャイズ化は難しい。ただ固定するつもりはなく、現時点では直営。イタリアらしさは店舗や商品もあるが、接客も含む。徹底するには直営がやりやすい。

―― 日本進出から3年。ここまでは順調ですか。
 小崎 順調だが、コロナがなかったらより集客できただろう。いずれインバウンド客が戻って来る。接客などのトレーニングなどに時間を割いている。

―― 第2段階以降の出店は。
 小崎 先ほど申し上げた出店第1段階の後、お客様にどう求められていくのか。第2段階は今後のお客様のニーズを参考にしたい。
 他方、個人のお客様から「次は私の街の○○に出てください」といったメールをいただく。大変ありがたいことだ。チョコレートはECでお届けできるが、ジェラートは店舗が必要で、全国の皆さんに届けたい気持ちがある。また、ジェラートは観光地との相性は抜群だ。そのため100万人都市以外のエリアへの提供も含め、出店戦略を練っていく。

(聞き手・特別編集委員 松本顕介/新井谷千恵子記者)
商業施設新聞\号(2022年5月31日)(5面)
商業施設の元気テナント No.247

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