商業施設新聞
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第353回

オーサム(株) 専務取締役 堀口周作氏


“海外スーパー風”で独自路線
ECは大幅改修で3倍に伸長

2022/10/25

オーサム(株) 専務取締役 堀口周作氏
 オーサム(株)(東京都渋谷区)が運営する「AWESOME STORE」(オーサムストア)は、全国に64店を展開する雑貨店だ。おしゃれな内装の店舗と、独自の可愛らしく映えるデザインで30~50代の主婦層を中心に人気を集めている。商品や店舗展開などについて、専務取締役の堀口周作氏に聞いた。



―― ブランドの概要から。
 堀口 シンプル&ナチュラルをベースに、遊び心を加えた雑貨を取り揃えている。機能性に加えて、独自のデザインを取り入れている点が特徴だ。また、企画・デザイン・製造・販売をすべて自社で担うSPA業態を採っており、低価格を実現している。
 2014年にブランドをローンチし、同年4月に1号店(原宿表参道店)をオープンした。もともと当社は「オフノオン」(off&on)というブランドを運営してきたが、それをオーサムストアに転換するなどスクラップ&ビルドした。22年1月に社名を(株)レプレゼントからオーサム(株)に変更。ブランドを一本化した。

―― 商品のデザインが独創的で印象に残ります。
 堀口 社内にデザインチームを擁し、アメリカンカジュアルを想起させるオーサムストアらしい独自の世界観を作り出している。目指すところは「海外のスーパーマーケットのようなワクワク感」を提供すること。ワクワクする店舗空間の創出や、可愛らしくて思わず買ってしまう商品の開発を大事にしている。

―― 商品の幅も広いイメージです。
 堀口 キッチン用品からアウトドア用品に至るまで、約20のカテゴリーを展開している。ただ、今後はカテゴリーを絞って、その中で商品を増やすフェーズに入るだろう。我々の目標は「生活の全部ではなく、特定のジャンルだけでもオーサムストアの雑貨で揃えたい」と思っていただくこと。その幅を増やすためには、求められているカテゴリーを精査する必要がある。

―― 今後伸びると見込んでいるカテゴリーは。
 堀口 ペット用品が伸びている。特に猫の爪とぎは、ブランドをローンチした8年間で最もよく売れた商品だ。コロナ禍によりペットを飼う人が増えたため、今後も一定期間はペット需要が見込めるだろう。
 我々はペット専門店ではできないことをやっている。おしゃれなペット用品を求める人に、雑貨屋で揃えるという選択肢を提示できれば良い。それはアウトドア用品も一緒で、専門店ほどの機能性はなくても、安価で買いやすいグッズとして選んでもらいたい。

―― 店舗の展開は。
渋谷にある旗艦店「AWESOME STORE TOKYO」
渋谷にある旗艦店
「AWESOME STORE TOKYO」
 堀口 17~20年のコロナ前まで、オフノオンからの店舗切り替えもあり、出店を加速させていた。現在は、山形県から鹿児島県まで、SCでの出店を中心に64店を展開している。内装はブルックリン風を意識し、21年3月にオープンした渋谷の旗艦店「AWESOME STORE TOKYO」は、内装をニューヨークの地下鉄に見立て、細部までこだわった。

―― 渋谷と池袋の旗艦店について。
 堀口 渋谷の「AWESOME STORE TOKYO」は、当初インバウンド需要も見据えたグローバルな旗艦店を目指していた。しかしコロナ禍により方針を転換。店舗2階のブースからインスタライブを配信するなど、情報発信の拠点として機能している。また店舗スタッフがECサイトでの提案を行うなど、OMOの要素も踏襲している。
 一方、池袋の旗艦店「AWESOME STORE&CAFE IKEBUKURO」ではカフェを併設し、オーサムストアを表現する場所になっている。近隣住民が増えたこともあり、年々売り上げが伸びている店舗の1つだ。

―― 海外進出の可能性は。
 堀口 コロナ前は海外出店に向けた具体的な動きがあったが、中断してしまった。コロナが収束し海外渡航への障壁がなくなったら再度検討したい。地域としては、商品の生産国である中国や東南アジア、台湾が候補として挙がっている。
 店舗数は100店まで拡大できると見込んでいるが、国内だけでは我々が想定している出店モデルを達成するのは難しいだろう。そのためにも海外への進出は必須だと考えている。

―― ECサイトでの売り上げは。
 堀口 以前は、「店舗は面白いのにECサイトはつまらない」という声をいただいたこともあった。それをきっかけに、21年にECサイトのフルリニューアルを行い、その結果売り上げが3倍に伸長した。今後はそれを維持する必要がある。
 一方で、サイト上で一番アクセスが多いのは、「店舗検索」のページだ。そのため、最寄りの店舗で商品を実際に見てから購入したいというニーズは一定数あるのだろう。ECとともに実店舗での売り上げも伸びており、今後も実店舗の存在を重要視していく。

(聞き手・安田遥香記者)
商業施設新聞2463号(2022年9月20日)(5面)
 商業施設の元気テナント No.248

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