商業施設新聞
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第356回

NOSE SHOP(株) 代表取締役 中森友喜氏


日本未発展の香水市場を開拓
北海道・九州などの進出も意欲

2022/11/15

NOSE SHOP(株) 代表取締役 中森友喜氏
 NOSE SHOP(株)(東京都渋谷区)は、日本では珍しいニッチフレグランスのセレクトショップ「NOSE SHOP」を全国で運営している。順調に店舗数を伸ばしており、2022年8月下旬から9月上旬にかけて、松屋銀座(東京都中央区)、神戸阪急(神戸市中央区)、ルミネ池袋(東京都豊島区)に相次いでオープン。現在、全国に10店を構える。NOSE SHOP 代表取締役の中森友喜氏に聞いた。

―― 「NOSE SHOP」ローンチの経緯から。
 中森 元々、当社は(株)BIOTOPEとして、シャンプーやハンドクリームなど、海外のライフスタイル系ブランドを百貨店やセレクトストアなどに卸していたが、ヨーロッパなどとのつながりが増える中で、10年ほど前から海外で流行していたニッチフレグランスという領域に興味を持った。日本では未開拓の市場のため勝機があると考え、NOSE SHOPとしてニッチフレグランスの販売を開始。17年8月、1号店をニュウマン新宿にオープンした。21年12月には、社名もNOSE SHOP(株)に変更した。

―― ニッチフレグランスとは。
 中森 尖ったコンセプトに基づき、尖った香りを提供している香水の総称だ。ラグジュアリーブランドのようにマスマーケット向けではなく、狭いターゲットに向けて香りづくりをしている。それゆえ、好悪の反応がビビッドに出る。
 SNSの登場により、製造者自身が情報を発信し、世界各国で受け取れるようになったことが、ニッチフレグランスの台頭を後押ししていると思う。「尖った香りでも、全世界70億人のうち何百人かは気に入ってくれるだろう」という考えで、市場が発展していった。

―― 販売商品の特徴は。
 中森 フランス、イタリア、トルコなど17カ国から約700種類の香水を輸入している。商品の平均単価は100mLで2万~3万円程度だが、日本では15mLや30mLなど、少量で安価な商品のほうがよく売れる。
 ニッチフレグランスの香りは簡単に分類できないことが特徴といえる。ウーロンチャ、ゴミの花(香料として使い終わった花や果実など=ごみから、香りをアップサイクルしたもの)など、香りや商品のジャンルはバラバラで簡単にカテゴライズできない。お客様によって好きなものが異なるため、一番人気の商品でも売り上げ構成の1%程度と、人気が分散する傾向にある。

―― 「香水ガチャR」というものがあるようですね。どのようなものですか。
 中森 「種類が多く選べない」「自分の好きな香りが分からない」といった声は多い。それらに応えるために、900円で運任せに香水に巡り合える「香水ガチャR」を用意しており、現在は池袋、名古屋、大阪など5店に設置している。NOSE SHOPのメーンターゲットである20~30代だけでなく、10代の方にもお試しいただいており、手応えを感じている。

―― 優良な立地への出店が多いように感じます。
 中森 自分たちで出店したい場所を探すよりも、館側からオファーをいただいてから、館との親和性、既存店との距離感、適正な店舗面積(10坪前後)が確保できるかなどを考慮して出店可否を判断している。既存店では、約700種類の香水のうち、200~400種類を置いている。

―― 常設店オープン前はポップアップで出店していたようですね。
百貨店初出店となった「NOSE SHOP 銀座」(松屋銀座1階)
百貨店初出店となった「NOSE SHOP 銀座」
(松屋銀座1階)
 中森 1号店を出店した当時は、香水だけで店舗を展開して結果を残せるのか疑問があった。そのため、売れるかどうかを見極めるために、実験的に今の新宿店と同じ区画でポップアップを行った。想像より売れ行きが好調だったため、常設店をオープンすることができた。今も、常設店未出店の京都や福岡などにはポップアップで出店している。

―― 今後の出店計画は。
 中森 明確な出店計画はなく、今回8~9月に相次いで3店をオープンしたのも、たまたま時期が重なったから。ただ、物理的な感触である香りを体感できるリアルの場所は必要不可欠だと考えている。そのため、北海道・東北や九州など、未出店の土地にも進出していきたい。
 ニッチフレグランスというジャンルは、習慣として根付かせることが重要だ。母親と一緒に来店した小学生が大人になった時に、豊かな香りの世界を見せてあげたい。そのために、場所と時期のタイミングが合えば出店し、逆に合わなくなったら退店するなど、見極めながら出退店を進めていく。
 また、今は駅立地などトラフィックの多い場所でニッチフレグランスをアピールすることが重要だが、いずれニッチフレグランスが浸透すれば、もっとゆったりした場所で選びたいというニーズが出てくるかもしれない。その時は、郊外への出店も検討するだろう。


(聞き手・安田遥香記者)
商業施設新聞2470号(2022年11月8日)(6面)
 商業施設の元気テナント No.249

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