商業施設新聞
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第363回

(株)相鉄アーバンクリエイツ 取締役事業開発部長 佐藤洋人氏


横浜駅西口再開発計画を策定へ
ゆめが丘の大規模集客施設着工

2023/1/10

(株)相鉄アーバンクリエイツ 取締役事業開発部長 佐藤洋人氏
 横浜駅から西へと鉄道網を広げる相鉄線を運行する相模鉄道を中心とした相鉄グループにおいて、不動産開発などを担う(株)相鉄アーバンクリエイツ(横浜市西区)は、〝選ばれる沿線〟の創造に向けて、主に沿線の商業施設開発や街づくりを行っている。グループを挙げて推進してきた6大事業に続けて、横浜駅西口の再開発など、新たな街づくりの機運も見えてきた。同社の取締役事業開発部長 佐藤洋人氏に話を聞いた。

―― 概要から。
 佐藤 相鉄線は本線といずみ野線で構成しており、2019年にはJRとの相互直通運転を開始した。さらに23年3月からは東急線との相互直通運転をスタートする予定。我々相鉄アーバンクリエイツは沿線価値の向上を目指し、土地区画整理事業や再開発事業を立ち上げ、地権者とともに街づくりを行ってきており、その中で6大事業として、海老名駅西口での住宅開発や、二俣川駅南口の市街地再開発事業と駅舎上部での商業施設開発などを推進してきた。

―― 6大事業もついにゴールが見えてきました。
 佐藤 残すは「泉ゆめが丘地区の土地区画整理事業とそれに伴うセンター地区の大規模集客施設開発」と星川・天王町駅間の高架下開発「星天qlay(ホシテンクレイ)」、そして横浜駅きた西口鶴屋地区の「THE YOKOHAMA FRONT」となった。24年夏ごろには全事業が完了となる見込みだ。

―― 星天qlayについて。
 佐藤 Bゾーンとして飲食、物販、食物販店がオープン予定で、地域住民や星川駅の利用者の生活をサポートするような店舗を主に集積する。その後Dゾーンには、YADOKARI(株)が企画・運営するレジデンス「YADORESI(ヤドレジ)」が開業する。ヤドレジでは新たな取り組みとして、住人の中から「コミュニティビルダー」を選出し、ヤドレジの住民やテナント、そして地域の皆さまとともに、街の新たな魅力を発信していく。

―― ゆめが丘では大規模集客施設の計画が進んでいます。
 佐藤 24年夏の開業に向けて、ついに着工した。コンセプトは「ゆめが丘地区のハブとなる体験型交流施設」とし、店舗面積は約4万2700m²を見込み、約140店を集積する計画だ。街に住む人から働く人、そして訪れる人など、すべての人に充実した時間を過ごしてもらえるような施設を目指す。施設1階は食品スーパーやコミュニティーキッチン、さらには周辺のこだわりの野菜などの生産者と連携した生産者直売ゾーンなどで構成する予定で、『食』を中心としたコンテンツとして展開する。そのほかシネマコンプレックスや専門店も集積し、施設屋上には、子ども連れファミリーが過ごせる公園や、くつろげるスペースも設ける。
 相鉄いずみ野線 ゆめが丘駅は1999年に開業し、街づくりをスタートしてから約20年以上が経過した。郊外の駅前立地という特性を生かし、地元地権者や横浜市などともさらに連携を深めながら引き続き開業に向けて開発を進めていく。

―― そのほか沿線での開発計画などは。
 佐藤 6大事業完了を見据えて、次の開発に向けた種まきを進めている。まず、グループの拠点となる横浜駅では西口の再開発計画を検討している。相互直通運転の効果や影響なども踏まえながらじっくりと、しっかり計画を練っていく。より魅力的な街へとつながるよう、地権者や自治体を含むさまざまな関係者と意見交換や連携をしながら丁寧に進めていく方針だ。
 このほか、沿線には駅周辺でも低利用地がまだ多く開発の余地はあるが、当社が保有する土地は多くはないことから、地元地権者による再開発や区画整理などの土地活用の機運が高まったタイミングを逃さず、それをサポートする形で連携していきたいと考えている。

―― コロナ禍を経て、街づくりへの変化などは。
 佐藤 ライフスタイルの多様化はコロナ前から生じていたが、コロナによってそれが加速したと感じている。この多様化への対応は、これからの街づくりにおいては必要不可欠だろう。
 すなわち、不動産の持つ立地などの固有の価値に加えて、今後はそこで暮らし、過ごすことで生み出されるアクティビティやコミュニティなど、個々のライフスタイルを構成するのに必要な要素や価値を、街づくりを通じて提供することが必要になる。

―― 今後の抱負をお聞かせ下さい。
 佐藤 相鉄線は、都市近郊に位置しながらも自然が豊かであり、さらには神奈川県の観光地である箱根にも近いなど、ポテンシャルを有する沿線である。当然今後も新しい開発に取り組んでいくが、既存の資産やそのポテンシャルを伸ばすような取り組みもさらに必要になる。そのような取り組みを積み重ね、既存沿線住民の皆様の満足度を高めることが、新しい人々を呼び込み、沿線の活性化につながると考えている。併せて、沿線外への投資も積極的に行うことで、デベロッパーとしての中長期的な成長のベースも、強化していきたい。

(聞き手・特別編集員 松本顕介/新井谷千恵子記者)
商業施設新聞2476号(2022年12月20日)(1面)
デベロッパーに聞く 次世代の商業・街づくり No.391

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