(株)セブン&アイ・ホールディングス(東京都千代田区二番町8-8、Tel.03-6238-3000)の子会社である(株)Peace Deli(ピースデリ、東京都千代田区二番町8-8、Tel.03-6238-2030)は、千葉県流山市にセブン&アイグループ初の共通インフラとなるプロセスセンターの「Peace Deli 流山キッチン」を稼働した。イトーヨーカ堂・ヨークの首都圏約200店舗に向けて商品を供給し、今後セブン-イレブンの店舗に向けた商品やイトーヨーカドーネットスーパー専用商品の供給なども予定している。
同施設は、日本GLP(株)が整備した物流施設アルファリンク流山V(千葉県流山市小屋字土深割158-1)東棟1階部分に設置。土地面積は約11万3511m²、建物面積は約7926m²。精肉・鮮魚といった生鮮品の加工やミールキットを製造する食品製造工場で、高品質で環境にも優しい商品を各店舗に向け効率よく安定的に供給する。
工場内は5℃以下で管理。最新のガス置換包装機を導入し、食品の保存に適した気体を最新の包装機で充填することで、販売期限の延長を実現した。また、定貫スライサーの導入で、設定した重量に合わせて鶏肉や鮭などをカットし、生産性の向上と人件費削減を実現。磁力と電磁波を用いて細胞壁を壊さない凍結方法を使用するプロトン冷凍機により、品位を向上し食品ロスを削減する。
施設内は鮮魚加工エリア、食肉加工エリア、ミールキット製造エリアなどに分かれている。
鮮魚加工エリアでは、切身・刺身などの加工を行っており、従来店内で加工していたものをここに集約する。定貫スライサーにより、鮭の切身も一定の重量で自動でカットし、パック詰めまで一貫して行う。
刺身はここで切り分けたものをプロトン冷凍機で急速冷凍し、高品位の冷凍刺身を製造する予定。ネット販売やセブン-イレブンでの販売も検討している。
精肉エリアでは、鶏肉や豚肉などの加工を行う。鶏肉は唐揚げ用などの大きさに同じウエイトでカット。豚肉はスライスして折りたたむ機械を導入している。
ミールキットの製造は、ここで加工した精肉・鮮魚の食材と外部から調達する野菜・たれなどを組み合わせて、イトーヨーカドーネットスーパーなどで販売する。外部調達している野菜などについても将来的にはグループ内の資産を活用して内製化することも検討している。
施設では、従来各店舗で加工していたものをまとめて加工することで効率化を図る。また、併設してイトーヨーカ堂の物流センターがあるため、センター間でのトラック輸送が不要となり、輸送コストなどの削減が実現できる。
Peace Deli 代表取締役社長の和瀬田純子氏は「流山キッチンのキャパシティーの3割程度の稼働からスタートし、6月からは9割程度に上げていきたい」としている。
Peace Deliは、グループ内の共通インフラの構築などを目的に、セブン&アイ・ホールディングスが40%、イトーヨーカ堂が30%、ヨークが30%を出資して設立している。流山キッチンのほかに千葉市緑区にセントラルキッチンの「千葉キッチン」の建設を進めており、24年2月の開設を予定している。しかし、グループのインフラの共通化を進めていくにあたっては、今後さらなる施設の整備が必要となる。「流山キッチンの設備は、拡張の余地があり状況を見て追加導入していく」(セブン&アイ・ホールディングス 常務執行役員 スーパーストア事業統括 石橋誠一郎氏)方針だが、「プロセスセンターは2施設、セントラルキッチンは1施設追加で必要になる。建設資材の高騰などもあり、タイミングを見て実施時期を検討する」(同氏)としている。