商業施設新聞
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No.1006

ドーナツ業界、競争激化中


安田遥香

2025/5/20

 最近ドーナツ専門店が増えた。日本では「ミスタードーナツ(ミスド)」1強の状態が続いて久しいが、最近は「クリスピー・クリーム・ドーナツ」も勢いを増している。そのほかにも、若者を中心に生ドーナツブームが起こっていたり、コンビニのレジ横スナックのラインアップにドーナツが追加されるなど、ドーナツは存在感を増している。

JACK IN THE DONUTSのドーナツ。色鮮やかで見た目にも楽しい
JACK IN THE DONUTSのドーナツ。色鮮やかで見た目にも楽しい
 ビッグクリエイト㈱が運営する「JACK IN THE DONUTS」は、店舗数でミスド、クリスピー・クリーム・ドーナツに次ぐ業界3位の規模だ。上位2社はいずれも海外発祥のチェーンであることから、日本発祥のドーナツチェーンとしては第1位となる。160~300円といった比較的リーズナブルな価格が特徴で、昨年11月には創業以降初めてグランドメニューをリニューアルした。このリニューアルではオランダやフランス、ハワイなど世界各国のスイーツをイメージした「世界のドーナツ」カテゴリーをより強化。本格パティスリーにも選ばれている高品質な食材を使用しているという。

 店舗数はおよそ30店(FC店含む)。2023年にセントラルキッチンを新設したことで、店内に厨房を設けない1~5坪の店舗も増えてきている。今後は30年までに国内店舗数を50店にまで増やすほか、東南アジアでも同年までに20店を出店したい考えだ。

 ここ数年、若者を中心に人気の生ドーナツ専門店が「I'm donut?(アイムドーナツ)」だ。SNSなどを見ると渋谷や中目黒の店舗は行列ができるほど集客している様子。このほど、池袋に国内では1年半ぶり・6店目となる新店をオープンした。子ども連れや若年層が多く集う池袋に出店することで、記憶に残る店舗となることを目指していくとしている。

 生ドーナツは柔らかくふわふわとした食感が特徴で、個人的には一般的なドーナツよりも軽くて食べやすいと感じる。池袋店では「焼きトマトチーズカレー」「ソーセージ」などの惣菜系を含めて約15種類の生ドーナツを販売している。

 25年5月15日には米国の人気ドーナツ店「ランディーズドーナツ」の国内1号店がオープンした。店舗前には映画『アイアンマン2』にも登場しシンボルとなっている直径約4mの巨大ドーナツ型サイン看板を設置。ドーナツは40種類以上をラインアップする。そのほか、昨年からはセブン-イレブンでも揚げたてドーナツの販売が始まった。専門店以外も参入するなど、市場は活況だ。

 最大手のミスドも負けていない。25年3月期上期時点で、売り上げは26カ月連続で前年同月を上回っている。24年7月に定番商品19種類で価格改定を実施したが、客数、客単価ともに伸長を続けている。筆者が思うミスドの魅力は「期間限定商品」。限定商品目当てに来店し、ついでに定番もいくつか買う。こうした購買行動は珍しくないのではないか。今も「祇園辻利」とのコラボ商品をいつ買いに行こうか考えているところだ。業界最大手の牙城は堅い。
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