筆者はこれまでのコラムを
「HBM、本格的な競争の始まり」から始め、HBM関連をテーマに執筆している。2023年11月に最初に執筆して以降、現在のメモリー市場でのHBMの存在感はますます高まっており、メモリー3社体制も続いている。
23年まではSKハイニックスが市場シェア5割、サムスン電子が4割、米マイクロンが1割程度を占めたが、直近のシェアをみると、SKハイニックスが62%のシェアを占めていることから相変わらず市場トップシェアを維持している一方、3位であったマイクロンが21%まで拡大したことで2位へ、4割程度を占めていたサムスン電子は17%まで大きく下落した。米国の対中規制の影響に加え、HBM製品の認証取得遅延などが要因となる。
最近業界ではサムスン電子のHBM3E 12層製品とHBM4がエヌビディアに肯定的に評価されているという話が継続的に出ていることから、26年のHBM市場でどのくらいシェアを確保できるか注目されている。しかし、サムスン電子がエヌビディアにHBM3E 12層製品を供給できるようになったとしても、競合他社の生産拡大や競争激化などによって現在のシェアから大きく変わらないと予想されており、HBM4の段階からシェア拡大が可能になるとみられている。
■HBM4までは従来どおりに
このような状況で、HBMの高度化に伴ってハイブリッドボンディングの部分が最も注目を浴びている。だが、メモリー3社の動きを見るとHBM4の段階ではハイブリッドボンディングを適用しないとみられる。ハイブリッドボンディング技術は従来の方式と比べてより複雑な工程と技術的な難易度、高価な装置などが必要されていることから莫大な投資が必要であるため、短期的な費用負担につながる可能性がある。
サムスン電子とマイクロンの場合、従来のTC-NCF(Thermal Compression Non Conductive Film)方式を極限まで最適化し、性能と費用のバランスを取る戦略を推進している。SKハイニックスも従来独自技術のMR-MUF(Advanced Mass Reflow Molded Under Fill)工程を適用していく方針で、メモリー3社はすでに検証された工程を通じて生産性と経済性を同時に確保していくとみられる。
ハイブリッドボンディングは、性能だけでみると優秀であることは間違いないが、歩留まりの確保と工程最適化に相当な時間と努力が必要とされる。現時点でみると、ハイブリッドボンディングはHBM4E 16層から適用される可能性が高いと予想されており、早ければ26年以降になる見通しだ。ハイブリッドボンダーを生産するメーカーもまだ納品できる水準の技術力を確保していないことが現状であることから、現在ハイブリッドボンディング市場を先取りするための技術開発が本格化されている。
■装置メーカーは開発加速
ボンダー大手のBesiは25年第2四半期の決算発表を通じて、25年下期にハイブリッドボンディングなど先端パッケージング装置の堅調な需要で業績が改善するとの見通しを示した。また、HBM4対応装置の受注拡大の一環として、27年末までにハイブリッドボンディング技術が適用されたHBMに対する製品テストを行った後、本格的な量産に入る予定だ。ASMPTも第2四半期決算発表で次世代製品の商用化計画が順調に進行していると発表。24年にHBM向けハイブリッドボンディング装置を初めて受注しており、25年半ばに納品する予定だという。
韓国国内では、TCボンダートップシェアのハンミ半導体が、27年の発売を目指してハイブリッドボンダー関連技術に1000億ウォンの投資を推進している。韓国仁川にハイブリッドボンダー専用工場を建設し、次世代半導体パッケージング装置を生産するという計画だ。最近では、韓国半導体装置メーカーのテスとハイブリッドボンダーの技術協約を締結した。また、ハンファセミテックは第1世代ハイブリッドTCボンダーを顧客企業に供給して設置・運営しており、第2世代の装置開発の最終段階に入ったという。業界では25年末に第2世代装置の開発を完了し、26年に顧客企業でクオリティテストに入ることができると見ている。
そのほか、LG電子の生産技術院は28年の開発を目標にハイブリッドボンダーの開発に着手した。25年6月には韓国の仁荷大学とハイブリッドボンディング技術開発関連の政府事業を受注したという。既存に保有した半導体基板パッケージングおよび検査装置技術力を活用し、増加する顧客需要に合わせてラインアップを拡大していく方針だ。
HBM4の時点からは既存技術とハイブリッドボンディングという新技術が交差するだろう。HBM4の16層製品まではこのような動きが続きそうだが、今後20層以上の高性能HBM4EとHBM5の時代にはハイブリッドボンディング技術が事実上の標準になる見通しだ。HBM市場の競争は単なる技術力ではなく、歩留まり、費用、信頼性、市場タイミングなどさまざまな要素が複合的に作用している。26年以降はハイブリッドボンディングを本格的に適用したHBM4E製品が世に出てくる可能性が高く、その時点でまた新しい量産競争が始まるだろう。
電子デバイス産業新聞 編集部 記者 嚴 智鎬