商業施設新聞
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第494回

クックサービス(株) 代表取締役 飯尾崇行氏


東北で「Aji-Q」など展開
新ブランド投入、全国対象に出店

2025/9/2

クックサービス(株) 代表取締役 飯尾崇行氏
 クックサービス(株)(岩手県盛岡市)は、東北地方でメーンブランド「ラーメンショップ Aji-Q」(Aji-Q、アジキュー)を中心にラーメンチェーンを展開している。直近では新ブランド「京麺 藍色」(藍色)の1号店を岩手県一関市にオープンし、今後はAji-Qと藍色の2ブランドで、既存エリアの東北地方以外にも進出していきたい考えだ。出店戦略、展望などを同社代表取締役の飯尾崇行氏に聞いた。

―― 貴社の紹介から。
 飯尾 創業38年目で、メーンブランドであるAji-Qの直営店経営、フランチャイズ(FC)本部の運営を行っている。Aji-Qは主に秋田県と岩手県に店舗があり、5月には新ブランドとなる藍色の1号店をオープンした。
 店舗数は当社全体で26店を展開し、Aji-Qは18店を占め、うち15店がFC店だ。ほかには藍色や「ごはん屋」、別ブランドのラーメン店、カレー店などを有する。Aji-Qは「毎日食べても飽きないラーメン」をコンセプトに、店内で仕込んだ鶏ガラの清湯スープを使った支那そば、九州の提携工場で製造しているスープの豚骨ラーメンなどを提供する。看板メニューはネギが乗った醤油ベースの豚骨ラーメン「南蛮ラーメン」だ。

―― 強み・特徴は。
 飯尾 秋田県にラーメンのタレや餃子などを作る秋田工場、岩手県盛岡市の本社2階に製麺工場を持ち、ほとんどを自家製でまかなっているところだ。ラーメンのタレで使用する醤油は、地元・岩手県の湧水を使って作る醤油メーカーがあり、そこの醤油を使用するなど、地元産の食品を活用していることも強み・特徴の一つだと思う。製麺工場では通常の小麦麺に加え、モロヘイヤ麺、唐辛子を混ぜたチリ辛麺などのオリジナル麺も作る。こうした取り組みで38年の長きにわたって地域に愛されている。

―― 既存店の状況は。
 飯尾 売り上げはコロナ前の水準まで戻り、現在は順調に推移している。主に東北エリアでの店舗展開のため、売り上げは1店あたり月間250万~680万円ほど。1番店は秋田市のFC店「Aji-Q外旭川店」。同店は長く営業しており、Aji-Q全体でもほとんどが二十数年以上営業するFC店である。客単価は1000~1050円程度だ。

―― 新ブランドの藍色について。
新ブランドとして岩手県一関市にオープンした「京麺 藍色」
新ブランドとして岩手県一関市にオープンした「京麺 藍色」
 飯尾 当社は東北エリアでの実績はあるが、全国展開を見据えた場合にもう1つか2つ、柱となるブランドが必要だと感じていたという背景があり、今回の藍色を開発した。藍色はあるラーメンプロデューサーと顧問契約して開業した新ブランドで、ミシュランの星を複数年獲得したラーメン店「藍」とタイアップして作った。藍色の商号は当社が商標登録しており、当社のブランドとして展開する。

―― 5月に藍色の1号店がオープンしました。
 飯尾 岩手県一関市の直営既存店「Aji-Q フレスポ一関店」をブランド転換する形でオープンした。“ちゃん系”と呼ばれるノスタルジーなラーメンの種類で、チャーシューがふんだんに乗っているのも特徴。麺はスープに合うよう数種類の試作を経て辿り着いた、自家製の太麺・ちぢれ麺で提供している。
 25年に入ってから出店を決め、スピーディーに開業まで至った。席数は約40席を設置し、カウンター席、テーブル席、小上がり席を設けた。Aji-Qは標準サイズの席数が30~35席程度だが、藍色は席数を増やしている。また、競合他社が同じ岩手県一関市に相次いで出店を行ったこともあり、競争力強化のため、藍色に転換したという背景もある。

―― 出店について。
 飯尾 FC店を中心に、年間5店程度の出店を目標としたい。既存の東北エリアにもまだ出店余地はあるので、まずは東北エリアで出店を行いつつ出店エリアを広げ、Aji-Qと藍色の展開で未進出エリアにも出店を進める考え。その後はもう一つくらいブランドを増やすなどの構想もある。加えて出店対象エリアは全国とするため、当社の考えに賛同いただける加盟店の募集も行う。

―― 中長期の目標は。
 飯尾 店舗数を増やしていきたいし、一方で各店は地域に根差した交流の場となるような憩いの場を目指したい。地域に愛され、長期にわたって営業を続けていける店舗を各エリアに作ることを念頭に、事業拡大を目指す。



(聞き手・副編集長 若山智令)
商業施設新聞2608号(2025年8月12日)(8面)
経営者の目線 外食インタビュー

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