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第643回

スズキ(株) 四輪中東・アフリカ部 部長 岩瀬大輔氏


アフリカ市場に積極展開
現地に根差してシェア拡大へ

2025/9/12

スズキ(株) 四輪中東・アフリカ部 部長 岩瀬大輔氏
 現地に根差したローカライズ戦略に秀で、インド市場では乗用車の生産・販売でトップシェアを堅持するスズキ(株)(浜松市中央区)。先ごろ横浜で開催された第9回アフリカ開発会議(TICAD9)では、(株)商船三井、(株)トレードワルツとインド・アフリカ間の自動車商流での協業に関する協力覚書を締結するなど、アフリカ市場にも積極展開の構えだ。アフリカでのビジネス展開に関し、スズキの四輪欧州・中東アフリカ本部四輪中東・アフリカ部部長の岩瀬大輔氏が、TICADビジネスエキスポ&カンファレンス会場で本紙単独インタビューに応じた。

―― インド市場に強いイメージですが、アフリカ市場における現況は。
 岩瀬 アフリカではすでに51カ国に展開しており、南アフリカではトヨタ自動車に次ぐ2番手の位置づけにある。南アフリカ市場でのシェアイメージは、当社が10%程度である。

―― アフリカにおける自動車事情は。
 岩瀬 アフリカでは日本などのように個人が自動車を所有するケースは稀であり、タクシーを主体とするライドシェアが中心となっている。そのため、購入層は必然的にフリート案件が多い。お手軽な価格で品質のよい車を販売する必要がある。

―― 生産体制は。
 岩瀬 インドで生産し、アフリカで販売している。インドとアフリカは国民の趣味嗜好も似通っているなど、共通項が多く、インドで販売中のモデルをアフリカに展開しても違和感なく受け入れられている。また、インドではトヨタ自動車とインドでの開発・生産領域で協業しており、両社で車両のOEM相互供給がすでに常態化している。例えば、当社が生産してトヨタブランドでアフリカに5モデル販売されている実例もある。さらに、ガーナ共和国では豊田通商のガーナの工場で当社製「スイフト」の組立を行っており、トヨタグループとの協力関係もある。

―― アフリカにおける車両モデル数は。
 岩瀬 南アフリカでは16モデルを展開しており、日本で2モデル、インドで14モデルを生産している。

―― アフリカでは電動車ではなく、内燃機関車(ICE)ですよね。
 岩瀬 各種インフラがまだまだ整っておらず、電力も不足がちである。そのため、ご指摘のとおり現状ではICEを展開している。だが今後、各国の発展度合いによってハイブリッド車、電動車へと進化を遂げていくことになるだろう。

―― アフリカにおける今後の展望を。
 岩瀬 アフリカ全体での当社シェアは10%を目標にしている。南アフリカでは、それを上回るシェアを目指す。アフリカの自動車市場には、中国や韓国も進出してきているが、アフリカでも「フロンクス」を筆頭に販売が好調なSUVのモデル数拡充や、小型車のラインアップ拡充などの施策を積極的に講じながら、現地に根差した当社らしいビジネスモデルでアフリカでも着実に存在感を高めていく。


(聞き手・高澤里美記者)
本紙2025年9月11日号2面 掲載

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