商業施設新聞
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No.1029

増加するかもしれないヘルメット需要


松本顕介

2025/10/28

 転倒などのダメージから頭部を保護するのに、ヘルメットが有効であることは言うまでもない。だがその昔(かなり昔)、「カミナリ族」と称される若い人たちはバイクをノーヘルで街をかっ飛ばし、今で言うやんちゃなポーズで写真に納まっているのを見たことがある。1964年まではヘルメットを被らなくてよかったが、65年に罰則はないものの、高速道路でのヘルメット着用が義務化された。10年後の75年には排気量50ccを超えるバイクには政令指定道路区間でヘルメット着用が罰則ありで義務化された。その3年後、78年には排気量50cc超えには、すべての道路でヘルメット着用が義務付けられた。86年7月からは排気量50cc未満の原付を含む全バイクにヘルメット着用が義務付けられた。もちろん罰則ありだ。筆者はこの時をよく覚えている。それまで原付きバイクはノーヘルが当たり前だったから、なんとも煩わしいと感じたものだった。安全への高まる意識は自転車にもおよび、23年4月1日からは自転車乗車時のヘルメット着用が努力義務化された。罰則規定はなく、街中でヘルメットを着用していない人を目にする。

 ヘルメットの着用機会が増えるのではと感じているのが、クマ対策だ。ここ最近、毎日といってもいいほどクマに襲われたというニュースを目にする。秋も深まってきて、キノコ狩りやハイキング、キャンプ、釣り、トレイルランなどで多くのレジャーやアクティビティで山に入る機会が増えようという時にである。市街地出没も増えているというから厄介だ。

アウトドア売り場にクマ対策グッズが増えるかもしれない
アウトドア売り場にクマ対策グッズが増えるかもしれない
 体験談や記事などによると、動物の本能なのか、まずは頭や顔、首を狙ってくる。鋭い爪とパワーが相まって破壊力は相当なもの。やはり頭部を守るために、ヘルメットが必須だろう。できれば耳も隠れたり、顔を引っ掻こうとするようだから、フルフェースヘルメットのようなシールドがあると便利だ。しかし、オートバイのヘルメットは数十km/hの衝撃から頭部を守れるように設計されているため重い。そこで閃いたのだが、アイスホッケー用のヘルメットはどうか。激しい動きが求められるので、ホッケー用ヘルメットは軽量にできている。ゴールキーパー用はフェースガードもついているから心強いのでないか。完全ではないが一撃はこれで凌げるのではないか。識者によると、クマと遭遇した場合、うつ伏せになり顔と頭を覆うようにし、リュックで背中を守れと指摘していたが、なるほどと得心した。

 バイクでは徐々にヘルメット着用が義務化されたように、増え続けるクマ対策にはアウトドア時にヘルメットが必須になってくるかもしれない。需要が増加すれば、素材の進化や軽量化や堅牢度などの機能向上はもちろん、デザインやカラーなども進化するに違いない。アウトドア売り場はクマ対策コーナーが設けられ、カラフルでデザイン化されたヘルメットや防具が売り場を飾る時代がくるかもしれない。なんという時代だ。
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