紙面には行数(文字数)に限りがあり、インタビューや施設取材などで見聞きしたことをすべて盛り込むことができない。そうなると、取材するたびにできれば入れたかったことが出てくる。今年オープンした商業施設で特に話題となっている「ニュウマン高輪」でも、できれば一言紹介したかったが、行数の都合で扱えなかった店があり、いくつか紹介したい。
その一つが「THE CITY BAKERY」だ。様々なパンなどが置かれたエリア、ドリンクなどを注文するカウンターなどがあり、その周辺に席が配置されている。どちらかというコンパクトなつくりで、業態として珍しいわけでもないが、この店舗の特徴は大型の工房を設置したこと。ここで焼き上げたパンが、都内の店舗に運ばれていくそうだ。ニュウマン高輪には旗艦店クラスや大型店がいくつかあるが、このTHE CITY BAKERYはまさに拠点であり、この店でパンを食べるとなんだか美味しく感じる。ちなみに工房の様子を覗くことができるのもポイントだ。
また、ニュウマン高輪には28、29階に様々な飲食店が集積するが、29階にある「割烹 BUTAI」が特に魅力的だった。八芳園による店舗で、個室もあるが、個人的にはむしろ半個室の方が気に入った。その半個室はオープンキッチンに面しており、キッチンの先には高層階からの抜群の景観が楽しめる。半個室というプライベートな空間ながら目の前で調理する姿を見られ、しかも展望が楽しめるのは最高の体験だ。ニュウマンがあるTAKANAWA GATEWAY CITYでは今後、MICEの開催などが増えていく。海外から訪れた人に『割烹』という日本ならではの食体験を提供できるという意味でも重要な役割を果たしそうだ。
28階の共用部も印象的だった。ここには様々な緑が配されたインパクト抜群のエリアで、紙面でも扱った。個性的な飲食店が揃い、多くの人が訪れているが、筆者としてルミネの本気度を感じたのは共用部の広さだ。椅子、テーブルが置かれたエリア、展望空間などかなりの部分を共用部に充てており、その気になればテナント区画として運用もできたはずだ。しかしあえて誰でも足を運べる場所を設けることで開かれた空間とし、多くの人があの緑あふれる空間を楽しめるようになっている。
このほかスターバックス コーヒーがゆとりある空間に仕上がって居心地が良かったこと、あえてニュウマン高輪としての分かりやすいメーンエントランスを設けてないなど、注目すべき点は数多くある。オーバーストアが進む中、先進的な取り組みも多く、継続的にウォッチしていきたい施設だ。