(株)アドバンテスト(東京都千代田区)の快進撃が止まらない。AI半導体向けのテスター需要を背景に、2025年度(26年3月期)はついに売上高1兆円の大台を突破する。来期に向けても視界は良好で、旺盛な需要に対応すべくテスターの供給能力拡充を急ピッチで進める。足元の事業環境ならびに今後の取り組みについてGroup COOを務める津久井幸一社長に話を伺った。
―― 半導体テストに対する見方、位置づけが大きく変わった印象です。
津久井 18年に当社の長期ビジョンとしてグランドデザインを策定したが、それまでは半導体テスト業界はボラティリティーが高いがゆえに、対外的に中期計画を公表することをしてこなかった。しかし、社内外にメッセージを発信する必要はあると感じて、時間をかけて議論し我々なりの決意表明として公表した。グランドデザインで掲げた4000億円の売上高目標は、当初は10年かけて達成しようとしたものだったが、想像をはるかに上回るスピードで事業が成長し、結果的に5年で目標を達成した。
―― 想定を上回る事業成長の背景は。
津久井 当時から半導体デバイスの複雑性の進展に伴い、テストの重要性が高まるとは感じていた。不良品を除くという単純な目的から、歩留まりをいかに早く引き上げるか、プロセスを立ち上げるかといった開発サイクルのなかにテストが組み込まれるようになってきているのが大きい。結果、テスト時間やテスト回数が想定を上回って増えており、テスターの需要拡大につながっている。半導体デバイス市場とテスター市場の比率を示すTest Intensityはデバイスの付加価値の向上に応じて高い水準が続いており、テスト分野への投資が増えていることを示す重要な指標だと思っている。
―― 今期(25年度)業績の着地は。
津久井 第3四半期決算発表で公表したとおり、売上高は前年度比37%増の1兆700億円、営業利益は同99%増の4540億円にそれぞれ引き上げた。上方修正は今期3度目となる。今期は期初から下期が投資の端境期となって調整局面になると見込んでいたが、結果的にそうはならず、高い売り上げ水準が続くかたちとなっている。
―― 上ぶれの要因について。
津久井 SoCテスターにおいて、カスタムASIC系顧客からの需要が入ってきたこと、加えてGPUをはじめとする現行デバイスの生産量が増えてきたことが大きい。下期はGPU関連が次世代デバイスの準備に向けて生産が落ち着き、OSATなど顧客企業のテストラインも少し余裕が出ると思っていたが、そうはならず新規のテスター投資が引き続き行われた格好だ。
―― 改めて、SoCテスターの主力機種(V93000)の強さについて教えて下さい。
津久井 ファブレス・ファンドリー・OSATという水平分業のエコシステムのなかに広く浸透していることが大きい。非常に多くの数のファブレス顧客に採用いただいているが、その中から大きく飛躍した企業が現れ急成長につながっている。ほぼすべてのデバイスに対応でき、世代間のコンパチビリティーが高いことも強みだ。
―― 来期(26年度)のトップライン達成に向けた課題は。
津久井 第3四半期決算で示したとおり、半導体テスターの市場規模はSoC、メモリーともに26年も順調に拡大を遂げる。半導体のイノベーションや複雑性が続き、顧客からの要求は一層高まっている。我々として非常に力を入れているのは供給体制だ。11月に開催された投資家向けイベントでCEOのダグ・ラフィーバ氏が明かしたように、SoCテスターの供給能力を26年度末までに年5000台に引き上げ、段階的に将来は1万台レベルを視野に入れている。部材の調達や外部の生産パートナーとの連携をこれまで以上に密に進め、キャパシティーの拡張を進めていく。
(聞き手・編集長 稲葉雅巳)
本紙2026年3月19日号1面 掲載
※本インタビューは2月3日に実施。同社においては2月15日にサイバーセキュリティーインシデントが発生。現時点で生産、出荷、カスタマーサポート活動を含む中核業務は問題なく稼働しており、同インシデントによる26年3月期の業績への重大な影響はないとしている。