アオイ電子(株)(香川県高松市)は、独立系の後工程受託(OSAT)企業としてその名を知られる。特に半導体パッケージ(チップレット)分野で拡大しており、世界のOSATベスト10入りを狙っている。同社執行役員で営業本部長の澤本修一氏に話を伺った。
―― お生まれやご略歴について。
澤本 神奈川県座間市に生まれ育った。家業はパンの製造・販売業であった。東海大学付属相模高等学校を経て、東海大学工学部通信工学科に進み、電子を専攻した。卒論は抵抗、コイル、コンデンサーなどに関するものであった。そして、ミツミ電機(現在のミネベアミツミ)に入社し、半導体に出会うことになる。
―― その後の歩みは。
澤本 ミツミから転身し、世界第4位のOSAT企業に入社し、3年間働いた。そこでは日本オフィスでテクニカルマネージャーを務めた。そして、縁あってアオイ電子に入社する。
―― アオイ電子は注目を集めていますね。
澤本 シリコンの微細加工の限界がきているため、先端パッケージ技術で次の時代を乗り切っていこうという風潮が生まれてきた。そこで、パッケージとテストを担当するOSATに注目が集まっている。当社は1969年に設立され、この分野では老舗企業である。
―― 生産工場について。
澤本 香川県に本社高松工場(OSAT)、朝日町事業所(パネルレベルパッケージ基板)、観音寺工場(サーマルプリントヘッド)を有する。また、青森県鶴田町に子会社のハイコンポーネンツ青森があり、こちらもOSATを担当している。当社は「FOLP」(Fan-out Laminate Package)という技術を持ち、ガラス基板にめっき技術で再配線層を多く多層化できるインターポーザーの量産を目指している。
―― 三重県多気町に新たな拠点を設けましたね。
澤本 2024年7月に、シャープおよび同社子会社のシャープディスプレイテクノロジーと連携し、シャープの三重事業所(三重県多気町)に半導体先端パッケージ生産ラインを構築することで基本合意した。三重第1工場の規模は延べ約6万m²で、生産能力は月2万枚を見込む。チップレット集積パッケージやチップ埋め込み型パッケージ、5G/6G/ADAS用高周波パッケージを供給していく。
―― 三重では第2工場も取得しました。
澤本 25年7月にシャープからシャープ三重事業所第2工場を取得したもので、量産拠点として活用する。第2工場の規模は延べ5万4000m²で、計画では第2工場から動かしていき、そのあとに第1工場を稼働させる。クリーン度は第1工場、第2工場ともに1000である。
―― 売り上げの状況は。
澤本 25年度は383億円だった。26年度は440億円を計画している。中長期的な売上高としては1000億円の大台を考えており、この段階で世界のOSATランキングでベスト10入りしたいと思っている。グループ全体の人員は現在2200人であるが、三重の第1工場および第2工場の稼働で一気に増員することになる。
―― 海外売上高は。
澤本 現状で海外売上高は全体の20%ほどである。これからは海外売上高を伸ばしていきたいと思っており、拡販戦略に力を入れている。海外の展示会にも積極的に出展しており、国際学会にも参加している。とにかく「アオイ」の名前を世界に広げていく必要がある。そのなかで最先端のパッケージ技術で常に先行したいと考えている。
(聞き手・特別編集委員 泉谷渉)
本紙2026年5月21日号1面 掲載