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第126回

レジエンス(株) 代表取締役社長兼CEO 村山正憲氏


10以上の再生医療研究を進行中
16~17年にも株式上場を計画
半導体企業とのコラボ推進

2015/6/26

レジエンス(株) 代表取締役社長兼CEO 村山正憲氏
 レジエンス(株)(東京都港区虎ノ門1-1-12、Tel.03-3431-3515)は、有力医療研究機関や大学医学部の持つiPS細胞(人工多能性幹細胞)および間葉系幹細胞を用いた再生医療領域をターゲットに、多くの新薬開発プロジェクトに取り組んでいる。再生医療の技術進歩や薬事法改正を追い風に、医薬品業界や医療業界から期待を集める代表取締役社長兼CEOの村山正憲氏に事業の展望を伺った。

―― 貴社の沿革から。
 村山 ドイツ銀証券、ゴールドマン・サックス証券、メドジーンバイオサイエンス(現アンジェスMG)の社長などを経て、2000年に前身の(株)ナレッジソリューションを設立し、13年12月に現社名に変更した。社名は再生(レジェネレイティブ)と科学(サイエンス)から取った。
 山中伸弥教授のiPS細胞のノーベル賞受賞、薬事法改正や再生医療新法、さらには先駆け審査指定制度や未承認薬迅速実用スキームといった構造改革を追い風に、個人投資家を中心に20億円もの資金が集まり、研究機関とのプロダクト・パイプラインの拡充と事業化の準備が加速している。
 当社は、医薬品医療機器等法に基づく医薬品製造販売業(他家の細胞医薬品)と、再生医療安全確保法に基づく特定細胞加工物製造業(自家の細胞治療支援サービス)の両輪でビジネスを推進する。

―― 進行中のプロジェクトについて。
 村山 我々の新薬開発は、治療に対する薬剤の貢献度と治療満足度が低い領域に含まれる疾患を対象に置く。角膜・培養口腔粘膜上皮シート移植(先端医療振興財団、京都府立医科大学との共同研究)が臨床研究の第II相の段階にあり、16年の治験開始を目指す。
 移植が必要な肝硬変患者を対象とするiPS細胞由来肝細胞治療(大阪大学&医薬基盤研究所)は20年、同じく星細胞由来肝硬変治療(大阪市立大学)は18年、男性型脱毛症のための毛髪再生(東京大学&ロート製薬)は17年、毛包・その他幹細胞に適用する新規幹細胞(理化学研究所)は18年に、それぞれ治験開始を目指している。
 ユニークなところでは、糖尿病モデルにモデル動物(富士マイクラ(株))の品種改良と育成・供給を目指し、年内に治験を開始する。これら10以上のプロジェクトを進めている。

―― 主な事業の詳細を説明して下さい。
 村山 スティーブンス・ジョンソン症候群や中毒性表皮壊死融解症は、最悪の場合、失明に至る重症薬疹(薬の副作用)だ。これに対応できる角膜・培養口腔粘膜上皮シート移植「TR9」は、従来にはない新しい治療法である。先端医療振興財団からライセンス導入したものだが、臨床実績は02年から100例以上にのぼる。京都府立医科大学、先端医療センター病院と共同で被験者由来の口腔粘膜上皮細胞、羊膜基質を主原料に、フィーダー細胞を使用してシートを培養し、患者に移植する。
 また、全世界の感染者はC型肝炎が1.7億人、B型肝炎は3.5億人といわれ、このうちの60~95%が慢性肝炎へ、ここから10~30%が肝硬変や肝臓繊維化へ、さらにその1~3%が肝がんへと進行する。
 肝硬変の患者は、移植の登録をしてもドナー待ちが長く、手遅れになる場合も多い。我々のiPS細胞由来肝細胞治療の目指すところは、iPS細胞から作成した肝細胞を患者に注入し、肝機能を復活させて移植までの時間を延長すること。大阪大学の水口裕之教授はiPS細胞から高品質な肝細胞を大量に培養する技術を確立し、14年夏から動物実験を開始した。

―― モデル動物プロジェクトとは。
 村山 動物実験では、臓器配列や代謝系がヒトに近いミニブタの需要が世界的に高まっており、潜在的な市場規模は約600億円と見られる。
 富士マイクラでは、5カ月齢で6kg、1歳でも10kg前後と、ミニブタよりさらに小型のマイクロ・ミニ・ピッグ(MMP)を繁殖させている。飼育施設はイヌ用の転用が可能で、また、前臨床試験における試薬量を格段に減らすことが可能だ。
 動物モデルでは、げっ歯類は低コストだが、ヒトへの外挿に困難が伴うことがある。ブタはヒトへの外挿が受け入れやすいが、中型動物であるゆえコストがかかる。MMPは低コストと外挿性を備える。
 慶應大学では、膵全摘MMPを作製し、点滴チューブの装着、点滴用デバイスの開発、糖尿病の薬剤や試薬の実験を行う糖尿病モデルの構築に成功した。我々のグループは日本CRO協会に対して情報提供と技術指導を行ってロイヤルティーをいただき、協会は企業や研究機関に対してモデル動物を販売するスキームを提案している。
 糖尿病治療製品開発の概念は、iPSなど幹細胞自体を細胞治療薬として製品化するルート、デバイス(人工物や生体加工物)を改良型インシュリン注入デバイスとして医療用機器として販売するルート、さらに、組み合わせにより多様な製品開発が可能な分化細胞とデバイスのコンビネーションデバイスを移植用臓器として開発・販売するルートがあるが、モデル実験によって、これらの医薬品やデバイスの作製が容易になる。
 また、ご存知のように、ヒト幹細胞から試験管内でヒトの臓器は作れないが、当社ではこのほど、慶應大学医学部の小林英司特任教授と肝臓再生に関する共同研究を開始した。分離したヒト肝細胞をブタの胎児に移植し、生まれた仔ブタへ、同じヒト肝細胞をさらに移植し、育成した後に「キメラ肝臓」を摘出して、ヒトへ移植する方法の確立を目指している。

―― ビジネス展望は。
 村山 当社は、ポートフォリオ型企業を志向している。従来型のバイオベンチャーは1~2種類の開発シーズを持ち、開発の進捗に応じて資金調達ができなければ開発を中断せざるを得ないが、当社は多くのシーズ開発を並行して行う。それには多額の資金を必要とするが、自家再生医療などの製品で培われた技術やノウハウは、他家再生医療の製品への応用を可能とし、開発費の回収が可能であると考えている。
 バイオベンチャーの株式時価総額は、このシーズに基づく開発プロジェクト、つまりパイプラインの数に比例している。さらに、海外に比べて日本のバイオベンチャーの時価総額は数倍高い。進行中のプロジェクトが実用化される16~17年の株式上場を狙っており、この時点でパイプラインは20以上となり、先行事例から積算すると、当社の時価総額は数千億円となる可能性がある。

―― 他の企業と提携するお考えは。
 村山 24時間培養可能な装置を開発する必要があるほか、多様な製品バラエティーを持っているため、外国系企業を含めたM&Aのほか、ロボティクス、FA、光学系、フィルム・素材、半導体、製剤、検査など幅広い企業との業務および資本提携も活用する考えだ。多くの企業とのコラボを積極的に進めたい。

(聞き手・本紙編集部)
(本紙2015年6月25日号9面 掲載)

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