(株)オーク製作所(東京都町田市)が手がける高性能ダイレクト・イメージング(DI)装置の受注が好調だ。2026年に入り受注台数が急増し、26年度に出荷する製品の受注がすでに満杯状態にあり、主力拠点の諏訪事業所(長野県茅野市)で生産能力の拡大も急ピッチで進めている。同社の橋本典夫会長に話を聞いた。
―― AIチップ用パッケージ向けの需要が急拡大しています。
橋本 おかげさまで足元の受注は予想外に好調だ。25年11月ごろまでは大きな動きはなかったが、26年に入り、中国、台湾、韓国系を中心に世界の大手サブストレートメーカーから受注が急激に入りだした。新規投資を計画するところでは大型受注につながる事例もあり、すでに27年度分の受注も動き始めている。
―― 売れ筋の製品は。
橋本 4μmの高解像度を誇るFDiシリーズを筆頭に、高精度の位置決めが要求されるソルダーレジスト用のEDiシリーズが中心となっている。いずれも多くの稼働実績を背景に業界デファクトの評価をいただいている。特にFDiでは、高生産性の新モデルを投入することで、顧客の生産需要に応えていきたい。
―― 26年度の事業展望について。
橋本 メモリー用FCCSPをはじめ、ハイエンドのFCBGA基板の生産は拡大基調にある。これに伴い、全社売上高は前年度比3割増を目指す。経常利益も次世代の研究開発が継続できる十数%をしっかりと確保したい。
―― 次世代DI装置の市場投入時期については。
橋本 線幅1μmの回路形成を可能にした最新の量産用DI「SDiシリーズ」を開発済みだ。早ければ26年後半にも複数台の出荷を計画している。同装置は、有機材料上で線幅2μmの銅めっき配線が可能で、RDLインターポーザーなどの配線形成用途を見込む。また、リアルタイム位置補正技術を活用して、ブリッジ型インターポーザー製造で起こりやすいダイシフト課題を解決する独自のアライメント技術も確立した。510×515mmパネルや310mm角パネルに対応した機種を順次出荷する。
―― 供給能力が逼迫しています。
橋本 足元の需要の急拡大を受け、DIの引き合いは現行の生産能力を超える水準となっており、能力の引き上げを急遽決めた。生産拠点の諏訪事業所内でこのほどクリーンルーム(CR)の増設工事が完了し、生産能力を増強した。既存のCR面積と合わせて従来比1.5倍の2400m²へと拡張した。スタッフも増員し、DIの生産能力を従来比3~4割増へ引き上げることを目指す。
生産の中心は、SDi、FDi、EDiの各シリーズとなる。また、半導体後工程向けのステッパー、「PPS」の受注も安定して拡大しているため同装置も増産する。
さらに今後の受注状況を注視し、第2期のCR増設工事も計画している。これが稼働すると最終的には現行の4倍程度までCR面積は拡大する見通しだ。
―― そのPPSの状況は。
橋本 現在、海外のOSAT企業からの受注が安定して伸びている。同装置は半導体後工程においてWLCSPの再配線、バンプ/ピラー形成用途などで採用が拡大している。国内ではパワーデバイスのダイオード形成用途などで実績が多くある。グローバルでのシェア拡大も寄与して年間20~30台の受注を誇っている。
―― エキシマレーザー加工装置の「Exa-Ms5」の現状は。
橋本 先端パッケージの極小ビア形成では、感光性絶縁材を使っているが、非感光性材料を適用する開発も進んでいる。当社の装置を使えば、従来装置では困難な5μm以下の極小ビアによる高密度パターンを、高精度かつ一定の加工速度で処理することが可能だ。また、同装置はトレンチ(溝)加工による配線形成や部品を埋め込むキャビティー加工にも応用でき、先端パッケージ領域で多様な加工プロセスに対応できる。
(聞き手・特別編集委員 野村和広)
本紙2026年6月11日号6面 掲載