TOPPAN(株)のFCBGA基板事業が拡大している。ハイエンドスイッチなどを得意とする独自の事業基盤をベースに、近年はAI投資を追い風にさらなる業容拡大が期待される。2026年度(27年3月期)は、大幅な成長が見込まれ、売上高も1000億円に迫る勢いだ。FCBGA事業を統括する古屋明彦執行役員に現況および今後の見通しを聞いた。
―― FCBGA事業の足元の状況について。
古屋 25年度は前年度比で1割前後の増収を達成できたものの、営業利益は減少した。減益は主に製品ミックスによるもので、民生分野のウエートが想定以上に高かったことが要因だ。スイッチ、サーバー用CPUなどは想定線で着地したが、AI向けASICは認定取得が若干遅れてしまい、期待したほど数量を出すことができなかった。
―― FCBGAの用途は。
古屋 民生分野を大きく増やす計画はなく、今はAI市場に特化し対応している。そうしなければ現在のAI関連の顧客ニーズを満たすことができない。スイッチを主体に、現在はARM系を中心とするサーバーCPUとAI用ASICに注力している。生成AIからエージェントAIに切り替わるなか、オーケストレーション(指揮者)の役割を担うCPUの需要が増えてきているほか、これにつられるかたちでスイッチICの員数も一層拡大を遂げている。
―― 26年度の見通しは。
古屋 前年度比で1.4~1.7倍の売り上げ成長を見込み、売り上げ規模としては1000億円に近いものとなる。主力拠点の新潟工場(新潟県新発田市)の新ラインが年間通じてフルに寄与するほか、製品ミックスもポジティブに働く見通しだ。
―― 生産体制の強化にも積極的です。
古屋 当社のエレクトロニクス系セグメントの26~28年度累計の投資額2200億円のうち、約9割を半導体パッケージに集中させる考えだ。半導体パッケージ事業への投資は31年度までに6カ年で約2800億円を計画している。これにより、FCBGAの生産能力は28年度に25年度比で1.75倍、31年度に2.75倍に拡大する想定だ。
―― シンガポール新工場の進捗状況は。
古屋 26年9月末に竣工を控えており、業績には27年4~6月期から寄与する見通しだ。竣工予定なのはフェーズ1となる建屋で、今後の需要に応じてフェーズ2にも着手することにもなる。主力の新潟工場でも生産設備の入れ替えを実施しているが、スペース的には満杯で、今後の能力増強はシンガポールと石川工場が担うことになる。
―― 石川工場は。
古屋 次世代パッケージの量産拠点と位置づけており、先行して有機RDLインターポーザーの開発ラインが26年7~9月期から一部稼働を開始するほか、ガラスコアFCBGAの開発ラインが27年度中に完成予定だ。これに加えて、有機ベースの厚コアFCBGAの生産も予定している。
―― ガラスコアのポテンシャルは。
古屋 想定以上にサブストレートの大型化が進み、ガラスの採用タイミングが早まると思っていたが、実際のところは有機コアの延命化が進んでいる印象だ。反りに対しては厚コアの対応がまず優先的に進んでいる。ガラスコアは組立工程を担うOSATの準備がまだ完全には整っていないことも課題の1つだ。
―― 中長期の事業イメージについて。
古屋 厚コアやガラスコアなど次世代半導体パッケージが立ち上がってくる31年度には、売り上げ2500億円前後が1つのターゲットになってくる。インターポーザーに関しては、社内に半導体設計子会社(TOPPANテクニカル・デザインセンター)を有しており、同業他社にはない差別化要素と自負している。また、CMPスラリーを手がける子会社(TOPPANインフォメディア)の存在も今後有利に働くはずだ。有機インターポーザーなどの微細配線では、従来のSAP工法からダマシン工法への移行が進んでおり、CMPスラリー開発グループとの連携を今後強化していきたい。
(聞き手・編集長 稲葉雅巳/特別編集委員 野村和弘)
本紙2026年7月23日号1面 掲載