電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第667回

実装機各社、スマート工場実現に邁進


JISSO PROTEC2026から見えてきたもの

2026/8/21

 マウンターなどの実装機メーカーが新たな装置開発を加速している。今年6月に開催された「電子機器トータルソシューション展2026」に併設展示された「JISSO PROTEC2026」(主催:日本ロボット工業会)では、最新の製品を実機展示したほか、次世代のSMTスマート工場への取り組みを各社が積極的にアピールした。

 加えて、ベアチップ半導体などを実装するダイボンダー並みの搭載精度を誇りながら、SMT部品を高速搭載できるチップマウンター並みの高生産性を両立させた機種の開発が話題を集めた。AIサーバーなどの高機能なシステムが登場してきたことで、光通信モジュール向けなどのSiP(システムインパッケージ)の高密度実装が進展しているためだ。顧客需要に応じたタイムリーで柔軟な開発能力が各社に求められている。

「実装限界ゼロ」にチャレンジするFUJI

 (株)FUJI(愛知県知立市)は、できない実装をゼロにするという「実装限界ゼロ」なるスローガンを掲げ、実装技術の常識を塗り替えるべく様々な開発課題にチャレンジする。今回その1つが、超微細部品となる「016008」(サイズが0.16×0.08mm)の実装チャレンジだ。同部品は従来の0201(0.25×0.125mm)よりもさらに小さいサイズ。そのため単にマウンター単体の精度で対応できるものではなく、実装プロセス全体の運用精度を一段引き上げる必要がある。

 主なポイントは既存のSMT工程で使用されている印刷機をはじめ、はんだペースト、ステンシルマスク、マウンター、リフロー、AOI検査などのあらゆる設備・部材の高度化と連携が求められてくるという。実際の生産ラインへの適用はまだ先の話となりそうだが、次世代のSMTの生産現場が一段とレベルアップすることになりそうだ。

 同社はまた、高速通信などに対応する光通信モジュール向けの実装装置で、高い市場の信認を得ているSiPソリューションも紹介した。数年前から、搭載精度15μm/5万CPH(10μm/3.2万CPH)を誇るマウンターも業界でいち早く開発してすでに市場投入している。実際にAIサーバーなどの製造現場で使用されており、旺盛な需要もきているという。今後はさらに搭載精度を引き上げた商品開発も進む。

 さらに産業機器やサーバー向けには、大型基板(1320×610mm、重量13kg)や大型異形部品(200×150mm、600g)をハンドリングする装置需要も急激に高まっている。従来にない発想やニーズが求められてきており、顧客と二人三脚で実装上の課題を1つずつ解決、同業界をリードする意気込みを見せた。

 また、SMT工程の自動化への取り組みも強調した。電子部品を装置へ供給するフィーダーへのテープリール装填作業(キッティング作業)を自動化する新ユニット「オートキッティングステーション」を開発した。本製品は、最先端実装機「NXTR Aモデル」、スマートストレージ、各社のAMR(自律走行型搬送ロボット)、自動倉庫と連携。生産スケジュールに応じたテープリールやフィーダーの自動収集・搬送システムと連動して、フィーダーへのテープリール装填を自動化するシステムを世界で初めて実現した。

FUJIはできない実装をゼロにするという「実装限界ゼロ」に挑む
FUJIはできない実装をゼロにするという「実装限界ゼロ」に挑む
 オートキッティングステーション単体でのキッティング作業の自動化にとどまらず、NXTR Aモデル、スマートストレージ、AMR、自動倉庫と連携することで、部品の保管から供給、実装までをシームレスにつなぎ、SMTフロア全体で自動化を実現する。

クラウド・AI技術も活用、止まらない工場実現へ

 パナソニック コネクト(株)(東京都中央区)は今回、Autonomous Factoryの実現に向けて、クラウドやAI技術の活用で、生産課題を自律的に解決できるような「GENTRUS Hub」を開発中であることを明らかにした。同社は約130社とアライアンスをすでに組み、世界の生産現場でSMTラインの運用を進めている。設備の状態や履歴を可視化し、装置の故障予知・予防につなげる。仮に装置が止まっても、迅速な対応や復旧作業を容易に行える体制づくりを目指す。

 過酷な製造現場においても故障や生産性が落ちない強固な装置開発力を強化する。世界21カ国に広がるサービス販売拠点160カ所のグローバルネットワークも活用し、あらゆる顧客の困りごとや装置の不具合も事前に把握できるシステムなどの開発にも活かす。

 同サービスが本格的に運用されるようになれば、SMT工程において製造などの知見が集積され、生産データや資産の管理が容易になり情報共有がスムーズになる。現在の人や個人に依存した運用から、近い将来には誰でも対応可能な、個人の力量に左右されることのない運用を目指す。また、自社設備のみならず他社製品でも最適に組み合わせ、顧客の状況に応じて必要な機能や設備を、必要なタイミングで段階的に追加・導入できる最適な生産システムを組むことも可能になる。実装不良や欠品を無くし、計画どおりの良品生産につなげる。

 高機能で高集積のSiPモジュールの実装を視野に入れた最新装置の開発も急ぐ。同社はすでに高精度・高速のNPM-GHを市場に投入済みで、搭載精度±10μmを誇り、幅広い部品に対応しながら高い生産性を実現している。さらに部品の小型化や高密度化が加速するとみており、搭載精度±5~8μmに対応した次世代機の開発を並行して行っている。

 一方、NPM-GWは従来のNPM-Gシリーズを発展させたモデル。足元で需要の強いAIサーバーをはじめ、通信インフラ機器向けの実装機としてNPW-GWを紹介した。大型基板に対応した実装プラットフォームとして売り込む。BGAの多ピン化やGPU周辺の高密度実装などに対応する。極小部品のみならず、大型部品など様々な異種デバイスでも高速・高精度に搭載できる。AIサーバー向けなどは重量もあり大型化している部品が増えているため、実装した基板搬送の安定性も充実させている。また、部品供給作業を自動化するオートセッティングフィーダー(ASF)をはじめさまざまな自動化・省人化機能にも応じる。

 ヤマハ発動機(株)(静岡県磐田市)は、実装ライン全体の自動化・省人化・無人運転を目指す「ワンストップ・スマート・ソリューション」を標榜しているが、今回も新たなサービスや機能向上を提案した。SMT工程において、「止まらない」「不良を作らない」「オペレーターフリー」を実現するための最適な自動化ラインを推進する。

 そのなかでも中心となるのが、YRM20シリーズの高速マウンターとなる。高速、高精度、多品種対応かつ生産性向上といった、相反する領域でも最適生産できる同社のハイエンドモデルとなる。超高生産性を誇るヘッドから、速さと汎用性に対応するヘッド、超大型部品にも対応するヘッドなどを幅広く搭載しているため、多品種生産にはうってつけのマウンターという。車載向け実装基板などの生産には最適なモデルと位置づける。

 さらに同社は今回、YRH10W Hybrid Placerを紹介した。小型チップから大型部品まで対応でき、1台で幅広い部品実装を可能にする。従来は複数機種で対応していた工程をこれ1台に統合、SMTラインの簡素化にもつながる。自社の高性能スクリーン印刷機や検査機と組み合わせることでワンストップソリューションでの提供も目指す。

 また、検査機がNG判定した部品をAIが再判定し、エラー判定を極力削減したり、検査員の負荷を減らしたり無駄を削減する。一方、同社も部品の自動補給のサービスを強化する。マウンターのフィーダー交換や部品供給を自動化し、無人化による稼働率向上を目指す。オートローディング機能を搭載、いつでもだれでも、簡単にテープ部品の補給を可能にした。

 さらに同社では産業ロボットも社内で手がけており、SMT後工程や搬送工程の自動化向けとして、7軸協働ロボットを使い、搬送工程の自動化などを目指す。


電子デバイス産業新聞 特別編集委員 野村和広

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