商業施設新聞
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No.1074

人口減少が生む競争


高橋直也

2026/9/29

 地方を中心に人口が減っている中、商業施設を新設するというのは「もともとA施設を使っていた人に、新しくできた自社のB施設を使ってもらう」という状況になる。新しくできた施設が苦戦する事例もあるが、以前「なかなか付け替えがおきない(もともとA施設を使っている住民が、自分たちのB施設を使ってもらうようにならない)」という話を聞いたことがあり、人口減少はまさに『競争』を生んでいる。

 たまたま調べものをしており、統合型リゾートについて書かれているWEBページに行きあたった。ちなみに現在、整備が進められている大阪以外のもので、少々古いページだ。WEBページには想定売上高、投資額、延べ床面積、ホテル客室数などが示され、いずれも高い数値が示されているためその事業規模の大きさが伝わる。その中で目についたのが雇用者の数だ。数千人(WEBページでは具体的に書いてあったが、ここでは伏せておく)と書かれている。雇用を創出し、街に貢献するという意味合いだろうが、この人手不足の時代にそんなに雇ってその街は平気なのかと、心配になってしまった。以前、熊本市の商業施設を取材した際、半導体工場の新設により労働力が奪われることを危惧する声があった。いまや大型施設を整備することは、人手の奪い合いという競争が生まれることにつながる。

「三井ショッピングパーク ららぽーと立川立飛」(写真は施設開業時に撮影したもの)
「三井ショッピングパーク ららぽーと立川立飛」(写真は施設開業時に撮影したもの)
 そんな中、ぜひ広がってほしい取り組みが生まれた。イオンモール(株)と三井不動産商業マネジメント(株)による「学生が働きたくなるSCの実現プロジェクト」の実証実験だ。ショッピングセンターでは、いわずもがなアルバイト不足が課題になっているが、特に課題になっているのが学生の採用だそうだ。学生アルバイト全体の数に対して、SCで働いている学生の割合が低いというデータもあるという。東京都西部では「イオンモール多摩平の森」(東京都日野市)と「三井ショッピングパーク ららぽーと立川立飛」(東京都立川市)が比較的近接しているが、2施設の周辺は大学が多い。そこでこの2施設を実証実験の対象施設とし、2社合同の大学出張型説明会などを通じてショッピングセンターで働く魅力、メリットなどを発信し、採用につなげるというものだ。実証実験は9月までを対象とし、その後は振り返りの期間となるが、注目は競合関係でもある両社がタッグを組んだこと。全国で施設を展開する2社が合同で進めることにより、個社の課題ではなく、業界の課題として解決に向けた動きをつくりたい考えだ。

 今回、業界を代表する2社がタッグを組んだが、人口が減少する中、理想を言えば3社、4社とこの取り組みが広がれば改善の期待も広がる。人手不足に限らず、人口減少で多くの課題が生まれる中、こうした協力・協業が欠かせなくなってくる。商業施設運営は、『競争』から『共創』へ移り変わる時代になった。
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