電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第298回

「アナログ回路の完全自動化をやればずっと生き残れる」


~カスタム、短納期に強いEDA、ジーダットの河内一往社長が語る言葉~

2018/8/17

 「半導体や液晶パネルの設計に不可欠なEDAソフトウエアの研究開発型カンパニーであるジーダット(JEDAT)は、今や自己資本比率80%以上という極めて安定した財務基盤を確立している。アナログ設計にフォーカスしている戦略が実を結んだのだ」

 こう語るのはジーダット(東京都中央区湊1-1-12、Tel.03-6262-8400)の代表取締役社長を務める河内一往氏である。河内氏は群馬県太田市出身、県立太田高校を出て群馬大学工学部で電子工学を学んだ。その後、富士通に入社し半導体CAD一筋という人生を歩んできた。富士通に31年間在籍し、アメリカの子会社である富士通マイクロエレクトロニクスの社長にも就任している。2011年にジーダットに移籍し7年目を迎えた。

 「ジーダットにとってどん底ともいうべき2012年に社長に就任した。何しろ22億円あった売り上げが、リーマンショックで12億円まで一気にシュリンクするという状況であり、まさにのたうち回るという感じであった。2007年3月にJASDAQに上場しているが、これだけの失速は滅多にないことであり、私は2代目社長として多くの改革に着手することを決意する」

 河内社長は伝統的なベースは継承しながらも、社内にEDA開発部隊とデザイン設計部隊の両方を設け、このシナジー効果を狙っていく。何しろファーストユーザーが社内にいるのであるから、実にきめの細かいカスタマイズされたサービスが瞬時にできる体制が構築できる。

 カスタム電子部品設計では性能・品質・コストへの要求がとりわけ強く、従来設計の自動化による開発効率の向上が難しい分野となっている。しかして、ジーダットはレイアウト設計の自動化にいち早く取り組み、設計の初期段階からの自動設計フローを実現し、従来の設計手法と比較してすでに3分の1から5分の1に設計期間を短縮した実績を持っている。

 「ケイデンスをはじめとする外国勢が闊歩するなかで、ジーダットは旧セイコーインスツルメンツの時代からの純国産EDA企業として誇りを持ち、当社ならではのオンリーワンにひたすらこだわっている。主力製品であるSXシリーズはすでに国内外で4000を超えるライセンスが稼働中だ。アナログ設計に特化し、ひたすら超短納期に取り組み、カスタマイズを最も得意とするというやり方を貫くことが一番大切なことだと思っている」(河内社長)

 最近の売り上げ状況でいえば2017年3月期に16億円、2018年3月期に18億円と回復基調に乗り、2019年3月期は21億円を見込むところまで来ている。河内氏は今後、代理店のネットワークの再構築、サービスビジネスの拡大、自社製品の拡大を強く打ち出すとともに、売り上げおよび利益にもかなりこだわっている。

 河内氏は「どんな手を使ってでも給料を上げよう」と社員に宣言し、これが大きなモチベーションとなっているのだ。2020年までには25億円以上の売り上げを目指し、営業利益率も10%以上を達成していく考えだ。

(株)ジーダット 代表取締役社長 河内 一往氏
(株)ジーダット 代表取締役社長 河内 一往氏
 なお、現状の従業員は124人体制となっているが、このうち女性は12人がおり、いうところのリケジョは5人を数える。女性力活用は非常に大切と考えており、とりわけ開発のところでの採用増を狙っている。

 「これからも、愚直なまでにアナログにこだわる。そしてまた、世界初のアナログの完全自動化を目指す。これを貫く限りこの業界の中でジーダットのきらめく星のような存在感は決して消えることはない」(河内社長)


泉谷 渉(いずみや わたる)略歴
神奈川県横浜市出身。中央大学法学部政治学科卒業。35年以上にわたって第一線を走ってきた国内最古参の半導体記者であり、現在は産業タイムズ社 社長。著書には『自動車世界戦争』、『日・米・中IoT最終戦争』、(以上、東洋経済新報社)、『これが半導体の全貌だ』(かんき出版)、『心から感動する会社』(亜紀書房)、『君はニッポン100年企業の底力を見たか!!』(産業タイムズ社)など27冊がある。一般社団法人日本電子デバイス産業協会 理事 副会長。全国各地を講演と取材で飛びまわる毎日が続く。
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