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第323回

住友重機械工業(株) 取締役 専務執行役員 PTC事業部長 田中利治氏


精密減速機のベトナム新工場稼働
小型タイプを19年秋から本格販売

2019/5/17

住友重機械工業(株) 取締役 専務執行役員 PTC事業部長 田中利治氏
 住友重機械工業(株)(東京都品川区大崎2-1-1、Tel.03-6737-2000)は、国内トップクラスの総合重機械メーカーとして、精密制御機械やコンポーネント、各種産業機械、船舶、大型プラントなどを幅広く展開。産業用ロボットや工作機械の主要部品である精密制御用減速機の大手企業でもあり、直近は生産体制や製品群の拡充を進めている。減速機事業を統括する取締役 専務執行役員 PTC事業部長の田中利治氏に話を伺った。

―― 精密制御用減速機の需要動向について。
 田中 2018年度(19年3月期)は上期が底堅く推移したものの、米中貿易摩擦などにより中国の設備投資が減少した影響を受け、18年度下期以降、電機・電子関連の工作機械や産業用ロボットで使用される精密制御用減速機の販売が弱含んだ。一方、自動車関連の製造現場で使用される工作機械や産業ロボット向けは堅調で、仕向地別では欧州や国内が安定していた。

―― 生産体制について。
 田中 精密制御用減速機は、基幹部品を名古屋製造所(愛知県大府市)とドイツで生産し、組立や一部加工を仕向地や用途に応じて名古屋製造所、ドイツ、中国・上海の拠点で対応している。また、ベトナム・ハノイにある当社の既存拠点に新工場を建設し、基幹部品の加工・生産を3月から開始した。自動化や省人化にも力を入れており、最新の生産設備を導入するとともに、部品検査システムを当社グループで開発するなど、組立を従来の半分の人員で行えるようなライン構築も進めている。
 直近の工作機械や産業ロボットの市場は落ち着いているが、中長期的な視点で見ると、人手不足を背景に物流倉庫をはじめとした工場の自動化が進み、ロボットに使用される精密制御用減速機の需要も一層高まることが見込まれており、当社としても20年度までに17年度比2倍の生産体制をグローバルで整備し、市場拡大を見据えた供給体制を構築していく。

―― 昨年、産業用モーターメーカーをグループ化されました。
 田中 18年6月に伊Lafert(ラファート)社をグループに加えた。同社は誘導モーター、高効率磁石モーター、サーボモーター、サーボドライバーなどを主力製品に据え、産業機械、搬送機械、ファン・ポンプ向けを中心に、中国の大手ロボットメーカーなどにも製品を供給している。今後、当社とラファート社のネットワークを相互に活用し、シナジーを高めていきながら、精密制御用減速機とサーボをセットで提供できる体制を構築していきたい。

―― 開発面での取り組みは。
DAシリーズの販売は4月から開始
DAシリーズの販売は4月から開始
 田中 小型の精密制御用減速機製品の開発を近年強化している。すでに複数の海外企業で本格採用が決まり、19年秋から本格的に販売していく方針だ。また、主力製品の1つであるコンパクトタイプ「Dシリーズ」の高性能版として、「DAシリーズ」の販売を4月から開始した。従来のDシリーズのラインアップ14種類に対し、減速比およびサイズの追加によってDAシリーズは27種類に拡大。また、新歯形などを採用することで最大60%のトルクアップと低騒音化を実現し、FA機器の小型化に貢献できる。
 そのほか、サーボモーター用遊星歯車減速機IBシリーズにおいて「PEタイプ」の提案も強化している。バックラッシを15分に絞り込みシンプルな構成を採用することで、高いコストパフォーマンスと短納期対応を実現した製品で、高精度が要求される産業機械だけでなく、一般産業用機械などでも汎用的にお使いいただける。

―― 19年度の見通しならびに今後の方針を。
 田中 19年度は、上期は電機・電子分野における設備投資減の影響が残るだろうが、下期からは受注が回復してくると期待している。市場環境に目を移すと、国内では生産年齢人口の減少や働き方改革が進み、グローバルでは生産の高度化に関する取り組みや人件費高騰による自動化ニーズが高まるなど、ロボットをはじめとした自動化装置の需要が拡大する要素が多くあり、精密製御用減速機についても需要増が見込まれる。当社としては、そうした市場拡大に対応できるよう、先に述べたような供給体制の整備や製品群の拡充をしっかりと進めていき、お客様から寄せられる幅広いニーズに対応していきたい。

(聞き手・浮島哲志記者)
(本紙2019年5月16日号9面 掲載)

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