電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第489回

データセンター機器世界一のファーウェイは、低炭素化社会実現に全力を挙げる!


幕張メッセのInterop22 Tokyoでスマート電源など多くのAward受賞

2022/7/8

 2022年6月17日(金)のことである。幕張メッセで開催されたInterop22 Tokyoに出かける機会に恵まれた。まず何よりも驚いたことは、とんでもない人数が集まっていたことである。日本の半導体企業でいえば、キオクシアが意欲的な新製品ラインアップに取り組んでいたのだ。

 そして、ひときわ観客の多い大きなブースが目についた。ファーウェイテクノロジージャパン(華為技術日本)の展示ブースであった。ファーウェイは、よく知られているとおり、中国のICT企業でも指折りの存在であり、2020年当時の売り上げは15兆円に達していた。世界のデータセンター機器については、ファーウェイがトップシェアなのである。

 日本を代表するソニーの直近の売り上げが10兆円弱であったことを考えれば、いかにファーウェイがインターナショナルで巨大な企業になったかがよくわかるだろう。そしてまた、日本企業からの調達額は2019年当時には1.1兆円もあったわけであり、まさにビッグクライアントと言ってもよい存在なのである。

幕張メッセ開催のInterop22 Tokyo出展のファーウェイブースは大盛況
幕張メッセ開催のInterop22 Tokyo出展の
 ファーウェイブースは大盛況
 さて、Interop22 Tokyoで展示されていたファーウェイの製品群には、明確な特徴があった。それは、世界的なSDGs革命に対応する製品群を徹底的に取り揃えているということであった。低炭素化社会の実現がファーウェイの当面のコンセプトであることがよくわかった。そしてまた、ファシリティー部門やパーソナルメディア&デバイス部門など、Awardのグランプリ獲得が数多いことにも驚かされた。

 とりわけ注目されたのは、ファーウェイデータセンターのインフラソリューションとも言うべきスマート電源のラインアップであった。UPS5000-Hシリーズは、次世代型の大規模無停電電源装置であり、100kVA/3Uパワーモジュールを多く使い、設置工数と設置面積を効果的に削減している。

 スマートエコモードも使っていることで、システム効率は99%まで上がっている。冗長設計により、高信頼性も獲得している。何よりもデータセンターの現場における設置時間が60%も短縮されているということは、実に大きなことであろう。

 合わせてデータセンターのスマートリチウムイオン電池についても、極めて高信頼性、省スペース設計のものをラインアップしている。安定性の高いリン酸鉄リチウムイオン電池セルのため、熱暴走による火災の心配がない。鉛電池などに比べれば、フットプリントを70%削減している。

 光ファイバーにおける低炭素化スマートホームを実現する様々な製品群も目に付いた。スマートシティーを実現する地域独自のブロードバンドインフラである地域BWAシステムは、阪神電鉄が展開しているものであるが、ここにもファーウェイの技術が使われている。ソニーマーケティングも出展していたが、これまたファーウェイの様々な省電力技術を駆使したテクノロジーを採用していた。

 会場における説明員は、「ファーウェイの低炭素オール光伝送ネットワークは、ものすごくレベルが高い」と熱心に説明していた。そしてまた、中小企業の多い日本の現状に配慮し、中小企業デジタルオフィスのWi-Fiの環境を整えることにも光技術を採用していた。

 OXCソリューションもまた、注目されるものであった。膨大な光ファイバー接続数、大量の電力消費などの問題が多く出てきている現状がある。そこでファーウェイは、オール光クロスコネクト(OXC)ソリューションを提案している。OXC装置のバックプレーンは、電子回路基板のように光ファイバーがバックプレーンに印刷されている。そしてまた、高集積度のOXCボードがあることによって、サイト機器の数が大幅に削減され、光ファイバー接続が簡素化され、そして全体の消費電力も抑え込んだのである。

 DX革命の進展の実態は、この幕張メッセのInterop22 Tokyo会場において、強く感じることができた。そして次のDX革命は低炭素社会実現をベースにしない限り、進展しないとの各社の思惑も明確に感じられた。

 それにしても、ファーウェイのブースは、この展示会においてほぼ最大クラスの面積を占有しており、日本企業とのマッチングを期待する同社の強い意思が感じられると思ったのは筆者だけではないだろう。


泉谷 渉(いずみや わたる)略歴
神奈川県横浜市出身。中央大学法学部政治学科卒業。35年以上にわたって第一線を走ってきた国内最古参の半導体記者であり、現在は産業タイムズ社 代表取締役 会長。著書には『自動車世界戦争』、『日・米・中IoT最終戦争』(以上、東洋経済新報社)、『伝説 ソニーの半導体』、『日本半導体産業 激動の21年史 2000年~2020年』、『君はニッポン100年企業の底力を見たか!!』(産業タイムズ社)など27冊がある。一般社団法人日本電子デバイス産業協会 理事 副会長。全国各地を講演と取材で飛びまわる毎日が続く。
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