(株)日本マイクロニクス(東京都武蔵野市)は、1970年11月2日に設立され、プロービングのリーディングカンパニーとして国内外にその名を知られている。メモリープローブカードにおいては世界ナンバーワンであり、ロジック向けについても拡販を進めている。2022年4月には東京証券取引所プライム市場に上場している。今回は、同社を陣頭指揮で率いる代表取締役社長の長谷川正義氏にお話を伺った。
―― 会社としての基本方針については。
長谷川 「電子計測技術を通して広く社会に貢献する」を経営理念とし、プローブカード業界を引っ張る会社として、常に技術革新に挑み、他の追随を許さない新たな価値を創造している。また、顧客ニーズに即応した製品開発とその拡販によって、市況変化に左右されない安定収益を確保する。もちろん、新たな分野に向けた挑戦を継続し、真のグローバルカンパニーにふさわしい人材を育成していく。
―― 事業の概要を。
長谷川 半導体テスト分野についてはR&D、前工程、後工程にわたって多くの製品群を取り揃えている。ウエハープローバー、プローブカード、各種テスター、テストソケットなどがメーンの商品だ。メモリー用プローブカードでは、世界レベルのトップシェアを獲得している。多ピンと短納期という点で先行しており、DRAM向けでは8万~15万ピンまでをフルラインアップしている。
また、FPDについては、アレイ検査、セル検査などのプローブユニットを販売しているが、この分野は少し伸びが鈍化しており、今後は半導体を徹底的にやっていく方向にある。どの製品もお客様のカスタマイズにフル対応している。
―― 最近の業績は。
長谷川 20年は401億円(20年は15カ月の変則決算)、21年は399億円、そして22年は443億円に押し上げ、過去最高の売り上げを達成している。その10年前の12年当時は236億円の売り上げであったからして、この数年で一気に成長した。もちろん、23年は相当厳しいと見ており、守りの戦いを進めていく。
―― 国内外のロケーションは。
長谷川 主力拠点は青森県にある。青森工場と青森松崎工場の2カ所で、全従業員の67%を占めている。九州には大分テクノロジーラボラトリーがあり、これは従業員の23%を占めており、本社は同10%となっている。また、海外では韓国、台湾、中国、シンガポール、米国、欧州にも拠点を持っている。
―― 各製品のエポックメーキングなことは。
長谷川 メモリー向けの優位性は今後も維持していくつもりであるが、ロジック市場の拡販で何としてもシェア拡大を目指していきたい。プローブカードはMEMSタイプの売り上げが80%以上を占めており、ロジック市場向けのMEMSタイプのプローブ開発を進めている。また、テストソケットは5G、6G、そして高周波を強化していく考えで、パッケージの進展に合わせていく。40GHzにも対応できる。また、電子部品のSAWフィルターにも対応可能なJ-Contactを中心に製品展開している。
―― 環境対応について。
長谷川 この4月に社長直轄部門としてサステナビリティ推進室を設置した。全社でサステナブルな社会を追求するという方向性を共有していきたいと思っている。半導体製造工程において、低消費電力を追求することは当然のことである。当社も全力を挙げてこれに対応していく。
―― 社員に示唆していることは。
長谷川 とにかく原理原則を大切にしよう、ということだ。また、「観・感・勘」の3つのカンを大事にしよう、とも言っている。もちろん、全社員が自己実現を図り、創造性豊かな企業文化を構築しなければならない。私が2代目社長になった時に、1つの数値目標を出しており、1日1億円以上を稼ぐ会社になりたいと言ったが、これは達成している。当面の売り上げ目標としては、やはり500億円突破ということになるだろう。
(聞き手・特別編集委員 泉谷渉)
本紙2023年5月18日号1面 掲載