電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第5回

東京エレクトロン東北(株) 執行役員 調達・管理部門担当 平井康司氏に聞く(上)


奥州発 世界トップの熱処理成膜装置 85年の設立から今年で30周年迎える

2015/10/9

 平安時代以来脈々と受け継がれる奥州市の「ものづくりのDNA」は、日本が世界に誇る半導体用熱処理成膜装置の中にも息づいている。
 岩手県奥州市の江刺中核工業団地に1985年から立地している東京エレクトロン東北(株)(TEL東北、岩手県奥州市江刺区岩谷堂字松長根52、Tel.0197-35-5101)は、東京エレクトロン(TEL)の熱処理成膜装置(酸化・拡散炉、減圧CVD装置)の開発・製造拠点である。90年から本格量産を開始した同社の縦型酸化・拡散炉は、世界市場において約6割のトップシェアを長年維持しており、全世界の半導体工場においてなくてはならない存在となっている。いわば〝奥州発〟のものづくり技術が、世界の半導体産業を強力に支えているのだ。
 今回と次回は、TEL東北において調達や管理部門を統括している平井康司氏に話を伺っている。

 ―まずTEL東北のプロフィールからお聞かせ下さい。
 平井 熱処理成膜装置を開発・製造している。当事業所では縦型酸化・拡散炉の生産に特化しており、枚葉成膜装置は山梨で生産している。
 当社は、TELの東北事業所として85年4月に設立された。

 ―今年で30周年ですね。
 平井 確かにそうだが、社名は何度か変わっている。86年7月に「テル東北エレクトロニクス(株)」、87年2月に「テル東北(株)」に社名変更し、90年1月に現在の社名に変更した。その後、東京エレクトロングループ会社間での合併などを経て、2006年7月に現在の東京エレクトロン東北に社名を戻したという経緯がある。

 ―立地当初から熱処理成膜装置を製造していたのですか。
 平井 当初は、この地域に進出していたお客様の工場へのフィールドサービス拠点としてスタートした。その後、TELが相模事業所で開発・製造していた熱処理成膜装置の事業を拡大するにあたり、その拠点として当事業所に白羽の矢が立った。
 当時は、横型炉から縦型炉へのシフトが進み始めた時期にあたる。縦型炉の需要が増えていたため、新たな生産拠点として当事業所を活用することとなり、90年に竣工した2号棟において本格的な生産を開始した。
 その後は一貫して熱処理成膜装置の開発・製造を手がけており、95年に4号棟を竣工したあたりから、8インチウエハー対応の縦型炉の需要が本格化し、当事業所でも縦型酸化・拡散炉の生産体制を強化した。その後も順調に生産台数を伸ばし、06年には縦型炉の累計生産台数が1万台を超えた。

 ―貴社の熱処理成膜装置は長年、約6割の世界トップシェアを維持していますが、その秘訣は何でしょうか。
 平井 半導体製造において極めて重要な成膜技術のお客様との共同開発の推進、および装置の品質・信頼性向上に特化したものづくり戦略がデバイスメーカーから高く評価されているためと考えている。

(聞き手・編集委員 甕秀樹)
(本紙2015年9月3日号3面 掲載)

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