電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
新聞情報紙のご案内・ご購読 書籍のご案内・ご購入 セミナー/イベントのご案内 広告のご案内
第8回

(株)フジキン わざづくり(技術)部門 技術本部 副本部長 兼 ものづくり部門 製造本部 東北工場長 執行役員 田中林明氏に聞く(下)


IGSで装置の小型化に貢献 ILCはビジネスチャンスに

2015/10/16

 前回に引き続き、(株)フジキン東北工場(岩手県奥州市江刺区岩谷堂字袖山11-31、Tel.0197-35-8701)の田中林明工場長に話を伺った。

 ―貴工場で生産しているIGS(集積化ガスシステム)は半導体向けがほとんどですか。
 田中 99%が半導体向けとなっている。筑波研究工場(茨城県つくば市)でも生産しており、LPCVD装置向けは当工場、エッチング装置向けは筑波研究工場というすみ分けになっている。ただ、当工場ではエッチング装置向けも一部生産しており、将来はさらに両工場の地の利を活かし、集約していく方向で考えている。

 ―IGSの技術トレンドは。
 田中 より小型化の方向を目指して開発を進めている。小型化すれば、半導体製造装置のチャンバーに直接設置でき、それによってガス置換がしやすくなるというメリットが出てくる。また、IGSは装置筐体の小型化にも貢献しており、ガス系部分のフットプリントはIGS採用前の4分の1程度にまで小型化されている。
 なお、当社のIGSは、2005年に経済産業省の「第1回ものづくり日本大賞」の優秀賞を受賞した。

 ―現在の人員は。
 田中 従業員と派遣の方を合わせて約90人となっている。地元採用の方が中心で、平均年齢は30歳と非常に若いのが特徴だ。

 ―奥州市(当時は江刺市)に進出したきっかけは。
 田中 お客様が進出されていたことが大きいが、東日本地域へのアクセスが良い点、土地代が比較的安価だった点、補助金政策が充実している点も進出の決め手になった。
 奥州市に進出してから生産量は伸びており、現状では進出前の2~3倍にまで拡大している。
 奥州市に進出して、本当に良かったと思っている。市の企業立地担当の方々にも頻繁にご来社いただくなど、様々な面でご尽力いただいている。

 ―貴社が進出している江刺工業団地(江刺中核工業団地+江刺フロンティアパーク)は、企業同士が非常に仲良しだそうですね。
 田中 江刺工業団地に立地している企業が組織する協議会に積極的に参加している。協議会では、スポーツ親睦会や、納涼懇親会を含めたトップ同士の懇親会など盛りだくさんのイベントがある。そのような活動を通じて、進出企業同士でビジネスが生まれるというメリットが期待できる。

 ―奥州市などが建設候補地となっている大型加速器、国際リニアコライダー(ILC)にも期待していますか。
 田中 ILCは、フジキンにとっても大きなビジネスチャンスになると期待している。フジキンは、極低温の液体ヘリウムを扱う技術などを有しており、ILCに対しても大いに貢献できるだろう。東北地域が建設地に決まることを祈っている。

(本紙2015年9月24日号3面 掲載)

サイト内検索