電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
新聞情報紙のご案内・ご購読 書籍のご案内・ご購入 セミナー/イベントのご案内 広告のご案内
第6回

東京エレクトロン東北(株) 執行役員調達・管理部門担当 平井康司氏に聞く(下)


地場調達に完全シフト 期待に違わぬ結果に安心感

2015/10/9

 前回に引き続き、東京エレクトロン東北(株)(TEL東北、岩手県奥州市江刺区岩谷堂字松長根52、Tel.0197-35-5101)の執行役員 平井康司氏に話を伺った。

 ―部材は地場のサプライヤーからかなり調達されているようですね。
 平井 当事業所で生産を開始した当初は、東京エレクトロン(TEL)の相模事業所から部材を持ち込み、ノックダウン方式で生産していたが、その後は地場のサプライヤー企業の方々と二人三脚で部材開発を進め、段階的にノックダウンから地場調達へのシフトを進めてきた。現在は、切削品や加工品のほとんどは地場のサプライヤーから供給していただいており、強固な関係を築いている。
 また、縦型酸化・拡散炉の生産は相模事業所から当事業所に完全にシフトしており、装置の設計・開発もすべて当事業所にて行ってい

 ―奥州市(当時は江刺市)に進出したきっかけは。
 平井 当時の市長をはじめ行政の方から熱心にお誘いいただいたのが大きい。それに、奥州市の近隣にはこの地域に進出していたお客様の工場が立地しており、アクセスが良好であった点も江刺中核工業団地を選んだ理由だ。

 ―貴社が立地している江刺中核工業団地は、進出されている企業同士が非常に仲が良いと聞いています。
 平井 まったくそのとおりで、協議会を通じて盛んに交流を続けている。協議会には奥州市の小沢市長にもよく顔を出していただいているうえ、行政の方々にも大変誠実に対応いただいている。
 特に、許認可の手続きなどは非常にスピーディーに対応していただいており、インフラの面でも配慮をいただいている。

 ―現在の人員は。
 平井 約750人で、このうち約600人を地元採用の方が占めている。このなかでも、奥州市に住んでいる方が最も多い。

 ―従業員の方に東北特有の粘り強さは感じますか。
 平井 確かに感じる。与えられた課題を着実にやっていただける安心感がある。人材の質は高く、1990年に縦型酸化・拡散炉の生産を開始してから地元からの採用を増やしているが、その時に入社した社員が現在は中堅として当事業所を支える貴重な戦力になっている。
 2011年の東日本大震災後、TELグループ全社でBCP(事業継続計画)を見直すこととなったが、そのモデル工場づくりにあたって一番スムーズに進めることができたのが、当事業所をはじめとする東北地区だった。生産システムの変更も東北地区から開始したほどだ。東北の工場は粘り強さだけでなく、まとまりが良く、期待されるアウトプットが出てくる安心感がある。

(聞き手・編集委員 甕秀樹)
(本紙2015年9月10日号3面 掲載)

サイト内検索